ぶるんねん文庫

　写真のねた切れです。成安造形大学、進級制作展。３年から４年に上がる時の制作。

　デザイン領域の作品が、面白かったです。商業用パッケージ。

　左は、三角錐を組み合わせた星型。中身は宝石のような、グミ。

　綺麗だが、売り物としては、やや危険かも。右はハンカチ。ウサギのお耳がハンカチの端。

　これを作るって事は、あとは、卒論にあたる、卒業制作に専念すればいい、って事。

　親馬鹿さあは、来年度はこれだ！と、勇んで見に行ったんだが、

　・・・まるねこ休学・・・こんな事態になろうとは・・・


　　　　Ｔｈｅ　Ｓｏｎｇ　ｏｆ　Ｗｉｎｄ　（３６８）

　地上では、セヴィリスが猛勇の働きで、吸血蔦の侵略を

食い止めていた。六神官は、聖堂を閉め切り、内側全てに、

火を掛けようとしたが、それを押し留め、火の精霊のフレイを、

呼び出させると、蔓の本枝を探し出し、的確に焼き切って行く。

　枝の元にある嘴に、注意するよう呼びかけ、慣れぬ槍剣に

四苦八苦する僧侶達に、攻撃方法を指導した。

　オリザ姫とジャドゥビスは、ケルビンを担ぎ、ミランとドリスが、

伸び続ける蔓を、懸命に切り払う後を、必死について行った。

　オリザ姫は、螺旋階段近くへ辿り着いた時、握り拳ほどの毛玉に、

鉤爪のある化け物が、蔦の嘴に刺されて、もがいているのを見て、

思わず、その蔦の枝を引き抜いた。

　蔦の嘴は、新たな獲物と見て、オリザ姫に向かって伸びた。

　が、ジャドゥビスが、ものも言わずに、その枝を切り捨てた。

　毛玉の方も、恩を思わぬのか、助かったと見るや、オリザ姫に

牙を剥いたが、こちらは、ケルビンの電撃が追い払った。

　闇の魔人の魔力は、この状態でも、なお健在だった。


　霧の引力が更に増した。

　炎が燃え続けることも出来ぬ、猛風が吹き荒れる。

　化け物の死骸が、次々、黒い卵型の中に飛び込む。

　新たな化け物は、もはや、現れては来ない。

　オリザ姫は、後詰をジャドゥビスに任せ、一人でケルビンを

背負っていた。ミランとドリスが両側から、螺旋階段を引き上げる。

　オリザ姫は、ドーム中央を振り返った。

　拍動する闇は、苦悶に打ち震えているかに見えた。

　事実、闇は、戦慄していた。

　「・・・ゾウオ・・・ゾウオガ、ナイ・・・

　　・・・チイサクナル・・・スクナクナル・・・

　　カワリニ・・・『アイ』・・・イロイロ・・・デハ、ナイ・・・

　　・・・ドレモ、ヒトツ・・・『アイ』トハ、タダヒトツノ、シュルイ・・・

　　モウイイ・・・ワカッタ・・・オオキイ・・・ツヨイ・・・

　　・・・ヒトツシカナイ・・・ソレナラ・・・

　　モウイイ・・・ジュウブンダ！！」

　黒い霧から、金色の爪の先が、ぬっと覗いた、その時だった。

　闇がはじけた。

　闇の欠片と共に、夜空の星より多い光点が、飛び散った。

　落雷の轟より激しい、大音響がドームのみならず、

九峯聖堂を越え、聖九峯までもを、揺るがせた。

　その轟音は、聖域全てにあまねく届き、後々までの語り草となった。

　揺れは、長くは続かなかった。

　螺旋階段を、あと、五、六段の所まで、来ていたオリザ姫は、

這うようにして、ケルビンをつれて、地上へ出た。

　眩しく輝く、白亜のドームは、今は明り取りの窓まで閉め切り、

地下と変わらぬ暗さである。

　その中央にある、ヘキサグラムの象嵌の上にあるのは、

地下にあった筈の、黒く巨大な卵型の霧の塊。

　「ど・・・どうして・・・」

　ミランも、ドリス、ジャドゥビスも、唖然としていた。

　黒い霧の前には、息も絶え絶えの、黄金色のドラゴン、

その傍らには、まだ上手く立てぬシシィを抱いて、

北の王が、呆然と、闇の中央を見つめている。

　「ユリシア・・・ユリシア！・・・ユリシアーッ！！」

　ソルダムが叫ぶ。

　ユリシアは、闇の引力から、逃れ切れなかったのか、

そこに、白髪の少女の、姿はなかった。

　シシィが、その膝から滑り降りて、同じく涙ながらに呼んだ。

　「ユリシア！ごめん・・・ほんま、ごめん！ユリシア・・・」

　闇が縮んだ。

　凍えるもののように、ぶるぶると震えながら、小さく小さく、

もはや、黒い霧ではなく、泥状の液体を通り越し、

柔軟な表面ながら、明らかな、固体の様相を示し始めていた。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　続く

　前回、予定通り、王様が、叫んでくれました。

　「これが、我が愛の形だ！！」

　嵐の大野君が、涙ながらに叫んでいる姿を、ご想像下さい！！

　２０１０年春に、思いついた結末が、このシーンでした。

　出だしが、首都水没、ラストがこれ！

　でも、それじゃ、話が薄っぺらい。で、枝葉をつけて、・・・つけて・・・

　つけすぎて、こうなりました。そして、まだ続きます。

　このファンタジーのテーマは、「愛」なのです！

　だから、みんな、彼女と彼に、ならなければならないのです！！！

・・・それにしても、熱い（誤字にあらず）

　ではまた次回ちょっと涼しい今日も、お越し下さって、ありがとうございました。