2012年08月08日
彦根港 花火前日の風景

花火の筒を見てきました。


こんな所から、打ち上げるんだ。


懐古主義のウチのオヤジは、
「昔の花火の方が良かった」
子供心には、楽しかっただろう。






もう、子供には戻れないのだから。ねっ





The Song of Wind (246)
「ソルダムが現れて、ファーゴの正体を暴かなければ、
この戦、どこまで波及したか、想像つかぬ。
クァランドール世界全て、否、北は氷雪の民、
東は森の民、西域の国から、南洋の彼方まで、
巻き込んで、全世界を、荒廃させていたかも知れぬ。」
アルフィーニが、続きを引き取って語った。
「そこまですると、ファーゴに、何の益が生じるのか、
理解に苦しむが・・・」
「僕には、何となく分かる・・・あの黒い霧・・・
あれは、ファーゴが使う魔力が、顕現したものではない。
むしろ、ファーゴが、あれに使われている・・・
益は、あの黒い霧から、ファーゴにもたらされるのだろう。」
セヴィリスは、脳から搾り出すようにして、言葉を発した。
マヤリス妃は、皆を見回そうとしたが、叶わなかった。
「それでは、これより、どうされます?」
「黒い霧の、正体を探りに、参ります。
それが分かれば、ファーゴと霧を引き離せる。
ファーゴ個人については、裁きは司法に、任せます。
黒い霧がなければ、彼とて、一介の魔術師に過ぎない。
人として、裁かれるべきでしょう。」
セヴィリスが、はっきり言った。ソルダムが、僅かに身動ぎした。
マヤリス妃は、じっとセヴィリスを見た。
何かを言いかけ、しかし、恐らく、思う事と、違う事を話し始めた。
「皆の、道中の無事と、大願成就のまじないを、
してあげたかったのだけど、私の魔力は、
もはや、見習い神官よりも、弱くなってしまった。
こんな私のまじないなど、何の役にも、立ちますまい。
先程の、案内の尼僧に、祈りを授けてお貰いなさい。
その方が、ずっと確かでしょうから。」
マヤリス妃が、ドアの近くに控えた尼僧を、手招きした。
案内の尼僧は、壁際から一歩離れ、自分の一番近くに、
立っていたソルダムに、手を差し出すように言うと、
その手を、自分の両手で包み込み、祈りの言葉を呟いた。
アルフィーニは、躊躇ったが、尼僧の方に逡巡がなかった。
ドリス、ミラン、ジャドゥビス、ケルビンと、尼僧は、順々に、
マヤリス妃のベッドに近付き、セヴィリスの前に立った。
セヴィリスの両手が、差し出された。
尼僧は、その手を、いとおしげに包み、祈った。
その祈りは、他の者より、長くは、なかっただろうか。
手の放し際に、尼僧は、セヴィリスの左手を、特に、
力を込めて握った。その右手の人差し指の付け根に、
セヴィリスの左手を、鏡に映したかのような、ほくろがあった。
セヴィリスは、あっ、と、その手を握り返そうとした。
しかし、尼僧の手は、素早く、引っ込められてしまった。
祈りは、セヴィリスの傍らに立つ、風の娘に移っていた。
全員の祈りが終わった。
セヴィリスは、必死に、尼僧に話し掛けようとした。
だが、口を開くより早く、帰りの案内に、別の尼僧が現れた。
祈りの尼僧は、他の尼僧達の群れに、立ち混じってしまった。
ケルビンとユリシアに促され、セヴィリスは、病室をあとにした。
そのまま、何も問えず、僧院の出口に着く。
そこへ、また別の尼僧が、後ろから追い付いて来た。
最後尾にいたユリシアに、小さな守袋を、二つ手渡した。
「今、居られませぬ、お二方の分だそうでございます。」
もう我慢ならなかった。セヴィリスは、使いの尼僧の
腕を捕まえると、早口に問いかけた。
「さっきの、祈ってくれた尼僧は、誰なんです?
名前は?生まれは?何処の者と、言ってました?」
使いの尼僧は、驚いて、顔を上げた。セヴィリスを見返す、
その表情は、思いのほか幼かったが、答える口調は、
見かけの年の割りに、しっかりとしていた。
「尼僧は・・・外のお方に、申し上げる名を、持ちません。
生まれも、親元も、全て捨てて、九峯聖堂に参ります。
ただ、参った者全てが、尼僧になれる訳ではありません。
歌や読み書き、算術、薬草の知識など、何らかの特技が
認められなければならないのです。
・・・これで、お許し頂けましょうか。」
ソルダムが、そっと、セヴィリスの手を放させた。
若い尼僧は、一礼して、足早に去っていった。
ユリシアが、守袋を差し出して見せた。
微かに薬草の香りがした。
・・・薬草・・・ヴィオリアは、薬使いになる筈だった・・・
セヴィリスの双眸は、湧き上がる涙を、堪えられなかった。
・・・生きててくれた・・・姉さん・・・ヴィオリア・・・
顔も見せず、名も確かめられなかった。
一瞬の再会は、泡沫のように、終わってしまった。
・・・それでも、生きていたんだ・・・それだけでいい・・・
何があったかなど、知りたくも無かった。
様々に胸をよぎる思いを、セヴィリスは噛み殺した。
客殿の玄関には、麓のバルツァード隊から、
大仰な出迎えの行列が、到着していた。
第三章終わり 第四章へ続く
やっぱり、ここが、第三章の終わりですね。

生き別れた姉、ヴィオリアの、生存だけ明かしました。あのままじゃ、可哀想すぎるから。
変な所で切ろうとして、思い出したんです。



141回、マヤリス妃が、ヴィオリアでないと、判明した所で、後書きに、
「第三章終わりへの布石」って、書いちゃった事を。



まあ、多分、もう、出てきません。

では、また次回。



脱・0円ファン宣言!!!
大好きなのは、タロットカードの話
なんだかへんだな・・・
付け足し・・・Quarandolleってなんだ?
ふしぎちゃん女子
あ・・・あ・・・あたしじゃないーーーっ!!!!!
大好きなのは、タロットカードの話
なんだかへんだな・・・
付け足し・・・Quarandolleってなんだ?
ふしぎちゃん女子
あ・・・あ・・・あたしじゃないーーーっ!!!!!
Posted by さあちゃん at 00:00│Comments(0)
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