2013年08月25日

ゆりと名前

ゆりと名前 いかにも、野の百合らしい百合。

 白百合は、楚々として、儚げで、、

 場合によっては、近付きがたい

 権高さもあるけど、これは元気そうでいい。

 元気だけど、百合だという気高さはある。

 それにしても・・・

 ・・・図鑑的な写真だな・・・

 情緒も、へったくれもない。

 まるねこも、撮ってる筈なんだが・・・

 さぞ、いい写真、撮ってるんだろうな。

 ちょっと貸してくれないかな・・・


    The Song of Wind (385)

 歩く内に、ソルダムは気付いた。

 この通路が、あの「灰色の迷路」に似ている事を。

 行けども行けども、終わり無き灰色の道。

 無数の曲がり角。どこもかしこも、あくまで直角で、

変化無く、ただ、壁の切れ目ばかりが、不規則に現れる。

 「それは、そなたの回廊。

  そうか。己の回廊を辿ったか。

  魔法使い為らぬ者が入り込むと、なかなか、

  抜ける事が、難しいものだが・・・」

 先を行くジルコニアスが、静かに語った。

 その言葉は、ソルダムの印象が正しい事を、表している。

 「ここがあなたの回廊なら、なぜ、私が入り込むのだ?

  私も、もしかすると・・・死んだのか?」

 ・・・そうだ。船が、気付かぬ内に、流されていた。

  船頭達は必死に櫓を漕ぎ、渦から逃れようとしたが、

  間に合わず、船が転覆した。

  私は、水に投げ出されたのだ・・・

 「死者は、黄泉の道を行く。

  ここは、生ける者の回廊・・・

  もっとも、人の思いは、体の死後も、すぐには死なぬ。

  それゆえ、そなたが、生きているか死んでいるか、

  今ここで、私には判別できぬ。」

 ソルダムは闇雲に、来た道を駆け戻りたくなった。

 「それは、やめるがいい。

  偶然入り込んだのなら、入り口を見つける事は、

  出口を見つける事と、同じように困難だから。」

 そう言われると、ソルダムは諦めた。

 生きているなら、いつかここから、出られるだろうし、

死んでいるなら、永久にここを彷徨ったとしても、

その運命に、抗う方策は無い。

 ジルコニアスは、薄く笑って、底知れぬ闇へ伸びる、

下り階段を指した。

 「出口は、望めば現れる。

  このように、な。」

 ジルコニアスは、迷う様子なく、闇へと階段を下る。

 それまで、天井が白く発光していたが、それが無い。

 足元が暗く危なく、ソルダムは、足探りになった。

 ジルコニアスの足音に、逡巡は無い。

 あくまで、コト、コト、コト、コト・・・と、

規則正しい靴音が続く。

 ・・・魔法使いは、夜目が利くのだ・・・

 やがて、真っ暗闇になった。

 それでも、先を行く足音は止まぬ。

 「ジルコニアス!!」

 堪らずに、大声で呼びかけた。

 足音が止んだ。階段が終わっている。

 ソルダムは、つんのめりかけた。

 何とか態勢を立て直した時、薄青い小炎が灯った。

 魔術の小炎に照らされた、暗い空間にあるのは・・・

 ・・・黒い石の台座・・・

 「これは・・・サフィール神殿にあった・・・

  いや、エリオルムにも・・・そうだ、あの、

  灰色の迷路にもあった!たしか、黒い霧を、

  どこか望む所へ、飛ばしてしまう物とか・・・」

 「黒い霧を、ではない。この回廊から、別の回廊へ、

  行く時の精神の接点となる・・・このように・・・」

 ジルコニアスは、ソルダムを手招きし、共に台座に乗った。

 たちまち辺りは、黄金に光に満ち溢れた。

 ・・・ここは?・・・

 黄金の壁一面に、所狭しと、煌びやかな宝石が

埋め込まれていた。いや、一面ではない。

 四方の壁、全てが、黄金と宝石であった。

 そしてその中央に、牙をむいた獅子の彫像・・・

 それにも、びっしりと、宝石が埋め込まれている。

                    続く

 
 さあの名前は、父親がつけた。どう言う心算でつけたか、訊いた事は無い。

 だが、有名美人女優から取ってつけたのではない事だけは、確かだ。

 さあは、この人のデビュー前に生まれている。

 ただ、時間的に非常に近いから、幼い時は、周りの大人に

 「あんたのお父さん、あの女優さんのファンなの?」と、よく訊かれた。

 美人女優を嫌いな人は、余りいるまいから、適当に答えていたが

 いい気持ちはしなかった。さあが、飛び切り美人なら兎も角、

 相当のへちゃむくれだから、揶揄い甲斐があるのだ。

 大人になると、どうにも軽々しい名前が、嫌で仕方が無かった。

 ひらがな3文字なので、見た目も軽いし、外国映画の芸者の名前とか、

 小説の女中の名前とか、ろくな所に出て来ない。

 よくある名前の、「慶子」とか「雅世」とかなら、見た目の重さで、

 まだ救われると思ったものだ。だが、百合園に行って、少し、ほっとした。

 百合はきれいな花なのだ。野に咲いても、森に咲いても、美しい。

 ・・・今さら、もういいか。半世紀、この名で生きた。

  人に問われたら、 胸張って、答えてやる。

 『 Yes,I am so large.But,my name means a small lily.』って。 

 では、また次回。今日も起こし下さって、ありがとうございました。
 



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Posted by さあちゃん at 00:00│Comments(0)ファンタジー
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