2011年09月14日

風の歌 114

風の歌 114 雲ひとつ無い、快晴の夕焼け。
 
 空の色が、グラデーションして、

 きれいでした。kao_10

 陽の光の残っている所の、

 檸檬色から、黄、山吹、蜜柑、橙、

 サーモンオレンジ、薔薇色、薄紫、

 青紫、青、藍、紺・・・そして黒へ。

 ・・・う~~ん・・・

 ケータイじゃ、無理だ・・・

   クラブ tenki_2 クラブ  



   The  Song  of  Wind  (114)

 長杖の明かりに、洞窟の奥の様子が、浮かび上がった。

 僅かに人の知性を持っていた、化け蜘蛛男の、住まいらしく、

片隅に、枯れ草を積み上げた、寝床らしきものがあり、

その近くの壁に、拳ほどの石を集めて、埋め込んだ箇所がある。

 いかにも、何かを埋めて、隠した様に見える。

 アルフィーニが後ろから、にじり寄って来た。

 そして、土壁に埋め込まれている、石の塊を見ると

セヴィリスの肩を、鼻先でつついた。

 「ここを、掘るのかい?」

 ドラゴンは、ふんふんと、頷く。

 セヴィリスは、石を穿り出した。三つも取り出すと、

奥に、空洞のある事がわかる。手を差し込むと、皮袋に何かを

詰め込んであるらしい物が、触れる。

 セヴィリスの手の動きが、速くなった。

 程無くして、中に、ごろごろした物を、一杯詰め込んだ、

大きな、かなり重い皮袋が出てきた。口は紐でぐるぐる巻きだ。

 アルフィーニの目の色が変わった。

 セヴィリスを押し退け、鋭い爪の前足で、紐を解こうとする。

 「解いてあげるよ。ちょっと待ってて。」

 紐は、巻きたててはあったが、複雑に結んである訳では無く、

意外と簡単に解けていった。

 中から、きらきらしい金銀宝石をちりばめた、様々な形の、

小さな箱が、幾つも出てきた。

 「なんだ、これ?」

 セヴィリスは、一つを手に取り、開けようとした。

 その手を、アルフィーニのごつい手が、掴んで止めた。

 迂闊に、開けてはならぬらしい。

 アルフィーニは、がらがらと、小箱の山をひっくり返して、

何かを探している様子だ。

 セヴィリスは、きらきらの山を、アルフィーニに任せて、

そっと周りを見回した。積み上げた枯れ草が、長杖の明かりに、

揺らいで見える。

 こんな所に、あいつは寝てたのか・・・セヴィリスは、

枯れ草の一部を、持ち上げてみた。

 その下に、天の川の星を全部、赤黄色く染めたような、

数え切れない光の、点々があった。

 セヴィリスは、パッと、枯れ草を元通り被せた。

 薄明かりで、一瞬しか見なかったが、それらは確かに

生きて蠢いていた。

 法術師は、医術をも修める者が多い。

 ダルトンもそうであり、セヴィリスも、医術を学び、

人の害になる物は、徹底して教え込まれている。

 ・・・毒蜘蛛・・・

 枯れ草は、化け蜘蛛男の、寝床などではなく、奴の飼っていた、

毒蜘蛛共の、隠れ家だったのだ。

 枯れ草が揺らいだのは、毒蜘蛛が蠢いたからである。

 さっきの、毒の雫も、こいつ等の吐く毒を、集めて滴らせて

いたものに違いない。

 「アルフィーニ・・・ここは、長居しない方がいいよ。

  早く出よう。」

 だが、アルフィーニは、小箱を一つ一つ確かめていて、

全然、耳を貸そうとしない。

 「まずいよ・・・凄くまずいって・・・」

 毒蜘蛛共は、飼い主がいなくなった事を、感じ取っているのか、

ごそごそと、枯れ草の下から、這い出そうとしている。

 アルフィーニが小箱の一つを、長杖の明かりにかざした。

 目指す物を見つけたらしい。そして、やっと、枯れ草の

異様な動きに気付くと、セヴィリスを急かして、狭い通路を戻り始めた。

 アルフィーニは、枯れ草の下にあるものを、知っているのだ。

 小箱の一つだけを、口に咥え、残りの小箱を放って、地上を目指す。
 
 後ろからは、まだ目指す相手も定まらぬ、小さいが、

強烈な毒のある、無数の小蜘蛛が、うろうろと、

通路を、這い回り始めている。

 セヴィリス達を、追い始めるまでに、地上に出て、

洞窟の入り口を、塞がなくてはならない。

 
 地上は、とっぷりと日暮れ、真っ暗な夜が来ていた。

 アルフィーニは、外へ出ると、その長い尾で、洞窟の口を

叩いて、土を落とし、埋めて塞ごうとした。

 「どいてて、アルフィーニ!法術で塞ぐ!!」

 セヴィリスの右手から、純白の閃光が、続けざまに飛んだ。

 洞窟は、閃光に土を崩され、瞬く間に埋まってしまった。

 セヴィリスは、その出来映えにほっとし、同時に、

自分にできた事柄に、驚いていた。

          続く


 またまた、すみません。kao_9

 化け蜘蛛男の正体・・・持越しです。別にいらないですか?こんな不気味キャラ・・・kao_12
 
 セヴィ君の成長を、先に出しちゃった。kao_16

 だって、昼間、出来なかったのに、ねえ?「続け様の攻撃」って・・・iconN36kao_13icon12

 三つ首犬にも、手こずってたっけ。kao_6icon10

 人間、切羽詰れば、出来るモンです。icon22kao_10icon06

   では、また、次回。iconN12iconN08point_5icon12iconN07icon12point_5iconN09iconN12

       今日も、お越し下さって、ありがとうございました。



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