ぶるんねん文庫

　成安敷地内の喫茶店『結』です。

　入って、左手すぐの、飾りだな。

　右上端だけ、カードが入ってる。

　全部カップじゃないのが、いい。

　・・・偶然かな？

　　　　　

　ここからの眺めは、最高にいいです。

　外部の人も、O.K.

　・・・たぶん・・・


　　　Ｔｈｅ　Ｓｏｎｇ　ｏｆ　Ｗｉｎｄ　（１４７）

　鏡面は、姿や光だけでなく、声や音も反射するのか、

笑い声も、ドラゴンの爪が鏡を蹴る音も、反響が尾を引く。

　その中で、背にドリスを乗せ、アルフィーニは、

じっと、アネッサの波動を探っていた。

　直接、本人が発する波動は強く、濁りが無い。

　アネッサは、必ずこの鏡面の、向こう側にいる。

　向こうも、探られている事を知って、留まる事無く、

移動し続け、波動を撹乱する。

　無言の、静止したままの、激しい戦いが、時を押し流してゆく。

　ドリスは、息を殺して、待つことしか出来ない。

　突如、前触れ無く、アルフィーニが、一枚の鏡面に突進した。

　鋭利な硬い爪に、渾身の力をかけ、砕いた破片ごと、

目指すものを鷲掴みにする。

　ガラガラと球体が砕け、二人の上に降りかかったが、

アルフィーニは構わず、手の中に捕えたものを、

放すまじの勢いで、握り締めた。

　鱗ある指の間から、緋色のローブを纏った、赤毛の女が、

凄まじい形相で、身悶えしながら、アルフィーニを睨みつけた。

　「捕まえたぞ、アネッサ！我が姿を返せ！

　　それに、ミランを放せ！勿論、記憶も損ねずにな！！」

　「誰が！誰が！返すものか、放すものか！

　　あの者は、我の物だ。その娘子も手に入れる。

　　やめるものか！諦めるものか！！」

　ドリスが、恐る恐る顔を上げると、鏡の球体は、砕け消え果て、

偽の、ノビリア王宮の広間も、泥沼も無く、荒地の廃屋すらない。

　ただ、そこは深い森の中で、二人の上には、無数の木の葉が

降りかかっている。どうやら荒地自体が、罠であったようだ。

　それに気付いたアルフィーニは、怒り、ますます指に力を込めた。

　アネッサは、苦しがって喚き散らしたが、ついに疲れたのか、

ぐったりと、頭を垂れた。

　「わかった・・・わかったから、少し手を緩めてくれ。

　　息が・・・息が詰まる・・・」

　ここで、殺してしまっては、人の姿も、ミランも取り戻せぬ。

　アルフィーニは、僅かに指の力を抜いた。

　と、アネッサは、その隙をついて、鉤爪の指をすり抜け、

疾風の速さで、ドリスの背後に現れ、その長い黒髪に

手を掛け、引き攫おうとした。

　ぎゃあーっと言う、悲鳴を上げたのは、アネッサの方だった。

　目にも留まらぬ素速さで、剣を抜いたドリスは、

そのやい刃で、己が長髪をばっさりと切り放ち、

返す刃で、アネッサの、宙を踏む足元を、薙ぎ払ったのだ。

　ふいを衝かれ、ローブの切れ端を残して、アネッサは逃げ去った。

　アルフィーニは、背から滑り降りたドリスを、痛々しげに見た。

艶やかな黒髪は、常には束ねていたが、戦いの間に解け、

今は一部を残して、ザンバラになっている。

　「いいのよ。散髪に行き損ねて、伸びてただけだから。」

　「だからって・・・そんな髪になって・・・」

　ドリスは、左肩に残った髪も、あっさりと切ってしまった。

　「まだ、不揃いだな。明日、ルナンシアで床屋に行くといい。

　　それでは、人と会えぬだろう。」

　ドリスは、面倒臭そうに、顔をしかめたが、同意した。

　秋の日は、短くなりつつある。いつしか日暮れが迫っていた。

　　　　　　　　　続く

　髪、ばっさりシーンは、勝手にドリスがやっちゃった。

　作者、仰天です。・・・さあは、ドリスの実体モデルの、女優さんの、

髪の短い所、見た事無い。多分デビュー以来、ショートヘアだった事、ないと思う。

　さて、もしこれを書いて、UPする前に、この人が、ショートヘアになってたら、

　（本日、１１月１７日也）さあの予知能力も、本物なのですが・・・

　　　　・・・あ、ウィッグもアリって事で・・・

　　では、また次回。今日もお越しくださって、ありがとうがざいました。