2013年10月05日

風の歌 400

風の歌 400 
 ネコジロウYVに、投稿した、

 作品写真。吊り飾りです。

 結構な手間でした。吊り台も

 慣れない電動鋸やドリルを、

 恐々使って、作ったし・・・

 ブレスレットから、吊り飾りなんて、

 あんまり思いつく人、ないよね。

 よろしかったら、投票、お願いします。

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    The Song of Wind (400)

 翌日、知らせを受けたソルダムが、急遽、会議を再開させた。

 オリザ姫が証人として出席、祖母の、行方不明となった経緯を、

自身の知る限り話し、次いで、ケルビンの証言が書面で

読み上げられた。ケルビンは、ベルバビーノへ帰ってしまったのだ。

 身の危険があると、帰国を進言したのは、アルフィーニだった。

 「あの魔都で、魔術師に手出しする者は、無いだろう。

  シシィが無事に、王妃に納まるまで、大人しくしている事だ。」

 さらに、二つのペンダントが示された。

 正式には、遠い南の島国からの、返信の内容如何だが、 

 反対者は減り、ハズリックも折れた。

 なにより、アルナス后が、賛成派に回っていた。

 ヘリアンタで、ファーゴに捕らわれた時、他の皆と一緒に、

シシィが、自分とミリカを助けるため、駆けずり回った事を、

王太后は、忘れてはいなかった。

 ラゥオールフィアからの返事は、オリザ姫の父王自ら、

シシィを我が妹と認め、その婚約を祝す、と、記されており、

加えて、長く行方知れずだった母の、後年の幸福と、

その死についての感慨を述べてあった。

 スコルド王は、先代王の暴君ぶりには、幼い頃より

心を痛めていたので、母が幸福な晩年をすごしたと知り、

肩の荷が下りたらしかった。

 だが、遠い国への書簡の往復は、早馬でも時間がかかり、

返信が届いた時、既に、デルム川修復は、かなり進み、

都サフィールは、余程の低地以外の水は引き、

土地は乾き始めていた。

 春も酣の頃、人々は復旧に大忙しだった。

 王宮は、高台にあり、早くに水が引いていたが、

居住に障りない所は、殆ど手を着けられていなかった。

 その中でも、王宮前広場に面したテラスは、欄干が

落ちてしまっていた。修復は、当然最後かと思われたが、

急に工事の手が入り、人々は驚いた。

 暦が夏に入る頃、ある朝、華やかに金管楽器が、

サフィール中に吹き鳴らされ、白馬に乗った礼装の使者が、

街々に触れを回した。

 「オヴィディオ王が、ご婚約を発表なさる。

  お相手は、南の島国、ラゥオールフィア国王の、

  御妹様、シティス・ノルトレーン様である。」

 人々は、様々の修理の手を止め、急ぎ作り直された、

テラスを見上げた。

 そこには・・・

 幸せいっぱいの、ソルダムとシシィ、それを温かく見守る、

アルナス后と、養い子のミリカがおり、祝福の万歳を唱える、

群集の先頭には、新たにサフィール市長に選出された、

ナウリス・ハズリックと、同じくサフィール神殿長に任命された、

ウィリム・トゥモーロスの両名がいた。

 シシィは、群集に手を振りながら、小さな声で歌っていた。

 初夏の眩しい日差しを揺らして、一条の風が行き過ぎた。

 バルツァードは、大厄災から一年余りを経て、ようやく、

本当に明るい季節を、迎えていたのだった。

       *  *  *  *  *

 その、めでたい季節を待たず、オリザ姫は

帰国の途に、ついていた。春下旬の良き日取りに、

ラミア王女が、パストリアのフリティラ大公に輿入れする、

その婚儀に参列して欲しいとの、手紙が届いていたのだ。

 出発の前日、アルフィーニは、ベルバビーノへ行くと言って、

一人、飛び立ってしまっていた。

 「魔術師には、魔都が似合う。ほんの二晩だったが、

  私には、呼吸しやすい空気があった。」

 それに、詣でねばならぬ墓も、その人の故郷も、

ベルバビーノが近いのだと言う。

 「いつでも、会えるさ。」

 赤い異国の長衣が翻ると同時に、アルフィーニは、

黄金のドラゴンに変じ、旋風と共に飛び去っていった。

 それより先に、ミランはガラノデルムへ戻っていたが、

それは、将軍職を返上する為だった。

 「オレ、将軍なんて、やっぱ、ガラじゃねェよ。

  きっと、もっと、『てきにんしゃ』が、いるって。」

 では、これからどうするかと問われて、

考え込んだミランに、焦った口調で、ドリスが言った。

 「じゃあ、どこかに、仕官するの?

  モーズロードンは、どう?勇士は大歓迎よ!

  いつでも、登用試験があるわ。

  ガラノデルムに、片をつけたら、ノビリアに来ない?

  きっと、ミランには、ぴったりよ!!」

                     続く


 ハズリック先生、トゥモーロス先生、お疲れ様でございました。

 出番終了でございます。いかがでしたでしょうか?

 異次元空間に迷い込んだり、悪モンに捕まって幽閉されたり、

 火山で噴火に追っかけられ、水の渦に引き込まれ、謎解きに付き合わされ、

 そもそも、書いてないけど、初っ端では、あの大厄災にあってる訳で・・・

 でも、とうとうなりましたね。サフィール市長と、サフィール神殿長に・・・

 あれ?時間切れ。では、また次回。今日も、お越し下さって、ありがとうございました。



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Posted by さあちゃん at 00:00│Comments(0)ファンタジー
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