ぶるんねん文庫

　箱舘山百合園へ行って来ました。

　パート先の休憩室に、割引券を見つけて、

　「行こう行こう」と、連発して、

　やっと行って来ました。

　で、百合はって、次回から載せます。

　でも、すしやのおやじさんの様な、

　素敵な写真じゃないから。

　期待しないでね。

　これは雑草。三方五湖展望台の

　花壇の、隅っこに生えてました。


　　　　Ｔｈｅ　Ｓｏｎｇ　ｏｆ　Ｗｉｎｄ　（３８１）

　「パパ・・・」

　シシィが、呼びかけざまに駆け寄るのを、セヴィリスが制した。

　「お静かに・・・やはり、見張られています。

　　二重・・・いや三重に、神官が透視の網を張っている・・・

　　当然とは言え、厳しい扱いです。」

　「透視？」

　シシィは、戸惑いを隠せない。

　セヴィリスが、自分に敬語を使う事に、違和感があった。

　「当然です。暗殺と誘拐の危険性を考えれば・・・

　　これを取り上げずに、僕を通したという事は、

　　何かすれば、直ちに、強力な結界に捕り込めると言う、

　　自信の現れです。」

　セヴィイリスは、長杖を示して言った。

　「だから、込み入った話は出来ないと、思って下さい。

　　遠聴だけなら、筆談も出来るが、透視されていては、

　　・・・無理です。」

　ケルビンが、視線だけで頷いた。

　何も言わぬ。いや、言えぬのだ。

　シシィの目に、新たな涙が湧き上がった。

　「こんな・・・こんな事になると、思えへんかった。

　　王太后様に、『こんな娘は、王妃に出来ぬ』って一言、

　　言われて、ソルダムが『ゴメン。じゃあ、バイバイ』って、

　　言うて、それで終わりやろ、って、思ってたんや。

　　それが、何や、難しい会議を開くて・・・

　　ウチ、どないしたらええのん？

　　やっぱり、コパロスへ帰ったら、よかったん？

　　今からでも、つれて帰ってぇな。

　　これ以上、皆に、迷惑なんか、かけとぅない・・・」

　ケルビンは、極力目立たぬよう、魔力を隠して、

ジャドゥビスの後ろに、控えていたが、シシィは、

ジャドゥビスもオリザ姫も押しのけて、ケルビンに取り縋り、

ワーッ、と泣き伏した。これでは、隠しようも無い。

　セヴィリスが長杖を構え直し、監視者に対し身構えた。が、

特に変化は無い。監視者達も、闇の魔人を恐れているのだ。

　ケルビンは、ただ静かに、泣く娘の髪を、撫で続けるだけだ。

　重い口を開いたのは、ジャドゥビスだった。

　「ご心中、お察しいたしますが、今すぐ、あなたをここから

　　連れ去る事は出来ません。

　　王妃候補の最有力者として、あなたは、この上ない程の

　　保護の下におられるのです。

　　一つには、王陛下が、サフィールへ視察に赴かれており、

　　アクイラを、留守にされている為でもあります。

　　今暫く、ご辛抱されれば、陛下がお戻りになり、

　　お庭の散策くらいは、許されましょう。

　　今、暫く・・・」

　オリザ姫が、優しく手を取り立たせた。その背後で、

ドリスが、カチリ、と、細剣の鯉口を鳴らして見せた。

　現世的な剣は、任せておけという、頼もしい意気込みだった。

　だが、シシィの関心事は、ソルダムの動静に移っていた。

　「サフィールへ？何しに？会議は？」

　やっと、ケルビンが喋った。

　「急な召集で、議員の集まりがよくない。

　　あと、二旬節くらいは掛かるだろう。

　　その間を無駄にしたくない、との事だ。

　　丁度、ハズリックとトゥモーロスも来ていたから、

　　案内させて、水の引き具合と、火山の様子を、

　　確かめに行ったらしい。」

　「二旬節・・・」

　シシィは、少しほっとした様子を見せた。


　その頃、ソルダムは、サフィール火山の麓を歩いていた。

　水は引き、その分、山は高くなっていた。

　遠く彼方に、水城のように、サフィール宮殿が、

その白い屋根を、水面から覗かせている。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　続く

　
　トゥモーロス先生。火山探検だよ～～っ・・・なんちゃって。

　パストリアの宮廷絵巻より、やっぱり、冒険物の方がいいみたい。

　さあ、どうなりますか、乞うご期待

　では、また次回今日もお越し下さって、ありがとうございました。