2013年08月21日

風の歌 383

風の歌 383 百合園行きたいって、

 言ったのは、さあだけど、

 結構喜んだのは、まるねこ娘。

 小っちゃいデジカメで、

 熱心に写真を撮る。

 いろんな角度から、

 カメラ撮るカメラ撮るカメラ撮るカメラ

 百合だけじゃなく、

風の歌 383 変わった物と、思う物は、

 何でも撮る。雑草でも茸でも。

 茸iconN05kao_16雨上がりだったんで、

 オオシロカラカサタケ、かなiconN05

 毒キノコだって言うのに、

 素手で触っちまった、まるねこ。

 お昼のお蕎麦食べる前に、

 ごしごし手洗いicon10icon10icon10 


    The Song of Wind (383)

 真っ黒な噴煙が上がった。辺りは、たちまち暗くなった。

 「退避!!船まで急げ!!」

 ソルダムの命を待つまでもなく、兵士達は回れ右して、

来た道を引き返していた。我勝ちに逃げる為ではない。

 王の通り道を、確保する為である。

 船を下りて後、低い一峰を越えて歩いていたから、

現在位置から、船は見えぬ。

 学者の一人が、先へ進みすぎていた。

 うろたえて、屈み込みそうになると見るや、ソルダムは、

駆け寄り、引き起こして、来た道を走った。

 人の頭か、それ以上の大きな石塊れが、地響きを立てて、

どんどん降ってくる。斜面に落ちた物は、周りの礫を弾き、

石の雨を、人々に降らせる。

 「走れ!私に構うな!自分の安全を考えよ!!」

 叫んでも、もはや声は届かぬ。

 噴火の轟に加え、空に届いた噴煙から、稲光が奔り出した。

 禍々しい閃光が、頭上を飛び交う。

 黒い噴煙の下部が、赤く輝いた。

 ・・・溶岩流・・・

 「山を下れ!低い方へ逃れよ!!

  岸伝いに逃げるんだ!!」

 叫んだのは、トゥモーロスだった。

 日頃、激しい物言いをしない者が上げた一声に、

皆が、あっという間に従った。

 それが正解だった。

 船が、一行を迎えに、峰の端を回って、漕ぎ寄って来た。

 熱い岩の弾丸は、岸辺を越え、直接水に落ちる物もある。

 落ちた瞬間、それは夥しい湯気に包まれ、一瞬後、

凄まじい爆発を起こし、水柱を吹き上げる。

 勿論、逃げる人々も、石の弾丸に追われ、遮られ、

それらを避けながら、走らねばならぬ。

 文字通り、倒けつ転びつの逃避行だ。

 死に物狂いで、皆は走った。

 道は次第に、雨あられと降り注ぐ、灼熱の石塊れに、

覆われて行く。頭上と、足元と、進む先と、注意力が

分散を強いられるのだ。

 船は更に厄介だった。

 湖面に届く石弾は、多くないとは言え、近くに落ちるだけで、

相当の影響を受ける。

 船縁を掠めただけで、炎が上がるのだ。

 船頭達も命懸けで、漕ぎ寄せている。

 ようやく、全員が乗船し、沖へと漕ぎ離れた時、

 湖面が、異様に波打った。

 再度の、火山性大地震を表す物だった。

 大音響が、耳を劈く。

 と、信じ難いものが、人々の目に映った。

 火と煙が、山を馳せ下ったのだ。

 ・・・火が、下る・・・

 あり得ない、と、誰もが目を疑った。

 だが、下った炎は、水面に届き、轟音と

もうもうたる水蒸気を発した。

 「危険だ。もっと山から離れよ。」

 船頭が、必死に櫓を押し、山全体が視野に入るほど、

船が逃れた時だった。

 ハズリックが、不意に辺りを見回し、あっと叫んだ。

 「どうした?」

 怪訝そうに、共に風景に目をやった者達は、

その叫びの訳が、分かった気がした。

 「ここは・・・ちょうど、かつての湖岸・・・

  サフィール神殿の、あった辺りです。」

 ソルダムは、船縁から身を乗り出し、水底を見ようとした。

 水はやや濁り、もやもやと揺らぐ、白い物影しか見えぬ。

 ・・・神殿の、一番高い所は、鐘楼だったが・・・

 避難民の噂では、鐘楼は、最初の地震で崩れたと言う。

 ・・・中央大聖堂の、ドーム屋根か・・・

 丸い大きな、玉葱型の白い屋根が、高所であったと思う。

 だれもが、湖中に目をやり、船頭までもが、櫓を置き、

水中を覗き込んだ。

 その為に、「それ」の兆候に、誰一人、気付かなかった。

 再三度、湖面が揺れていた。

 細かいさざなみが、水面を覆った。

 水が泥色に染まり、やっと異変に気付いた人々が、顔を

上げた時、船は、相当「それ」へ向かって、流されていた。

 「それ」は、巨大な、水の渦だった。

                 続く


 kao_17iconN30やれやれ、オヤジの目を盗んで、やっと一回分。

 火山のシーン。いかがでしたか?kao_01kao11kao_12

 icon16火山弾に追われるシーンicon16伊豆大島で、実際に火山弾雨に遭われた、

 学者さんの記録を、参考にしました。本は、どこへ行ったやら・・・

 次男の本だったから、久留米へ持ってっちゃったかなiconN05

 ジープで、御神火茶屋の焼け跡へ出かけて、噴火に遭われたとか・・・

 学者さんて、命懸けだね。全島避難命令が出てるのに、調査だなんて。

 最終の、関係者ばかり、最後に避難する船で、やっと逃げたんだと、

 ・・・確か、そんな話。うろ覚えで、すみません。kao_9icon10

  では、また次回。tenki_1日の出tenki_1今日もお越し下さって、ありがとうございました。
  



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Posted by さあちゃん at 00:00│Comments(2)ファンタジー
この記事へのコメント
さあちゃん、

うふふ、ヤッパリまるねこ娘・・さんがかわいいんだ(笑)
愛情がにじみでてら〜 ワラワラ、、
コノ、The Song of Wind
とても表現がリアルだから、もうビックリでした。
どこかでさあちゃん、なりの取材があって安心しました(笑)

いや、素晴らしい表現に引き込まれました!!
Posted by 風 at 2013年08月22日 17:31
Dear 風さん
 親馬鹿ならぬ馬鹿親です。アホな子ほど可愛い、と言うか、不憫で・・・

 火山弾に追われるシーンは、お借りしましたが、火山弾が水に落ちたら、
爆発するのは、想像です。でも、多分、破裂すると思うので・・・
 トゥモーロス先生が、火山に出張したいって、結構嬉しそうに仰るので、行って頂く事にした訳です。
 ただ、これを書いた後で、桜島の大噴火があったから、またまた冷や汗でした。
噴煙、火山灰、火砕流・・・日本の災害は、きりがないですね。
 バルツァード編は、あと、謎解きと、婚約式です。お楽しみに!!
Posted by さあちゃんさあちゃん at 2013年08月23日 23:46
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