ぶるんねん文庫

　今年最後が、なぜか、サンプルピクチャ。写真のネタ切れ。

　日の入りが早くて、ケータイ写真が撮れない。帰り道が暗い。

　隠れ庭の風景も、去年と同じではね。

　どこか近くで、いい景色のところないかな　


　　　　Ｔｈｅ　Ｓｏｎｇ　ｏｆ　Ｗｉｎｄ　（２９７）

　「ケルビン！なんて事をするんだ！！

　　結界を破ると、こいつが暴走して・・・」

　セヴィリスは、必死にもがきながら喚いた。

　縄でぐるぐる巻きにされた上、立ち上がり難いように、

転がされていた。しかし、口は塞がれていなかった。

　ケルビンは、全く意に介さぬように、仰向いて、

一部が焦げ、壊れた結界図形を、凝視している。

　「まだ、この外側を破らねばならない。念の入った事だ。」

　アルフィーニは、靴のかかとを鳴らして、硬い木の床を歩き回った。

　「十四ヶ所を二重に囲むとは・・・バルツァードの魔術師達は、

　　余程、こいつを恐れていたと見える。」

　「ここまで厳重に結界を張るには、地下では無理だったわけだ。

　　いかに、鉱山技術が発達しても、正確に、地下を深く

　　掘り進むのは難しい。強固な岩盤が、あるかも知れぬしな。」

　ラダンが、板壁を調べながら、言葉を挟んだ。
　
　「そのための、塔の林立だったんですね。

　　空中に、結界を張るためのポイントを、作る必要があった。」

　ケルビンは、おもむろに頷いた。

　「しかも、どこがポイントかを、外来者に悟らせない為に、

　　必要のない塔まで、数多く作って、カモフラージュしてある。

　　必要最小限では、空中に図形が現れてしまう。

　　それでは、常人でも、気付いてしまうだろう。」

　ようやく、セヴィリスの目が、薄暗さに慣れてきた。

　広い空間の、そこかしこに、焼き焦がされ、壊された図版がある。

　天井の物とで、合計十三。恐らく下の階にも、既に壊された

図形が、もう一つあるのだろう。

　セヴィリスの「見者」の勘には、近くに、結界の気配を感じない。

　あとは、外の塔の、どこかの結界が敗れれば、この「黒い霧」が、

開放・・・いや、暴走を始めるのだろう。

　今や黒い霧は、最早、霧とは言えぬ、凝縮した闇の塊となり、

どくどくと、拍動を続けている。

　アルフィーニが、セヴィリスに近付いた。

　屈み込み、顔を寄せて問いかける。

　「どうだ、協力せぬか。こやつを操れば、この宇宙の全ての

　　謎の解答を、手に入れられる。

　　法術師ならば、のどから手が出るほど、欲しいものの筈だ。

　　勿論、我々とて欲しくてたまらぬが・・・

　　力を合わせれば、一刻でも早く手に入れられるぞ。」

　セヴィリスの心に、迷いの破片が生じた。

　その時、地下から、一段と激しい、邪悪な波動が湧き上がった。

　闇の塊が乗っている台座の、線彫りの明滅が、激しくなった。

　闇の表面が、ぶつぶつと粟立った。

　拍動は、戦慄に変わった。

　セヴィリスは、はっとした。

　・・・こいつが、本体じゃないのか・・・

　「御方様」は、こいつではないのだ。セヴィリスの直感が騒いだ。

　「断る！僕達の目的は、天変地異の原因を探し、元凶を

　　取り除く事だ。たとえ、こいつを暴走させる事で、

　　僕の人生究極の目標が、達成できるとしても、

　　無辜の幾多の人々とを、引き換える訳にはいかない。

　　それくらいなら、生涯無明の闇をさまよう方が、ましだ！！」

　どくん、と、大きく、闇が脈打った。無数の渦がその表を覆い、

どろり、と、形が崩れた。

　「怒らせたようだな。知らぬぞ、どうなっても。」

　アルフィーニは立ち上がり、セヴィリスから離れた。

　闇は、形の崩れた端から、再び霧状に戻り、セヴィリスの方へ、

ふわりふわりと、漂い寄って来る。
　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　続く

　やっと、出て来ました。ラスボス一個前。・・・これで、一応全員の所在は明確にしたし、

　一人、まだか・・・次から、第四章の佳境に入ります・・・と言う所で、年末恒例、お休みに入ります。

　三年目に突入

　ごめんなさい。だって、クリスマスに、ピザを食べる人が多くて・・・

　パン屋が、ピザ屋になる日が、近付いている。それも、あの、ピザもどき。

　大体、ピザって、お好み焼きじゃん。スナックだよ。御馳走じゃないと思うけど

　それに、あのチキンピザ。イタリア人に食べて貰いたい。　「何だと思う？」って。

　ではまた次回。成人式終わって、１月１６日にお会いしましょう。振袖、縫わねば。

　　　今日も、お越し下さって、ありがとう御座いました。

　　　　　メリー・クリスマス＆良いお年をお迎え下さいネ