2011年11月05日

名も知らぬ雪のような花

名も知らぬ雪のような花
  クラブダイヤicon12iconN11icon12ダイヤクラブ   

 道端の花。kao_10

 白く写ってるけど、

 本当は、ややアイボリー色。

 雪というより、雪花菜色。

 おからをこの色に、美味しく

 炊くのは、難しいですが。kao_01

   momiji秋真っ盛りのmomiji、一足早い、icon04雪景色。icon04ハートicon04 


   The Song of Wind (136)

 マヤリス妃は、誰に対するとも無く、話し始めた。

 「心ある石として、いつから存在していたのかも、定かでない、

  私は、ヘリアンタの北の荒野を動けぬ、物知らずな、

  一個の魔石だったのです。

  いつからかアナトスに、様々の事象を学び、アナトスは、

  私を石の赤子と呼んで、己の得た全てを、私に教えてくれました。

  ある時、遠乗りに出られた、若き日の陛下が、

  乗馬に疲れ、私にもたれられ、休息を取られました。

  その時、私は、人の言う恋を知り、陛下をお慕いする心を、

  止ます事が、できなくなりました。

  私はアナトスに、陛下と共に在れるよう、頼みました。

  『人となり、人の寿命を生き、人として、死と苦しみを

   甘受するか、このまま、恋を知った石として、

   大地と共に、あり続けるか。』

  アナトスは、私に問い、私は、人となる事を選びました。

  私は、アナトスの娘として、貴族の養女となり、

  侍女見習いとして、お城に上がりました。

  『お前の魔力で、お目に留まるまでは、画策してよい。

   が、それより後は、魔力を用いてはならぬ。

   恋するは自由だが、結婚は、相手の想いがあるゆえ、

   それの動くを、待たねばならぬ。』

  アナトスは、厳しく私に申しつけ、私は、言いつけを守りました。

  ですから、私が妃に上がれたのは、陛下の思し召しであって、

  私の力は、欠片も入っておりません。

  それだけは、陛下にお信じ頂きとうございます。

  父は、ファーゴが、私の力を狙っている事に、危惧を感じ、

  自分が、ファーゴに加担する数名を道連れに、

  死罪となることで、私を守ろうとしたのです。

  あとは、手紙に認めました通りでございます。」

 手紙?とネレイド王は、げげんそうにした。

 マヤリス妃は、ファーゴに叩き落されたまま、雲の上に、

留まっていた虹色の球を、ネレイド王に差し出した。

 王の手に渡ると、それは、するすると伸び、

新品のようになった。魔法文字の方が、現れている。

 王はそれを読み、言った。

 「恨んでおろうな。」

 「は?」

 「余を、恨んでおろう。冤罪でアナトスを死なせた。

  師とも父とも、仰いで居ったであろうに。」

 「いいえ。」

 マヤリス妃は、再び王の膝下に跪いた。

 「父は、既に死んでおりました。

  一度死に、私の為に蘇り、後は、死の恐怖と苦痛に

  耐える日々でございました。」

 ケルビンが目を見張った。どれ程の力があれば、

死の運命に、逆らえると言うのか。その驚愕の表情が、

アナトスの力の強大さの、証明であった。

 「ファーゴの企みを知った頃、寿命の尽きた父は、

  力を振り絞って蘇り、私の為に、企みの根を断ち切ると、

  喜んで断頭台の人となり、斧の落ちる直前に、

  この世の敷居を、自ら越えました。

  ですから、父は自分で死んだのです。

  陛下のせいでは、ありません。

  お恨みするすじなど、何もございません。」
  
 何時の間に、降下し始めていたのか、一行は、

薄い雲を通り抜け、ゆっくりと、地上に近付いている。

 降り立った所は、太陽宮の中庭であった。

 長く、法術師に支配されていた城ゆえ、空から人が

降りて来たとて、驚いて、騒ぎ立てる者も無いが、

マヤリス妃を知らぬ者共は、一応は、ざわめき

見慣れぬ外来者の事も、遠巻きに、様子見をしている。

 ネレイド王は、本丸の御座所に戻るために、

大またに歩きながら、次々と指図を出してゆく。

 一行の内、アルナス后とミリカは、マヤリス妃と共に、

女宮へ、他の者たちは、中の丸と女宮の間にある、

客殿に通された。セヴィリスは、暫くして意識を取り戻し、

数箇所の火傷には、すぐに、医師の手当てが施された。

 ネレイド王は近侍等に、ファーゴの使用していた所を、

全部、捜索するように命じ、怪しげな物、不審な点など、

総てを、王の前に提出させた。

 ネレイド王が、何より驚いたのは、一国の参謀長が、

他国の王女達誘拐事件に、関わっていた事であった。

 これは、すぐにでも解決に、協力せねばならぬ。

 そして、手懸りは見つかった。

 ヘリアンタから、東へ十日程の距離にある、樹海地方。

 国境も定かに引かれぬ、クァランドールの、東の外れ。

 ディールヴァ城の、跳ね橋の鍵が、ファーゴの

執務机から、見つかったのだ。

            続く


 125回で終わる予定が、かなり超過しています。kao_3次回で終われるかなぁ・・・

 もちろん、第2章が、ですけど。iconN36kao_19icon06
 
 では、また次回iconN12iconN10iconN12今日も、お越し下さって、ありがとうございました。



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Posted by さあちゃん at 00:00│Comments(0)ファンタジー
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