2011年05月18日

おだまき

おだまきおだまき





















 その昔、源義経が、静御前に喩えた花だとか。

 うつむき加減で、清楚な花ですが・・・kao_21
 
 意外としぶとく、種からでも、宿根からでも咲き、kao_16

 次々とメンデルの法則に従って、いろんな色の花をつけ、kao_12

 その花弁の形たるや・・・何たる複雑怪奇さかiconN04

 びっくりですよface08 face08 face08 もうiconN04


    The  Song  of  Wind  (64)

 やはり、人の姿を奪われた時に、魔力をも失っているらしい。

 アルフィーニは、セヴィリスの気配を、探るのを諦め、

そろそろと、最大限の用心を払いながら、さらに下へと

降りて行った。脱出口となる横穴を探すより、セヴィリスを

探す方が先だと思ったのだ。

 自分の正体を知り、奪われた力と姿を、取り戻すため、

手を尽くしてくれている、ダルトンに報いなければならない。

 ・・・白い石の玉座の間・・・この鍾乳洞のどこかに、

広い石窟があれば、白い石の広間と呼べるだろうか。

 さまざまな形の鍾乳石の中には、人が腰掛けるような、

形の物もあるに違いない。アルフィーニは、少しでも、

広い空間を探して、どんどん下へと、降りて行った。

 アルフィーニは、「白い石の玉座の間」について、

ソルダムが、話していたのを、知らなかったのだ。

 無口なソルダムは、一度きりしか話さなかった。

 その時、アルフィーニは、ケルビンを乗せて、

コパロスに行っており、ジャドゥビスが、ケルビンに

説明した時には、馬小屋に入れられていたのだ。

 ソルダムの無口は、意外な所で、災いしていたのである。

 アルフィーニは、間違いに気付かぬまま、ひたすら下を

目指していた。

 しかし、目指す広間は無く、代わりに現れたのは、

冷たく澄んだ、青い地底湖だった。

 外光が湖底を青く光らせている。その光源を求めて

湖水を渡って行くと、水面に迫った天井に、

明らかな、人工の縦穴が開いていた。井戸である。

 アルフィーニはがっかりした。恐らく、多くの兵士が

必要とする真水を、ここから汲み上げているのだろう。

 大きな井戸だった。その直径が、兵士の数を物語っている。

 アルフィーニは、余裕で井戸から這い出した。

 鱗の間から、雫が雨のように滴り落ちる。

 少し感傷的だったことを、振り払おうと、獣そのものの

仕草で、身震いする。冷たい雫も、小暗い物想いも、

飛び散るかに思えた。

 その時、翼の羽ばたきが感じられた。

 羽音は無い。空を見上げたアルフィーニは仰天した。

ドラゴンををしのぐ大きさの、とてつもなく巨大な

ふくろうが、突如、鋭い爪をかざして、アルフィーニに

襲い掛かってきたのだ。対抗上、飛ばざるを得ない。

 アルフィーニは、巨大ふくろうと、空中戦を交えながら、

眼下に、信じ難いものを見ていた。

 モーズロードンの軍船が、黒い霧に取り巻かれ、

ギクシャクした動きの水兵達が、次々に上陸し、

同じく、ぎこちない動きの駐留兵と、まるで人形芝居の

戦の場面のように、戦いを繰り広げている。

 その兵士達が、刀折れ矢尽きると、次々に大灯台跡へ

逃げ込んで行くのだ。

 ソルダムは、大灯台を調べているはずだ。

 アルフィーニは焦った。

 ケルビンの手紙は失くしてしまったし、化けふくろうは、

異常にしつこかった。だが、兵士達が皆、操られているなら、

もう身を隠す必要はない。

 アルフィーニは、大灯台の瓦礫の上に、降り立った。

 跡地の中央に見える、天井をなくした地下室に、

小水妖が見え隠れする。操られて、ここに入り込んだ、

兵士を、奥へと追い込んでいる。

 そこへ、アルフィーニを追って来た、巨大ふくろうが着地した。

辛うじて、部屋の形を為していた石積みが、衝撃で大きく崩れた。

 その新たな瓦礫の中に、純白の石材を認めた時、

アルフィーニは、自分がとんでもない、回り道をした事に、

気がついた。だが、ようやく見つけた手懸りも、

そこから湧き上がった、黒い霧にかき消されて、

見失いそうになっていた。


 ソルダム達は、隠れ場所に次々飛び込んでくる、

両軍の兵士から、オリザ姫を庇う事しか、できずにいた。

 しかも、石と石の間から、黒い水が染み出したと思ったら、

それらが、見る見る形を得て、トカゲ頭の小人になり、

兵士等を手当たり次第に、下へと追い込んで行く。

 そのうちに土砂降りがきて、小水妖は、一時数を減らしたが、

雨の当たらぬ所で、再び増えてくると、今度は、

ソルダム達に迫ってきた。

 そこへ、降り立ったのが、巨大ふくろうだった。

 鋭い鍵爪の下で、石組みが崩れ、下階があらわになった。

 ソルダムは、我が目を疑った。夜中に調べた時には、

いなかった、青く光る斑点のある、黒いぶよぶよの妖怪が、

小水妖に追い込まれた兵士達を、次々に飲み込み、

だぶだぶに、膨れ上がっていたのである。

       続く

 
 あはは・・・「ぶよぶよ」とか、「だぶだぶ」とか、

 酷い形容しますよね・・・kao01

 これにも、実体三次元モデルがいると言ったら、

 誰だか、すぐ分かっちゃうかな?kao09

     いちご かえる icon12iconN08icon12 かえる いちご

 第一章、終結に向かって、走りたいんだけど、時間的制約が厳しいです。
                                  icon07tokei3icon07
 多分、第五章くらいまで行くかな?先が長いから、無理はやめようかな?
                                  
 でも、早く、第二章書きたい。ジレンマです。icon11icon08icon10icon15

 とにかく、JXの童話、書かなきゃkao_01。また、徹夜かなkao_12kao04 kao12 kao04

 でも、がんばります。最低3本は、出したい!!!iconN27本iconN27

     では、また、次回・・・おおっiconN04一発で『次回』が出たっiconN04iconN04icon12kao_22icon14icon12
        
         今日も、お越し下さって、ありがとうございましたicon06



 











 

 

 



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この記事へのコメント
おだまきの花、私の知っている花とは少し違っていますね
こんな色のおだまきの花も有るのですね
それに静御前に喩えたということも知りませんでした
これでも長作かと思っていたのですが、まだまだ第5章まで行くのですか
頑張ってください
ーやま桃ー
Posted by 岳友会BLOG事務局岳友会BLOG事務局 at 2011年05月20日 18:11
Dear やま桃さん
お読みいただき、ありがとうございます。
 慌てて調べなおしましたが、オダマキは品種が多く、同じ花?と
疑うほど、色形に変化があります。黄色もあるそうです。今回初めて、
知りました。
 和歌は、「しづやしづ しづのおだまき 繰り返し
               昔を今になすよしもがな」
 静御前が頼朝の前に引き出され、舞いを強要された時に歌ったとか。
義経が普段から「君の様な花だね」って言ってたのを、皆知ってたから
頼朝は怒り、政子が宥めたとか。
 「風の歌」長いです。すみません。もうすぐ、第一章終わります。
まだ、ミランの幼少期の秘密とか、アルフィーニがドラゴンの訳とか、
あるんです。書かせてください。お願いします。

 
 
Posted by さあちゃんさあちゃん at 2011年05月23日 09:40
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