ぶるんねん文庫

　おこてで形を整えます。　　

　手芸らしいのは、ここまでで、この次から、図画工作の時間です。

　先の細いペンチ、ワイヤー、ボンドなどを使います。

　ビーズ用で無くても、百均のラジオペンチで、できます。　　


　　　　　Ｔｈｅ　　Ｓｏｎｇ　　ｏｆ　　Ｗｉｎｄ　　（２５）

　連れ去られるように出て行った、オリザ姫の後を追って、

ドリスが駆け去る内に、何の気配も無く、王と王妃は退出していた。

　入れ違いに、三人の姫君達が、それぞれ、引き出物を手に現れた。

　彼女らの絵姿も、ジャドゥビスは見知っている。王の妹姫達、

オリザ姫には、叔母達に当たる王女殿下である。

　その高貴な姫達が、なぜ侍従のような仕事をするのかと、

ジャドゥビス達は、怪しんだ。

　姫達は、少しの不自然さもない仕草で、ジャドゥビス達の前に跪いた。

　「陛下よりの贈り物でございます。」

　それは、この城に入って初めて見る、本当の人間らしい動きだった。

　だが、滑らか過ぎる、その当たり前の動作が、この不自然さに満ちた

暗い広間では、逆に、異常に思える。それに妙に艶めかしい。

　三王女の、色気を含んだ視線に送られながら、ジャドゥビス達は

広間を後にし、控えの間に戻って驚いた。

　どこから忍び込んだのか、ケルビンがいたのだ。

　だが、セヴィリスはいない。

　「セヴィリスはどうした？」

　「地下道を見張らせている。行き止まりに見えるが、

　　何かのからくりで、塞いであるのに、違いない箇所がある。

　　そのからくりが、どうしても解けぬ。手がかりを探しに来た。

　　手伝ってくれ。」

　「手伝う・・・と言っても、今夜の小餐会が終わるまで、私は動けぬ。

　　主賓が消える訳にはいかぬ。」

　「私が行きましょう。」

　ティムが名乗りを上げた。

　「カインと連絡を取り合って、ケルビン殿の事は、残らず公子様に

　　届くようにいたします。」

　「オリザ姫には、ドリスを付けてあるのだな。」

　ケルビンが、念を押した。ジャドゥビスが頷くと、ケルビンは、

錦の織物を張った壁に、手をかざした。その手が青い光を放ち、

壁は、音も無く床から離れ、振り子のように向こう側へ

持ち上がった。向こう側には、石の通路が延びている。

　ジャドゥビス達が、あっけに取られていると、ケルビンは、

片目をつぶってこう言った。

　「この通路のことは、ダルトンに言うなよ。」

　セヴィリスを、地下に置いて来た理由は、

見張りでは無いらしかった。


　ルナンシアから、アルテミシアへの道は、街道は通じていても、

険しい山越えの道が続く、難所である。

　ソルダム達は、山に慣れた貸し馬を使って、進んで行った。

　「あと、どのくらいなん？」

　「あさってには、山を抜けられるよ。そしたら、楽な道になる。」

　「そっから、アルテミシアは、何日掛かるん？」

　シシィの質問は、そればかりだ。なのに、ミランは、何度でも、

繰り返し答えてやっている。根気強い男だと、ソルダムは

思っていたが、どうやら、何度もしつこく訊ねられている事を、

忘れているのでは無いかと、言う気がする時もある。

　そのミランが、いやに静かにしている。

　ちょうど昼頃だし、馬も休ませねば、と、休憩用の

小屋があるのを機に、皆が馬を下りた途端、

ミランが、崩れるように倒れた。二人が駆け寄ると、

息は荒く、凄い熱である。

　「後頭部の傷が、化膿している。その熱だろう。

　　医者がいればいいが・・・薬があれば、最悪、私でも

　　治療できる。シシィ、泣くほどの事はない。大丈夫だ。」　

　シシィは、倒れ込んだミランの傍らで、声も出ず、震え上がって、

大粒の涙を、ぼろぼろとこぼしているのだ。

　「死なへん・・・？よかった・・・ママみたいになるんかと思もて、

　　びっくりした。このまま死ぬんか・・・って・・・」

　そう言うと、シシィは、顔を覆って、母の死に泣けなかった分を

取り戻すかの如き勢いで、大声で泣き出した。

　　　　　　　続く

　また、長い上に、変な所で切りました。すみません。

　このあと、合流ポイントのシーンのために、

この“Ｔｒｏｕｂｌｅ　Ｍａｋｅｒ”さんには、もう一回トラブって

貰って置こうかな・・・と、いう感じです。

　「アルテミシア」って、何かのＲＰＧの、悪役キャラで、

有名なんだそうで、娘に指摘されて、びっくり　　　　

　植物の学名です。和名ミブヨモギ。虫下しの薬草です。

　人物名、他にも植物の人、います

　探して見てね　　　　ウォーリーを探せみたいだな・・・

　　　　今日も、お越し下さって、ありがとうございました。