ぶるんねん文庫

　娘の大学へ行って来ました。

　キッチンハウス先生とご一緒に。

　ギャラリー力石の、参考になるかと・・・

　あんまりならないみたい・・・

　やっぱり、学生は学生なんだな。

　卒業作品の中には、いい物もあったけど。

　学生の作品は、どれも、少々子供っぽい。

　先生方の作品を、もっと大々的に、あちこちに

置いてあれば、よかったと、思う。

　・・・これみたいに。



　　　Ｔｈｅ　Ｓｏｎｇ　ｏｆ　Ｗｉｎｄ　（１４６）

　グウッ、と、アルフィーニが呻いた。

　周囲を取り巻く、鏡の全てに、自身の姿が映っている。

　赤金色に光る目、牙の剥き出した口、棘を含んだ鱗に

覆われた身体。遠い西国の姫であった面影は、今は量れぬ。

　ドリスは、ぐるりと周りを見回し、見る鏡面全てから、

視線を返され、気が狂いそうになった。

　目を止めると、そこには必ず自分がいて、怯え、焦り、

或いは、苛立った目を、向けて来る。

　思わず顔を覆って、しゃがみ込む。

　が、足の下からも、視線を返され、ついにドリスは、

癇の立った、叫び声を上げた。

　自分で抑える事の出来ない、無理に抑えれば、

間違いなく発狂すると、思わせる絶叫が、続け様に

喉元からほとばしった。

　「ドリス、ドリス！しっかりして！！

　　私の背に乗って、顔を伏せていなさい！

　　何も見る必要はない。聞く必要も、無いのだから。」

　「よう言うわ。この鏡面空間から、脱出できずに、

　　己れの姿を失ったお前が、人に言える事か？」

　アルフィーニの、ドリスを庇う様子に、アネッサが、

茶々を入れる声がする。

　アルフィーニは、無視を決め込み、ドリスを、そっと

両手で包み込むと、首から背に押し上げた。

　ドリスは、ようやく落ち着き、たてがみに掴まりながら、

途切れ途切れの声で、尋ねて来た。

　「前にも、こんな所に、閉じ込められた事が、あるの？」

　「前の戦いで、な。あの時は、己れを失い、

　　今のお前のように、泣き喚いてしまったが、

　　今度は違う。同じ手に乗るものか。

　　なにより、今は一人ではない。お前がいてくれる。

　　これほど気強い事は無い。」

　「本当？足手まといじゃない？」

　「守らねばならぬものが、あると言う事は、人を強くする。」

　ケタケタと、耳障りな笑い声が、響き渡った。

　「人、とな？どこが人じゃ？

　　どこからどこまで、ドラゴンのくせして、

　　人がましい事を、言うでない。可笑しいて、可笑しいて、

　　腹の皮が捩れるわ！よう見るがいい！己れの姿を！！」

　カッと、球体内が明るさを増した。

　天井の、シャンデリアの蝋燭が、突然、倍に増えたのだ。

　明かりは、ドラゴンの身体を、容赦なく照らし、

ぎらぎらとした鱗を、鏡という鏡に映し出した。

　グルルル・・・と、けだもの染みた唸りが、

アルフィーニの、牙ある口から、洩れて出た。

　「アルフィーニ、挑発よ！乗らないで！！」

　「ありがとう。大丈夫だ、乗らぬ。

　　それより、ドリス、眠らぬように。

　　目を閉じていると、旅の疲れで、眠気が挿そうが、

　　我慢して、気を確かに。いいな？」

　私も大丈夫、と、頼もしい応えが、耳の後ろから聞こえた。

　その間中も、ずっと、クツクツケタケタと、厭味な笑い声が、

どこからとも無く、聞こえてくる。

　　　　　　　　続く

　尻切れトンボですみません。

　物凄く長くなり、ここしか、切る所がなかったんです。

　切って見たら、充分、二回分ありましたね。ビックリです。

　アネッサ・リー。嫌な奴ですね。珍しく、実体モデルの無い役ですが。
　
　もしかしたら、さあの、嫌～～な部分の、投影かもしれない。

　偉そぶってて、悪巧みが好きで、キラキラしいものが好きで、いい加減で・・・おお嫌だ

　　では、また次回。今日もお越しくださって、ありがとうございました。