ぶるんねん文庫

　これは、さあの通勤路の近く、

　隠れ庭の彼岸花。

　秋の初めの目の保養。

　ところが、草津川の土手で、

　咲き始めの一番美しい彼岸花を、

　お役所の指令で、ばっさばっさと

　刈り取ってしまったんだとか。

　放っておいても、すぐ枯れる花。

　花を刈る事に、意味があるとは思えない。

　写真撮影や観光に訪れた人は、

　皆がっくり肩を落としたんだとか・・・

　せっかく、タダで客寄せしてくれる、天然資源を、ゴミ袋に押し込んで、

　泥色の地べたばかりにしてしまうのが、行政らしい。

　お役人には、中学生並みの植物の知識も、ないのだろうか

　もったいない話である。（詳しくは、お気に入りの、「すしせいのおやじさん」をクリックしてね）


　　　　Ｔｈｅ　Ｓｏｎｇ　ｏｆ　Ｗｉｎｄ　（３９６）

　オヴィディオ王が、ペルピテス山中にて、百目獅子の謎を解き、

初代王の財宝を、見つけ出した事は、厳重な緘口令を敷き、

極秘事項にされたが、庶民の口に、戸は立てられぬ。

　いつしか噂は、クァランドール全域に広まって行った。

　数々の、命を脅かす謎の仕掛けを、魔法使いや学者達が

頭脳を振り絞って解き明かし、最後に牙を剥いてきた百目獅子を、

オヴィディオ王が大格闘の末、討ち果たし、更に狭い牢獄に

再び押し込め、先祖の財宝を守護する事を条件に、

その一命を助けたので、不遜な者が近付けば、きっと

再びその牙をむくであろうと、大層な尾鰭が付いていたが、

尾鰭をつけたのは、実は、セヴィリスだった。
　
　禁じられれば尚の事、話したくなる人心を、逆手に取り、

　「魔法使いだけでも、学者だけでも通られぬ、

　　この世の英知と、最高の剣豪とが結束して、やっと、」

財宝のありかに、辿り着いた事にしたのだった。

　さもなくば、幾ら緘口令を敷いても、周辺に砦を築き、

軍隊に取り巻かせても、必ず盗掘者が現れるだろう。

　無法者どもは仕方がないが、つまらぬ山師や、ふとした

思い付きで近付く民間人に、二の足を踏ませる効果は、

あるだろうと思われたからだった。　


　ソルダム、否、オヴィディオ王は、宝物の一部と共に、

セヴィリスと、ハズリック、トゥモーロスの両名を伴って、

アクイラに戻った。召集した議員達が、ドレイオン行幸の間に、

続々と到着していた。

　アクイラ会議が始まった。

　サフィールの首都機能を、テッセリムなどと言う、

片田舎に移転するより、デルム川を修復し、都そのものを

復興する事に、反対する者は誰もなかった。

　だが、国王の婚姻問題は、紛糾した。

　シシィの出自が、問題だと言う、ただ、その一点である。

　父親が、世間に名高い「闇の魔人」である事について、

国民への公表は、折を見なければならないが、

討議員には、魔術師も法術師もいる。隠し立ては、無駄であった。

　ハズリックから、聖域、ガラノデルム及びドレイオンにおける、

オヴィディオ王の活躍ぶりについて、報告がなされた。

　反対者は、やや減った。

　ソルダムは、ついに意を決し、シシィを会議に同席させ、

その上で、採決を取ると言い出した。素直な、飾り気無い、

その人となりを見れば、賛成が得られると、踏んだのだ。

　が、結果は、無残なものとなった。

　案の定、賛成者は増えた。

　アクイラ村長は、頑強な反対者だったが、ユーディスは、

意外にも賛成に回った。ファウヌス将軍の後継者として、

加わったミランは、最初から賛成だった。それでも、

年配者の殆どは、反対の姿勢を崩さなかった。

　ハズリックの票が求められた。

　ハズリックは、懇願するような、大きく見開いたシシィの

黒い瞳をじっと見返した。若者達に多大な影響ある人物だ。

その票は、後に控える若手討議員の票の行方を、大きく

左右するだろう。ハズリックは口を開きかけ、一度ためらい、

ややあって、ようやく言葉を発した。

　「私は、反対です。」

　どよめきが、議場を覆った。

　　　　　　　　　　　　　　　続く

　ハズリック先生、今回ちょっと、憎まれ役です。ごめんなさい。

　貴族だ華族だって、やってた国では、やっぱり、王様のお嫁さんだの、

　王女様のお婿さんだのは、中々、庶民から選ばれないものらしいです。

　先祖までは遡らなくても、せめて、中級セレブくらいは・・・って言う所ですか。

　まして、クァランドールは、中世～近世ヨーロッパの雰囲気、って事で、

　貴族だの豪族だのが、幅を利かしてますので、当然の流れです。

　さあ、最後のどんでん返しの始まりです

　シシィの正体はでは、また次回

　今日も、お越し下さってありがとうございました。