ぶるんねん文庫

古代布にちょっとこだわって作りました

四季のうさぎと梅と菊で６面


底もこだわりました

蝶々は好きな柄ですが、押し絵にするのは難しいです。
　
花は五三の桐を作りやすくアレンジ・・・何の花かわからなくなった・・・

アレンジもほどほどにしないといけませんね





　　　　　真夏の昼の夢　　　（２）



　そもそも、この地下道を作った人は、

清掃ということを、想像しなかったのに違いない。

近くに水の供給源がないのだ。

　ボランティアのリーダーが、どこからかホースをつないで、

どうにか、側溝の泥を流したり、壁面を洗ったりするだけの

水量を確保したが、かなり遠くから引いているらしく、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
うまく出たり出なかったりする。　　　　　　　　　　　　　　　

一度様子を見に行った私は、

ホースの継ぎ目が外れてふき出した水を、

全身に浴びて、ずぶぬれになったことがある。

　それに、照明が薄暗い。

治安の悪さの最大要因に違いないのだが、

これは、清掃では解決できないので、

取り替えて欲しいと届けて、三ヶ月、

やっと、役所から視察にきた。
　　　　　　　　　　　　　　　　　
　リーダーが案内を始めると、掃除はだらけて、

なし崩しに終わりになったようだった。

「本当に、足元も危なくて・・・」リーダーの声を後ろに

私は力なく階段を上った。誰のための清掃なのだろう。

人のため、地域のため。違う。

私のため。お隣さんと、お向かいさんと、うまく付き合うため。

でも、少しもうまくいかない。他人のあらが見えるばかり。

もうやめよう。階段を踏みしめながら、そう決心した。


　そのとき私は、自分が黒い石段を踏んでいることに気がついた。

地下道の階段は、グレーのタイル張りだ。

私は、後ろを振り返って愕然とした。

黒光りした石造りの階段が、下へ向かって、

底知れぬ闇へと続いているのだ。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　続く


　　途中のにゃんこは本文と関係ない、娘のイラストです。

　　　（これを親ばかというんでしょうね）