2011年09月18日

風の歌 116

風の歌 116 お鍋の中は、冷凍イチゴ。いちご

 ウチの家で、収穫した物。iconN12いちごiconN12

 これからジャムを作ります。kao05

 隣のコップは、ぶどうドリンク。

 この前の、写真の一房。icon22kao_22

 イチゴと一緒に、ミックスジャムにしようと

 お鍋で一煮立ち。種と皮を漉したら、

 きれいな液体が、出来てました。icon12iconN24icon12

 飲んで見たら、あら、あまい。kao_16

 お砂糖入れるなんて、もったいない。kao11

 そのまま、飲み物として頂きました。おいしかったで~す。クラブiconN08ハートiconN08クラブ


   The  Song  of  Wind  (116)

 ドリスを担いだミランは、始めこそ、勢い良く駆け出したが、

蜘蛛も敵兵も、追って来ないようだと気付くと、俄かに

力が抜けて、木の根肩にドリスを下ろすと、自分もへたり込み、

大きく息を継いだ。ドリス本人より、彼女の甲冑や武器の重みが

相当なものだったから、長く担いでは、いられなかったのだ。

 ドリスは、青草の上に降ろされると、自分で傷の具合を調べた。

深手ではないが、走り回るのは無理なようだ。

 応急処置は、なんとかできたが、出血はじわじわと続いている。

 血の臭いに、森の獣が来るかも知れぬ。

 ルテシア軍も、まだ近くにいるだろう。

 「もう少し、落ち着いた所で、止血できれば・・・」

 ドリスの言葉に、周りを見回していたミランは、

 「この辺の木々は、手入れされている。村が近いかも知れない。」

 と、言い出した。確かに、下枝を払った後があり、細い木を、

間引いた様子も見える。しかし、少しも安心材料にはならない。

 日は暮れかかっているし、山賊に行き会うかも知れぬ。

 両足に、怪我を負った状態では、座して死を待つ様なものだ。

 「あ、あそこ、見える?家みたいなモンがある。」

 ミランが、木々の間を指差した。

 「人がいれば助かるし、空き家でも、一晩、とりあえず

  安全に過ごせるよ。」

 ドリスは、立ち上がった。傷は痛むが、夜の森で、怪我人が

野宿して、無事な訳が無い。もし、あの家に敵がいたら、

それまでだが、今は、運を天に任せるしかない。

 ミランに助けられ、歩いてみると、程なく、人の作った道に出た。

 そして、家は思いのほか近く、小さかった。全くの、小屋である。

 近くの村人が、焚き木を取りに来て、泊る為の小屋であろう。

 一方に、寝台と言うより、寝棚と言う程の物があり、

ドリスは、やっと落ち着いて、傷の手当ができたが、

血は、思うようには、止まらなかった。

 「血止めの薬があれば・・・

  セヴィリスなら、薬草に詳しいのに・・・」

 ドリスが言うのを聞いて、ミランは、立ち上がった。

 「このあたりには、アーリー婆さんって言う、薬使いの

  お婆さんがいるはずだ。村へ行って、聞いてくるよ。

  道なりに行けば、村に着くはずだ。」

 「それは、そうだろうけど・・・

  どうしてアーリー婆さんなんて、知ってるの?」

 「だって、オレ、この辺の生まれだもん。

  親父が、昔、命を助けてもらったんだって。

  だから、待ってて。多分真っ暗にならない内に、帰るから。」

 そう言い置いて、出て行ったミランは、暫くして、本当に、

夕闇をついて、戻って来た。手に、一抱えの荷物がある。

 「婆さんの家を、訊いて来たよ。ここから南の方だって。

  ちょっと遠いけど、食料と蝋燭を、手に入れて来たから、

  食べて休んで、もう一回、待ってて。

  明日の朝には、薬を買って、戻ってくる。」

 ドリスは、ミランの気遣いの、細かさに驚いた。

 と、同時に、食料を見て、少し気が緩み、軽い口調で尋ねた。

 「もしかして、おうちに帰ってたの?

  お母さんに、持たされたとか・・・

  この辺の生まれって、言ってたけど・・・」

 「いいや」

 「でも誰か、幼馴染にでも、会ったんじゃないの?」

 ふと、ミランの表情が曇った。

 「オレ、子供の頃の、記憶が無いんだ。

  小さい頃、行方不明になってたんだって。

  オレの覚えてるのは、十歳くらいからかな・・・

  アルテミシアの近くの、ラムゼーってとこで、

  宿無しの餓鬼共に混じって、暮らしてたんだ。

  そのうち、餓飢共、牛耳って、カシラやってた時、

  十三くらいだったかなぁ?・・・親父の知り合いの

  行商人が、オレを見つけて、親父の家に、連れて来たんだ。

  親父もお袋も、泣いて喜んだけど、オレ、実感、無くてさ。

  結局、家業継がされる前に、逃げ出しちまったんだ。

  だから、幼馴染とか、オレにはないんだ。

  家にも、もう帰れないし・・・」

 いつも、あっけらかんとしているミランの、心の陰を知って、

ドリスは、言葉を失った。

 「じゃ、行って来るね。もしかしたら、アルフィーニや

  セヴィリスが、見つけてくれるかも、知れないけど、

  南へ、森を抜けた所の、離れ里へ行ったって。

  多分、それで分かるから。」

 そう言い置いて、ミランは出て行った。

 星明りの道を、細い松明の明かりが一本、次第に小屋から、

遠ざかって行くのを、ドリスは、見送るしかなかった。

           続く


 ミランって、ただの天然系じゃ、なかったんですね。・・・って、自分で設定したんだけど・・・

 これ以上、後書きを書くと、ネタばらし、したくなるので、次回をお楽しみに、とだけにします。

      iconN08ダイヤスペードicon12コーヒーiconN22icon12ハートクラブiconN08

    今日も、お越し下さって、ありがとうございました。
    



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Posted by さあちゃん at 00:00│Comments(0)ファンタジー
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