2011年09月17日

風の歌 115

風の歌 115 今頃iconN04iconN05

 今頃です。kao_01

 ケータイ写真を整理中に

 まだ載せてない写真を発見iconN04

 名残のあじさい

 結構濃いピンクでした。

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  The  Song  of  Wind  (115)

 化け蜘蛛男と、毒蜘蛛の群れから脱した、セヴィリスと、

アルフィーニは、暫く巨木の根にもたれて、座り込んだまま、

動き出す事が、出来なかった。

 アルフィーニは、毒の雫で、鱗を焦がしていたし、

セヴィリスは法術で気力を、使い果たしていたのだ。

 一息ついた頃、アルフィーニは、口に咥えていた物を、

前足の間にそっと置いた。洞窟の奥で見つけた、きらきらしい小箱が一つ。

 「これを、探していたのかい?」

 セヴィリスが尋ねても、アルフィーニは、小箱を開けようと、

夢中だった。ごつい爪ある指で、宝石飾りの隙間を、

こじ開けようとしている。

 「開けて上げるよ。貸してみて」

 アルフィーニは、渋々という仕草で、箱をセヴィリスに渡した。

 鍵はついていない。からくり箱のようだ。

 金の透かし彫りを、数箇所押さえ、幾つかの宝石を動かすと、

かくり、と、蓋が動いた。アルフィーニが、返して、と言う風に、

前足を突き出して来る。最後は、自分で開けねばならないらしい。

 大きな鉤爪の間で、パカッと蓋が開いた。中は、金箔張りで、

目に見えるものは、何も入ってはいない。

 セヴィリス達にも、その周囲にも、取り立てて、変化は無い様に

思えた。が、それは、思えただけで、実際は、大きな変化が、

アルフィーニに起こっていたのだ。

 「ああ・・・アネッサめ、私の姿だけ喰って、言葉と魔力ばかりを、

  箱に封じていたな。あやつめ、許さぬ。絶対探し出して、

  全てを取り戻してやる。」

 美しい、澄んだ高い声で、そう毒づくのを聞いて、セヴィリスは、

呆気にとられた。

 ・・・誰の声だ?・・・

 「セヴィリス、ありがとう。姿は取り戻せなかったが、

  ようやく、自由に話せるようになった。

  それに、魔力を取り戻せた。これで、皆の役に立てる。

  本当にありがとう。助かった。」

 「アルフィーニなの?」

 「そう、私。西国から来た竜の魔女、アルフィーニ。

  さっきの、化け蜘蛛男は、アネッサ・リーの手下。

  あいつの二つ名の、『蜘蛛使い』は、あの手下を

  使っていたから。

  アネッサの、本当に恐ろしい所は、人の記憶を喰らう事。」

 「記憶を・・・」

 「あの、化け蜘蛛男も、僅かな魔力で、蜘蛛に変じた所を

  アネッサに襲われ、人としての記憶を、喰われたのだ。

  私は自ら、魔道対決を挑んで負けた。

  それ故彼女は、私の魔力など、要らぬとばかりに、

  箱に封じ、姿形の記憶だけを、喰ってしまったのだ。

  そして、ノーザン・ハイランドの氷窟に、二百年以上も閉じ込めた。

  だが、魔力を取り戻したからには、もう許さん。

  もう一度対決を挑み、人の姿を取り戻してやる。」

 いきり立つアルフィーニに対して、セヴィリスは、

徐々に冷静さを、取り戻して来ていた。

 「じゃあ、これからどうする?アネッサ・リーを探す?

  僕は、ミランとドリスが心配だし、黒い霧の騎士の正体も

  調べたいし、なにより、本当は、ヘリアンタに行きたくて、

  たまらないんだ。王妃マヤリスが、本当は何者なのか。

  確かめたくて、うずうずしてるんだ。」

 「生き別れた、姉かも知れぬと?」

 「うん・・・他人の空似かも知れないけど・・・

  それに、重病だとかって。それも、気になる。」

 「そうだな・・・まずミランとドリスを、探さねばならない。

  それに、氷窟から助け出してくれた、ダルトンには恩義がある。

  アネッサとの対決は、ダルトンの恩に、報いてからだ。」

 「いい?人の姿に戻るのが、後になるけど・・・」

 アルフィーニは、少し寂しげな、笑い声を立てた。

 「もう、三百年近い、獣の暮らしだ。慣れてしまった。

  それより、夜明けと共に、捜索開始だ。

  少しでも、眠っておかねば、私は兎も角、セヴィリスは、

  墜落してしまうだろう。」

 セヴィリスは、赤面したが、素直に長杖を抱いて、目を閉じた。

 ドラゴンは、その周りにとぐろを巻き、風と外敵から、

セヴィリスを守りながら、自らも眠りに着いた。

          続く

      
       クラブicon12ダイヤicon12クラブ
   
 今回は、説明と繋ぎですね。化け蜘蛛男は、大した事なかったな。

 アルフィーニの言葉遣いを、どうしようかと思って・・・

 女言葉にすると、この段階では、違和感ありすぎませんか?

 それと、自分で「貴婦人」って名乗るのも、イマイチだったので、

 「竜の魔女」って言ってます。でも、西の国の、お姫様でしたので、

 それを知ってる人は、「竜の貴婦人」と呼ぶわけです。

 では、また次回。iconN12iconN08iconN12 今日も、お越し下さって、ありがとうございました。  
 



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Posted by さあちゃん at 00:00│Comments(0)ファンタジー
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