2011年08月20日

渡り蟹のお味噌汁

 今回また、長くてすみません。 kao11kao07kao11

 ドラゴンのアルフィーニの正体と、本名が登場します!!kao_16

 人間だって事は、第一章で独白してましたが(63回・5月15日)、皆にばらすシーンです。kao_01

 もうちょっと、後にしようかと思ったんだけど、kao_5

 コンヴァラリア男爵が、icon16icon16お忙しそうなのでicon16icon16、ここでComing Outにしました。

 ミランが、結構セリフ多いです。icon12iconN36icon12

 天然系に喋らすと、長くなるけど、kao_10この際、仕方ないですよねiconN07iconN08iconN07



   The  Song  of  Wind  (103)

 サイスの町で、今日こそヘリアンタへ入れると、

早朝から、支度を整えていた、オリザ姫達の一行は、

ルテシア軍、コーブリオン進攻の為、今日明日も、関所の

一般の通行差し止め、と聞いて、驚愕を隠せなかった。

 ルナンシア近くに、生まれ育った筈の、ミランなどは、

 「コーブリオン?何それ。どこにある国?」

と、言った具合で、言い伝えにすら、聞いたことが

無い者も、決して、珍しくは無い国である。

 オリザ姫も、歴史上に滅び去った国だと、信じていたし、

ジャドゥビスですら、無国籍地帯に、そう名乗る地域が

あるらしいと、学問所で習った、などと言う。

 コンヴァラリア男爵は、マヤリス妃重態、或いは、

逝去との報告を受け、名ばかりとは言え、養父であるから、

情報の確認に追われ、その上、軍隊の、華々しいお通りに、

沿道の警備の、手配もせねばならず、ゆっくり、客人等の、

相手のできる、状態ではない。

 皆は、放って置かれるのを、良い事に、数人が

館のテラスから、黒光りする行列を、見物していたが、

そのうち、ふっ、と、オリザ姫の表情が曇った。

 「ケルビン、セヴィリス。来て下さる?」

 軍隊などに、興味が無いケルビンと、嫌な思い出のある、

セヴィリスは、居間にいたのだが、呼ばれてテラスに出て、

驚いた。行列全体が、薄っすらと、黒い霧に覆われている。

 「ダトゥーラ・ファーゴの軍隊か!?」

 「特に、あそこ。」

 オリザ姫の示す方を見た、術師二人は、己の目を疑った。

 逞しい黒馬に跨った、長身の騎士が、その黒い鎧兜の

上から更に、濃い黒い霧のマントを、たなびかせでも、

しているかの様に、後ろに従う者達を、黒い霧に、

巻き込みながら、進んで来る。

 恐ろしいのは、その隊の兵士達の、表情だった。

 ほとんど全員が、まるで型に嵌めて作った、人形の様に

無表情で、ただ前方を凝視している。

 中には、まだ、喜怒哀楽を窺わせる者も、あったのだが、

棚引く黒い霧が、呼吸のたびに、容赦なく、鼻口から入り込み

幾呼吸かの間に、見る見る表情を失ってゆく。

 更に、黒い霧に包まれている内に、自らが、霧の発生源に

なってしまい、さらに後ろの者達を、巻き込む兵士までいる。

 ケルビンは、その様子に、思いっきり眉根を寄せた。

 「本当に、ファーゴ一人の力だろうか。

  もしそうなら、奴は、世界最大の法術師と、

  言う事になる。」

 「だが、師匠に聞いた話では、あまり術も上達せず、

  覚えも良くなく、長く修行した挙句、破門されたと言う。

  この様に、術の枝葉を広げるだけの、力をどうやって

  得たのか、わからない。」

 セヴィリスは、眼下を通り過ぎて行く、黒い霧の騎士を、

じっと、見送った。

 「・・・セシル・アルナス・・・」

 「何?」

 テラスの別の角で、関所の大門を、シシィと並んで

見ていたソルダムが、聞き咎めて、振り返った。

 「・・・今、あの騎士の思念が、一瞬、読み取れた。

  セシル・アルナスと、はっきり読めたんだ。

  後は、漠然としてしまって・・・黒い霧のせいだろうか。」

 「・・・それは・・・母の名だ。」

 「何?どういう事?」

 オリザ姫も、ドリスもシシィも、近寄ってきた。

 ミランは一人で、手すりから最後まで、身を乗り出していた。

 しかし、皆が、集まって話し出したのに、自分だけ

子供の様に、見物に興じているのが、気不味くなって、

そぉっと、シシィの背後から、忍び寄り、話に加わろうとした。

 その時、厩の方から、鋭いいななきが、聞こえた。

 「アルフィーニだ。どうしたんだろう。

  早く来てって、言ってる。」

 ミランは、やっと、自分のやるべき事を見出し、

ほっとして、テラスから離れ、厩へと急いだ。

 セヴィリスとケルビンが、後に続く。

 自然、全員が厩の前に、再集合した形になった。

 ミランの姿を、見つけたアルフィーニは、足を踏み鳴らし

首を振りたてて、酷い興奮を表していた。

 「アルフィーニ、分かったって。

  皆に言うから、落ち着いて喋って!!」

 ミランが宥めると、アルフィーニは、やっと少し落ち着き、

鼻を鳴らしたり、低くいなないたりして、しばらく何かを

話している様だった。

 それが、ひとしきりして、ミランが皆に向き直った。

 皆が注目する。ミランは、やや緊張して、話し始めた。

 「アルフィーニは、コーブリオンに行きたいんだって。

  この軍隊の目指す先に、自分の、目指さないと

  いけない相手も、いるんだって。

  だから、行かせて欲しいって。」

 「目指さないと、いけない相手?どういうことだ?」

 ジャドゥビスは、ミランの言動に、いつも懐疑的だ。

 「ずーっと前に、対決して、負けちゃって、

  もう、諦めてたんだけど、もし、この軍隊が、

  自分抜きで、勝っちゃうと、もう、

  人に戻れなくなるかも、知れないって。

  だから、・・・」

 「人に戻る?アルフィーニ・・・あなた・・・

  人間だったの!?」

 ドリスが驚いて叫んだ。皆も、同じ思いだった。

 「あれ?みんな、知らなかったの?

  知ってると思ってた。

  ええっと・・・なんだっけ?

  遥か西の、最果ての国から来た、竜の貴婦人、

  トゥ・ファーレン・アルフィーニ。・・・あってる?

  ・・・そう・・・って言う名前の、仙術師。

  それが、アルフィーニの正体、なんだって。」

         続く


渡り蟹のお味噌汁渡り蟹のお味噌汁 
 ウチのオヤジは、釣りの趣味がありまして、つり

 釣るだけなら兎も角、タモっていう網で、杓って来る。kao12kao_3kao12

 この間も、渡り蟹の夫婦を杓って来てしまい、kao_16

 いらぬ殺生を致しました。二匹くっ付いてたんだとか。かわいそうに・・・kao_9




 で、結局、お味噌汁に・・・。ごめんね。水入らずのところを・・・face07icon10

     では、また、次回 

     スペード水泳iconN11tenki_1iconN11水泳スペード

今日も、お越し下さって、ありがとうございました。

  



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