ぶるんねん文庫

　我が娘。

　こう言う、味な事、

　書くんだけど、

　広告の裏とか、

　トンでもない所に

　描く。

　ちゃんとした所に、

　描いてくれないかな

　いつも言うんだけど、

　ねっ　


　　　　Ｔｈｅ　　Ｓｏｎｇ　　ｏｆ　　Ｗｉｎｄ　　（８７）

　「師匠！！お気を確かに！」

　セヴィリスの、必死な声に、ダルトンがようやく

薄目をあけた。息は苦しげだが、意識ははっきりしている。

　「騒ぐな。ダトゥールの手に、まんまと引っかかった。

　　わしともあろう者が、大失態じゃ。」

　「ダトゥールとは？」

　「ダトゥーラ・ファーゴ。この国の、参謀長じゃ。

　　ジュノス伯爵。よもや、自ら買って出た役では、

　　あるまい・・・脅されたか？

　　あやつのやりそうな事じゃ。」

　「師匠！それより、お加減は？」

　セヴィリスは、取り縋って、泣き出さんばかりだ。

　それを宥めるように、ダルトンは、できるだけ

何気ない風に、装って言った。

　「体の動きを、封じる毒じゃ。ムルトの庵には、

　　わしの作った、解毒剤があるのだが・・・」

　「アルフィーニ！！」

　ケルビンが、窓に駆け寄って、大声で天馬を呼んだ。

　刹那の間に、純白の天馬が窓辺に現れた。

　「ダルトンを頼む。ムルトの庵へ運んでくれ。

　　決してファーゴに、ダルトンを渡してはならぬ。

　　ルテシアを避けて飛ぶんだ。」

　それだけの間に、気味の悪い大蜘蛛が、続々と、

広間に入り込んでくる。

　ファーゴの用意した手勢とは、こやつ等の事に、

違いなかった。シドは、激しい後悔に駆られ、

決死の覚悟で、広間を脱出すると、武器庫を開き、

数本の長剣を、掻き集めながら、うろたえる館の男達に、

客人を守って、命を賭して戦えと、生涯初の命令を出した。

　セヴィリスは、ケルビンに、電撃で守られながら、

シシィと共に、アルフィーニの両翼の間に、体の利かなくなった、

ダルトンを、ローブのベルトで結び付けた。

　十二節の長杖を、そこに差し込むと、アルフィーニは

ちゃんと心得ていて、すぐに飛び立とうとする。

　それを、ダルトン自身が留めた。頭脳を含め、

首から上には、毒の影響が、無いようだった。

　「セヴィリス、よく聞け。敵は、ファーゴ一人にあらず。

　　様々が絡み合って、事を為しておる。

　　一つずつを糾しつつ、大元を追求せよ。
　　
　　そのために、集った星・・・今、ひとつが外れる。

　　残念だが、やはり、わしではなかった・・・

　　十の星を、一の樹木に乗せるのに、わしは当たわぬのだ。

　　聖域へ行け。九峯聖堂を訪ね、十人目の星を求めよ。

　　わしの代わりではない。真の星が、そこにある。

　　よいな、忘れるなよ。己の心の目を信じ、

　　信じたとおり動け。憎悪など、恐れるな。」

　ダルトンの言葉の途切れを、アルフィーニは過たず聞き分け、

強く羽ばたくと、勢いよく飛び立ち、空高く舞い上がった。

　最早、何ものにも引き降ろせぬ、高処に達したのを、

見届けると、ケルビンとセヴィリスは、戦線に加わった。

　魔物に当たるに、魔力に勝るものは、無いと言うのか、

ケルビンの本気の電撃に、化け蜘蛛は、見る見る数も

勢いも減じて行った。

　ついに、攻勢に転じた一行に、館の男衆の一人が、

シドの妻と母親が、食料庫に閉じ込められていると、

知らせて来た。ここの鍵を持つのは、領主の家族だけ。

　今は、シドしかいない。シドとソルダムが、駆けつけ、

扉を開けると、手足を縛られ、猿轡まで咬まされた二人がいた。

　妻の方は、何とか猿轡を外し、助けを求めたようだ。

　「あなた、あなた・・・焼き菓子に、変な臭いがして、

　　お出しするのを、止めようとしたら、

　　女中達が、急に・・・」

　「わかった。もう、何も言わなくていい。

　　私が悪かった事だから・・・」

　シドは、一時は諦めた二人に、命のあったことを、

天を仰いで、感謝した。

　化け蜘蛛共は、事ならずを悟ったのか、それ以上、

新手が加わる事無く、次第に退治されて、程なく全滅した。

　　　　　　　　　　　続く

　主要キャラ、総出演、と思ったら、ダルトンとアルフィーニが、

　戦線離脱・・・ダルトンは予定通りですが、アルフィーニは、

　帰ってきてくれないと困る。

　「西国から来た竜の貴婦人」は、必要なんです。この先・・・

　　　　では、また、次回　

　　　　　　今日も、お越し下さって、ありがとうございました。