ぶるんねん文庫

　
　５人の相性を占ってみた。

　５人もいるんだから、当然かもしれないけど、

　ホロスコープに、ヘキサグラムが現れた。

　火と風のダブルグランドトリン。

　さあの解釈だけど、これを持ってる人は、

　どんな困難でも、何処からともなく、

　救いの手が、差し伸べられる。

　一人ずつだと偏りがあるけど、

　５人だからこそ、バランスが良くなって、

　欠点は補い合い、長所は吸収しあって、

　どんどんよくなる・・・んじゃ、ないかな？　


　　　　Ｔｈｅ　Ｓｏｎｇ　ｏｆ　Ｗｉｎｄ　（２４１）

　「そんな・・・無茶だ！

　　ユーディスに預けた隊が、聖域に着くのに、

　　まだ、半日以上掛るよ。どうしよう・・・」

　ミランは、自分の読みの甘さに、うろたえた。

　どの道、二千足らずで、一万超の大軍に、当たれる訳もない。

　衝突しないに、越した事はない、と、ゆっくり秩序を守って、

進軍するよう、言い置いて来たのだ。

　事態の急変を、知らせに行く、頼みの綱は、アルフィーニだが、

石の呪いで、昏倒してしまっている。ケルビンもセヴィリスも、だ。

　人垣から、ジャドゥビスが駆け出して来た。

　ファーゴは、手の中の石を見た。緑色の玉石が一つ。

　ありったけの呪いを込めて、ジャドゥビスに投げつける。

　小さな石が、見る見る、黒い霧の衣を纏ったかの様に

膨れ上がり、闇色の尾を引いて、ジャドゥビスに襲い掛かった。

　ガツン、と、音を立てて、銀色の虹が、宙を切った。

　黒い霧を纏った、呪われた玉石は、真っ二つに断ち割られ、

白い石畳に転がった。ソルダムだった。

　宝の大剣を振りかぶり、魔法の玉石を、叩き割ったのである。

　ファーゴは、残りの石を探したが、とっくに、ラダンが拾い集めた

後だった。ドリスとミランも、駆け寄って来た。

　地上には、もう降りられぬ。

　ネレイド王の、十二節の長杖は、本物なのだ。

　ラダンの魔力も知っていた。アナトスの下で、共に修行したのだ。

　何より、風の精霊を、どう倒せばいいのか、見当がつかない。

　常人的な力でも、降下は、ほとんど、死と同義だった。

　ソルダムの剣技は、超人的である。ドリス、ジャドゥビスは、

言うに及ばずだし、ミランは、奇妙な鎌の刃を使う。

　しかし、上空には、六神官のヘキサグラムが輝いている。

　それを超えて、浮上することは、出来ない。

　「戦え！戦争だ！全軍、進撃せよ！

　　マチアス！！そこに居並ぶ奴等を、全滅させるのだ！！」

　マチアスが、ぬるりとした仕草で、剣を抜いた。

　それが合図なのか、甲冑兵の一団が、ガチャガチャと、

戴冠式の列席者を取り囲んだ。全員抜刀している。

　盛装している貴族達の中には、老人も女性もいる。

　抵抗できる者は、多くはない。

　シドは、数少ない壮年男子として、飾り刀を抜いた。

　前面に出ると、ネルンブ村の顔役だった、マチアスが、

全く別人のように、正体のない表情で、周囲を睥睨している。

　若いジャドゥビスや、少女のドリスが、自分より前にいるが、

敵対しているのは、自国の甲冑を、着けた兵士達だ。

　それを見ると、シドは、それ以上前に出られない。

　一方、甲冑兵の方は、自国民だとか、貴族名士だとかを、

斟酌するつもりは、無い様だった。

　泣いたり騒いだりする者達を、一箇所に押し込めるように、

次第に包囲の輪を、縮めていく。

　マチアスの表情に、凶暴さが現れた。大剣が振りかざされる。

　さっ、と、ソルダムの右手が、剣を突き上げた。

　ざぁっと、人馬が、聖堂の後ろの台地に現れた。

　ソルダムが現れた台地である。全員、甲冑姿の騎馬隊だ。

　「サフィール市民の義勇隊だ。総数二百。

　　ミラン、お前に預ける。

　　バルツァード新将軍へ、国王が初に命じる。

　　ファーゴの軍を蹴散らし、九峯聖堂を、

　　邪悪な魔術師から、守りぬけ！！」

　　　　　　　　　　　　　　　続く

　勿論、最凶座相、グランドクロスも、ありますが・・・

　この、最高幸運座相、ダブルグランドトリンに比べると、大分弱い。

　彼らの、「持ってる」って言うのは、こう言う事なんだな。

　意外なのは、年下の二人、ニノと松潤が、全体のバランスを、保ってる事。

　特に、松潤。いかに大野が芸達者でも、翔君が頭よくても、相葉っちが元気でも、

　我慢強い松潤が、調停役をしてなければ、なかなか、まとまる物じゃない。

　ニノの、頭の回転の速さも、必須だし。翔君は、突飛な一面があるからなぁ・・・
　
　では、また次回。今日もお越し下さって、ありがとうございました。