2013年10月19日
風の歌 406
The Song of Wind (406)
「はい。お父様、お母様。
ここに、共に参っております。
私の生涯を託せる方・・・
強く賢く、そして、いつも優しい・・・」
オリザ姫が、父母の手を離れ、元の道を歩む。
その足が、ジャドゥビスの傍らを行き過ぎた。
ジャドゥビスの肩が、微かに震えて落ちる。
大広間を埋め尽くす人々が、感嘆の声を上げた。
誰の所で、歩みが止まるか。心当たりのない者達まで、
一瞬、心ときめいたのでは、ないだろうか。
何より、誰の目にも小さく平伏する、法術師は写っていない。
当のセヴィリスは、歯を食い縛って、辺りに渦巻く、
人々の波動を、すべて遮断している。
だから、小さな銀色の靴のつま先が、己の膝前に、
立ち止まった事に、彼は、まったく気がつかなかった。
「セヴィリス・・・」
オリザ姫も、緊張していたのだろう。
かすれた声で呼びかけたが、長杖を脇に置き、
縮こまって震えているセヴィリスは、その声を
聞き取らなかった。オリザ姫は、屈んでその手を取った。
「セヴィリス・・・立って・・・そして
どうか、私の望みを、叶えて下さい。
私と共に、この国を、背負って行って頂きたいの。
あなたでなければ、出来ないと思うの。
あなたの持つ、知恵と、力と、何よりその優しさが、
私には必要なのです。」
セヴィリスは、オリザ姫の手に導かれて、立ち上がったが、
姫が何を言っているのか、さっぱり理解できなかった。
・・・知恵と力・・・と・・・優しさ?・・・
何の事だ・・・?・・・
呆然として、凍りついたように立ち尽くすセヴィリスを、
恐れ多さの余り、歩み寄れぬと思ったのか、
スコルド王が、自ら玉座を降りて、近付いた。
「サリックスの見者殿。姫が、そちと共に
生涯を歩みたいと申すが、如何か?
その力、知恵の深さは、以前に会うて、存じておる。
どうじゃ?王家の婿になるか?それとも断るか?」
セヴィリスは、ぼんやりと、何かに操られるように、
首を縦に振っていた。
・・・オリザ姫を、愛しく思っていた。
・・・そうだ・・・あの時も・・・あの時も・・・
だからこそ、姫を抱いて飛べたのだ。
姫を守らねばと思えば、力が出せた。
私は、姫を、初めから愛していた・・・
法術師として、厳しく心を律する余り、己の感情を、
セヴィリスは、全く自覚していなかったのだ。
「わ・・・わたくしなどで・・・よろしければ・・・」
ぎくしゃくと、どもりながら、セヴィリスは呟くように答えた。
王妃は、何か一言は、苦言も言いたそうであったが、
一度は、失ったかと思った愛娘の、たっての望みであった。
それに、救国の英雄であれば、非の付け様はなかった。
「ジャドゥビス・・・申し訳ない・・・
わらわは、そなたじゃと、思い込んでいた・・・」
「いえ、いいのです。
そうかも知れぬとは、薄々、気づいておりましたゆえ。」
ジャドゥビスは、どう振舞えば、男らしく見えるか、
考え考え、立ち上がり、誰にも見送られずに、大広間を出た。
そして、南国の花々咲き乱れる、中庭まで出てから、
男泣きに泣いた。人目の多い城であったが、
公子を慮って、誰一人、姿を見せる者は無い。
あたりは、木の葉の擦れ合う音と、小鳥の囀りばかり。
白い玉砂利を敷き詰めた、庭園の木陰で、
涙にくれる貴公子の傍らに、いつの間にか、白い少女が、
ひっそりと、ただ立っていた。
ユリシアが、なぜ、戻ってきたのか。
その、空を映した青い瞳は、その理由を
言わずもがなに語っている。
続く
やっちゃいました。大失恋です。



何となくは、分かってたでしょ

ジャドゥビスは、オリザ姫に近付こうとするのに・・・
誰が見ても、お似合いの二人なのに、ひっつかない・・・
これが、さあの、ひねくれた所。






それに、アルフィーニは、何しにベルバビーノへ行ったのかな


・・・と言う事は、ジャドゥビスのお相手は・・・



では、また次回。

脱・0円ファン宣言!!!
大好きなのは、タロットカードの話
なんだかへんだな・・・
付け足し・・・Quarandolleってなんだ?
ふしぎちゃん女子
あ・・・あ・・・あたしじゃないーーーっ!!!!!
大好きなのは、タロットカードの話
なんだかへんだな・・・
付け足し・・・Quarandolleってなんだ?
ふしぎちゃん女子
あ・・・あ・・・あたしじゃないーーーっ!!!!!
Posted by さあちゃん at 00:00│Comments(0)
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