ぶるんねん文庫

　
　佐川美術館の感想文

　シルクロードの絵が多いので

　動物の絵は、らくだが多いです。

　砂漠では、らくだに乗ると、

　「らくだな～～」って、

　思えるからです。

　　　


　　　Ｔｈｅ　Ｓｏｎｇ　ｏｆ　Ｗｉｎｄ　（１８６）

　セヴィリスは、どうにか夕暮れ前に、宿に着いたので、

急な出発でも、あまり、人目を引かずに、支度ができた。

　ただ、即刻に発とうとすると、宿の者が止めに来た。

　夜の樹海は、ただでさえ危険であり、その上に、

ディーレンに入り損ねた、賦役や徴兵が、山賊のように、

うろついており、お嬢様方を連れて、夜旅など、

とんでもないと言うのだ。

　セヴィリスは、宿の者を押し切って、出発したが、

途中、一計を案じることは、忘れなかった。

　王女達を乗せる為に、調達した箱馬車から、肝心の

王女達を降ろし、代わりに、シシィとユリシアと、

責任を感じて、志願したイーヴェルを、姫装束で乗せたのだ。

　もう一台の荷馬車に、質素な旅行服で乗せられた、

四人の姫君達の護衛は、僅かに森番一人。

　セヴィリスの結界では、ファーゴや、黒い霧に

充分、対処できているとは言えず、ディーレンを避け、

夜闇をついて、樹海の真っ只中を進む、二台の馬車は、

行く人々の、破れそうな胸の鼓動が、心ある者になら、

聞き取れそうなほどだった。

　　　　　＊　　＊　　＊　　＊　　＊

　夜が明けた。

　ジャドゥビスは、たった今、城に着いたばかりを装って、

城門を叩き、モーズロードン王からの、正式な依頼書を示し、

三王女を保護したと、訴え出た。

　当然、城内には、騒ぎが起こった。

　城主も、その妹も、行方が知れず、空き城を、勝手に

切り取った状態とはいえ、他国の正式な使節に、

このような事が知れるのは、決して好ましくはない。

　ジャドゥビスにとっても、既に国許へも、姫達の兄王にも、

便りを出したと、写しを示されねば、或いは、即座に

切られかねない、緊迫した事態だ。

　パストリアは、ジャドゥビス達の事を、熟知しており、

同行している筈の、魔法使い達の、姿が無いのを、

かえって、不気味に感じていた。

　「本日中に、と、申されたか。

　　真実、三人の、王妹の姫達なのだな？

　　人違いでは、あるまいな？」

　ジャドゥビスは、むっとした。

　同行者の中に、姫達の姪であり、紛れもない、

南の島国の世継ぎ姫がいるのを、知っていながらの、

念押しなのである。失礼にも程がある。

　だが、ジャドゥビスも、強くは出られない。

　万が一、この一隊が、パストリア軍としての、表の顔を

かなぐり捨てれば、ジャドゥビスの命は、無いのである。

　今日中に、王女達が着き、この隊が姫達を擁して、

帰国の途に着き、帰る道行に、後続部隊を、引き返させ、

共に引き上げてくれれば、一番いいのだ。

　・・・それまで、自重せねば・・・

　ケルビンは、ジャドゥビスを、城内に送り込むと、

自分は城に入らず、どこかへ行ってしまった。

　アルフィーニは、ついに、間に合わなかったし、

ドリスとミランも、今はいない。

　ジャドゥビスは、休息に宛がわれた部屋で、

少しも休めずに、苛々はらはらと、気を揉み続けた。

　　　　　　　　　　　続く

　佐川美術館へは、同行者を間違えました。一人で行くべきだったな。

　ウチのオヤジと行くなんて・・・あの人、何でも詰まんなくさせる名人だから、

セヴィリアの子供達の絵も、「もっと、ぼろぼろの服装だったら、哀れっぽくて、いい絵だと思う。」

　なんて、言う。楽吉左衛門の花入れも、「全部、同じじゃないか。これなら一個で充分だ。」って。

　「コーヒーは？」「いらん」「お土産買う」「金沢の美術館でも、買ったじゃないか」

　「金沢に、平山郁夫は、なかったよ」「絵葉書なんか、皆同じだ。」

　絶対に、二度と、一緒に行きたくないと思う。

　・・・と、言う愚痴。では、また次回。今日もお越し下さって、ありがとうございました。