ぶるんねん文庫

　皆様に、ご投票の御足労を

　お願いしておりました、ネコジロウＴＶ

　手芸大賞。結果。・・・ハズレ。

　ちょっと、形が変わりすぎましたか。

　元々、ブレスレットでしたから。

　用途が変わりすぎない方が

　良かったようです。

　写真投稿だから、出来栄えの巧拙は、

　写る範囲内だしね。

　まあ、作品は手許にありますから。

　それがなにより。

　まるねこの絵なんて、もう、アメリカから戻って来ない。それも、どうかと思うんですよ。

　保管されてるのか、どの程度大事にされてるのか、はたまた、捨てられちゃってるのか・・・

　捨てては、無いと思うんですが・・・ねぇ・・・


　　　　Ｔｈｅ　Ｓｏｎｇ　ｏｆ　Ｗｉｎｄ　（４０８）

　ようやく失恋の痛手も癒え、ジャドゥビスの心は、

浮き立っていた。

　故郷へ続く、見慣れた風景が、緩やかな峠ごとに現れる。

　「この丘の頂上が、国境だ。

　　右のコレー湖の向こうは、ナタレンス。

　　対岸の丘を越えると、『真白き三日月』が見えるよ。

　　湖岸に、公都グロリオーサがある。

　　ほら、赤い魔女を、ソルダムがやっつけた・・・

　　あの、グロリオーサ城のある・・・」

　説明に夢中になって、ふと気づくと、後ろをついて来る筈の、

ユリシアがいない。

　少し後方の、果樹園の途切れた所に、空馬がいる。

　湖を見渡せる高台があり、見晴らしの良い所だ。

　ユリシアは馬を降り、初夏の陽に煌く湖面に、見入っていた。

　「美しいわね。」

　急ぎ戻って、ジャドゥビスは、自分も馬を下りた。

　確かに、いくら気が逸っていても、黙って行き過ぎるには、

惜しすぎる景色だった。

　空は水浅黄に晴れ渡り、雲ひとつ無い。

　湖は、澄んだ水に青を映し、こまかに波立つ水面に、

蒼穹をあまねく映している。対岸の所々は、峻厳な崖で、

岩肌に、変わった形の潅木が茂っている。

　遠景の丘は、此方岸と同じく果樹園らしく、整った緑が、

ずっと続いている。

　頭上では、小鳥等が囀り、道端の野花に、蝶が舞う。

　「モンティエは、森と湖の国なんだ。

　　豊かで、温暖で、美しい・・・」

　「ノビリアを発つ前に、ジャドゥビスは、

　故郷に、手紙を出したでしょう。」

　「危険の少ない道だけど、いずれ疲れも出ると思って、

　　途中まで、迎えの馬車を、寄越して貰おうと・・・

　　でも、暫くは、静かに二人で、旅したいなと・・・
　
　　いろいろ、心も整理したかったし・・・」

　「行列でなくて、よかったと思うの。

　　こんなに静かに、景色を楽しめるんですもの。

　　私、手紙の宛名を見たの。『星降る森の国』。

　　そう書いてあったわ。」

　「そうとも、呼ばれる事があるんだ・・・」

　ジャドゥビスは、ユリシアと並んで、風景を見渡した。

　「夕べの宿は、少し山間だったでしょ。

　　だから夜明け前、星が、とても綺麗だったの。

　　西の方の森に、次々、沈んで・・・

　　まるで、森の向こうに、星々が還って行くみたい・・・」

　「モンティエは、都から西だからね。」

　「それで分かったの。『星降る森の国』の意味が・・・

　　キラキラと瞬く星の、帰って行く所・・・

　　それがジャドゥビスの故郷なのね。

　　わたしも、帰って来てよかった。

　　本当は、宇宙の星は、あんなに瞬いてはいないし、

　　・・・美しいけど、ひどく冷たく、そして静かで・・・

　　静か過ぎて、恐ろしく、暗く、底知れず深い・・・

　　それが、本当の、空の上の姿だけど、

　　私は、黒い霧を抱いて、その闇まで飛んだのだけど・・・

　　・・・本当は、私の役目は、そこで終わっていたの。

　　後は、ただ、僅かな星間物質の欠片として、

　　永遠に、闇の中を漂い続けるか、或いは、

　　大重量の天体の、重力に引かれて、堕ちて行くか・・・

　　この体も魂も、いずれ、かりそめの物。

　　役目が終われば、自然に消え行く・・・

　　なのに、私は、帰って来てしまった・・・

　　心を消し去るのに、宇宙は、余りに暗く冷たすぎたの。」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　続く

　ええっと・・・申し訳ありません。昨日昼。一発全消し

　復活できず。本日、朝から書き直しましたが、

　あれこれ雑用、更に歯医者の予約。虫歯が多くて・・・

　治しても治しても、昔の治療痕から、どんどん悪くなる。

　昔の金属って、ダメなんですね。今の樹脂は歯に良く馴染むらしい。

　で、今頃、４０８回のＵＰです。

　一応、水曜日の内ってことで、お許し下さい。

　　あと、２回で終わります。最終回、イヴイヴです。

　　　では、後２回お楽しみ下さい。今日もお越し下さって、ありがとうございました。