ぶるんねん文庫

　「思いがけない電話」に

　ご登場いただきました、

　広島の先生から、

　なぜか頂いた、プレゼント。

　広島レモンとオレンジの

　ジャムとジュレ。

　さあのいた頃は、
　
　江田島蜜柑が有名でした。　　


　　　　Ｔｈｅ　Ｓｏｎｇ　ｏｆ　Ｗｉｎｄ　（３７５）

　「陛下は？陛下こそ、都の復興には、立ち会わねばなるまい。

　　オヴィディオの行方は、未だ分からぬのか？

　　それゆえ、わらわのような老人を、担ぎ出さねばと、

　　思い立ったのか？陛下は、どうされたのじゃ？

　　タンベルディにいるとか、テッセリムにいるとか、

　　ユーディスから、便りは貰ったが・・・そうだ、テッセリム・・・

　　そち達、テッセリムより来たと、言わなんだか？

　　陛下の行方について、何か知っておるのか？」

　「陛下は・・・」

　ハズリックは、次々畳み掛けてくるアルナス后の質問に、

やっと、応える隙を見出した。

　「陛下こそが、この度の復興の、最大の功労者でございました。

　　デルム川を塞ぐ巨岩を、宝の大剣の魔法の力にて、

　　打ち砕かれたのでございます。私は、現場に立会い、

　　この目で、陛下の御活躍を、見ておりました。」

　アルナス后は、感嘆の声すら、出せなかった。

　ミリカが、そっと、おばあさまの腕にしがみ付いた。

　待ち焦がれていた、オヴィディオ王の消息であったが、

薄ら寒い予感が漂った。アルナス后は、声を振り絞った。

　「では・・・では、オヴィディオは・・・」

　「巨岩は、轟音を上げて爆発し、デルム川は蘇りました。

　　しかし、陛下は・・・恐らくは、爆発に巻き込まれたか・・・

　　ただ今、下流域を、詳しく探させておりますが、

　　依然消息は、気配すら、掴めておりません。」

　ミリカが、鋭い悲鳴を上げた。

　アルナス后の体は、前にのめって、椅子から滑り落ちた。

　意識は、完全に、失われてしまっている。


　誰もが、年齢を考え、卒中を心配したが、幸い、

一刻ほど後には、意識が戻った。手足に麻痺はない。

　ハズリックは、「お引取りを」と、しつこく繰り返す村長に、

まだ、報告が終わっておらぬと、語気を荒らげた。

　医師が、診察を終えて、割って入った。

　「重病を発していないから、お話されるのは構いません。

　　が、あなた様がお話になると、ショックが蘇り、

　　こんどこそ、卒中を起こすかも知れません。

　　聞けば、もう御一方のご報告が、まだとか・・・

　　そちらの方のみ、面会されるのなら、よろしいでしょう。」

　トゥモーロスは、足音を忍ばせ、アルナス后のベッドに近付いた。

　勿論、医師の立会い付きである。

　「そちは、ハズリックと共に来た・・・」

　「テッセリム神殿長、ウィリム・トゥモーロスと申します。

　　ハズリック副市長と共に、テッセリムにて、民の束ねを、

　　司っております。陛下は、一時テッセリムに御滞在され、

　　私は、小神殿の神殿長を、陛下より直接、

　　仰せ付かったのでございます。

　　小神殿の神官に拠りますれば、オヴィディオ陛下の波動は、

　　陛下の御健在を、徴しているとの事でございます。

　　逆に、黄泉の道に、陛下の気配は、一切ないと・・・

　　陛下は、多分、生きておいでなのです。

　　爆発の折、ガラノデルムに詰めておりました、アクティオン将軍、

　　副官の仙術師と、女性衛士が、共に消息を絶っております。

　　また、当時、テッセリムにいた、陛下の御友人の魔術師、

　　ポルトル村に滞在中の、陛下の同行者達が、いずれも

　　突然、行方不明となっております。彼等は、陛下と共に、

　　誠に信じ難い冒険を、踏んで来た者達です。

　　恐らくは、また、何かの悪業に対峙する為、

　　姿を、隠されたものと思われます。

　　どうか、お気を強くお持ち下さい。陛下はきっと、、ご無事です。」

　あまりにも、心細い言葉であった。

　だが、アルナス后は、一すじ、二すじと、涙を流したが、

それ以上は泣かなかった。神官の魔力の確かさは、知っていた。

　・・・信じるしか、ないのであろう・・・

　ヘリアンタで、ファーゴの手に落ちたときも、すぐ近くにいたのに、

心残しながら、バルツァードの危機に、駆け行ってしまったと言う。

　今度もまた、手の届く所にいながら、すれ違っているのだ。

　「分かりました・・・今の話、信じて、待ちましょう。

　　だが、サフィールへは、まだ行かぬ。

　　わらわは、オヴィディオに迎えられたい。老いた母は、

　　息子に会いたいのだと、ハズリックに申し伝えてほしい。」

　二人が、村長宅を辞し、宿に戻る頃、同じく医師が帰宅し、

急ぎ、薬種商人に、使いを出した。卒中や気鬱の薬に使う、

薬草の手配であった。そこから噂が、街道を駆け巡った。

　噂は、聖域を抜けたばかりの、ソルダムの耳に入った。

　ソルダムが、急遽アクイラへ向かった事は、言うまでもない。

　傍らには、シシィが従っている。

　　　　　　　　　　　　　　　　　続く

　Ｗ先生のお誕生日は、水瓶座と魚座のちょうど境目って言う事で、　

　トゥモーロス氏の設定は、魚座。夢見がちで、温和。

　水瓶座にしちゃうと、双子座と似た性格になるんで、（同じ、「風」のエレメント）

　小説として、ヴァリエーションに乏しくなっちゃう、と言う、言い訳。

　さあは、占星術師だけど、頼まれない占いは、原則やらない。

　だから、誕生日分かったからって、ホロスコープ書いたりしません。

　恒星宮占いは、ね、毎朝、ワイドショーでやってるもん。

　では、また次回今日も、お越し下さって、ありがとうございました。