2012年03月14日

おひなさま その3

おひなさま その3おひなさま その3
 折角、アップも撮ったから、載せちゃおう。

 とっくに、片付けてなきゃいけない頃に、ねえiconN06


   The Song of Wind (182)

 「ここは、どこなんだ!貴様は誰だ!!

  パストリア軍が、なぜ樹海になんぞに、潜んでいたんだ?

  お前が手引きしたのか?

  ・・・そうだ、城へ戻らねば・・・おい!ここから出せ!!

  貴様が引っ張り込んだのなら、貴様の力で、

  俺を地上へ出せ!!」

 地上は、日が翳り始め、地底の泉は、急激に

暗さが増していく。ケルビンは、夜目が利くのだが、

喚き散らすイヴェルトの、不安を和らげる為、一つだけ小炎を

岩陰に灯していた。しかし、イヴェルトは、ケルビンに

当たるのを止めなかった。

 「何者だと訊いているのだ!返事をしろ!!」

 「・・・闇の魔人・・・」

 「何だと?!」

 「闇の魔人、と、名乗ったのだ。イヴェルト・ペトロス伯爵。

  お初にお目通り叶い、恐悦至極に存じます、

  と、言われなければ、不満か?この不測の事態に?」

 「だから、その不測の事態を、招いたのは、貴様かと、

  訊いているのだ!!」

 「もし、私が招いたとして、『はい、そうです』と答えて

  己が間者だと、認める奴が、いると思うか?

  事実を言うなら、私は、この泉の本来の持ち主に、

  ここに突き落とされた、被害者だ。

  相手の出方の、分からぬ内から、威圧的な態度で、

  物を言うと、自分の首を、絞めることになるぞ。」

 大抵の人間なら、ここまで諭されれば、大人しくなり、

相手の言い分に、納得するかどうかは、さておき、

逆上した自分が、何か、まずい事を、口走ったかどうか、

反省するはずであった。

 しかし、イヴェルトの脳には、反省と言う文字は、

ないらしかった。

 「ルテシア王宮において、五指に入る名家の当主に、

  そのような口を聞いて、後で後悔しても、知らぬぞ!!」

 「その、五指に入らぬ参謀長が、好き勝手するのを、

  名家の座に胡坐かいて、見逃して来たから、

  起こった、不測の事態だろう。

  言うなれば、自分で招いた事ではないか。

  巻き込まれた者達に、一言詫びたらどうだ?」

 どうやらイヴェルトは、ファーゴの所業も知らず、

ネレイド王の、西方遠征の意味も、正確には

理解できていない様だった。

 国王でさえ、多少の遠慮を、せざるを得ない身分を

物ともせず、横柄な口調で、畳み掛けて来るケルビンに、

イヴェルトは、暫し、目を見開いて、キョトンとしていたが、

矢庭に、相手の胸倉を掴むと、長身と腕力に任せて、

細身の体を吊り上げた。のみならず、剣を突きつけ、恫喝した。

 「あの成り上がり者が、何をしようと知った事か!

  今の問題は、俺をここから、出すか出さぬかだ。

  服装からして、魔術師なのだろう?

  とっとと呪文を唱えて、俺を外へ出せ!!

  早くせぬと、喉に風穴を開けるぞ!!」

 しかし、ケルビンの瞳は、目前のイヴェルトを、

見てはいなかった。その肩越しに、暗い泉の水面を、

じっと凝視している。

 「さあ!!早くしないか!!」

 叫びつつ、イヴェルトが、勢いをつけんと、

一瞬、剣を、引いた時だった。

 音は無かった。ひたひたと、水音だけが、砂を打っていた。

 しかし、ざわざわと、多数のものが揺れ動く気配が、

確かに空気を揺らし、イヴェルトの五感を震わせた。

 「な・・・なんだ・・・?」

 振り返ったイヴェルトは、叫ぶことも忘れていた。

 僅かな明かりの中でも、黒い無数の霧の塊が、

泉の表面を覆い尽しているのが、はっきりと見え、

岸からイヴェルトの背後へと、迫って来ていたからである。

               続く


 kao_3進まないな・・・もっと、テンポ上げたいんだけど・・・

 kao12ケルビンが、「細身」iconN06細いやんiconN04iconN04

 5人の中では、筋力もないらしい。まあ、他の4人が、力、あり過ぎかも知れないが・・・

 kao_16「・・・しやがれ」では、懸垂ができなくて、下から足を持ってもらってた。kao_15

 人の事は言えない。さあは、中学校で、斜め懸垂すら、できなかったから。face07

 今の方が、力あるかも・・・では、また次回。ハートひなまつりハート今日もお越し頂いて、ありがとうございました。



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Posted by さあちゃん at 00:00│Comments(0)ファンタジー
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