2013年07月03日

風の歌 364

風の歌 364 それ見よ!!いっぱい咲いた!!

 「捨てんでよかったやろ?」と、さあ。

 「葉がどんどん枯れたし、

  枝の先も、茶色やった。」と、オヤジ。

 「赤い新芽が出て、緑の葉になって、

  次の新芽が出たら、順番に、葉が、

  枯れるの!紅葉とかとは違うの!

  春先に一斉に新芽が出て、

  冬の葉が代わりに枯れたの。

  分からんかなぁ?」

 分からんのやろなぁ・・・kao_9


    The Song of Wind (364)

 「シシィ!!どこにいるんだ!!」

 ソルダムは、その腕にシシィの体を、抱き締めている事を忘れ、

その声の、持ち主を探した。

 黒い霧の塊が、すぐ傍らにある。

 ヘキサグラムの、ちょうど中央。明確な輪郭のない、

それでも、やや下方の広い楕円・・・卵のような形だ。

 だが、思わず、シシィを抱いたまま、そこににじり寄った、

ソルダムは、危うく、その卵の中に、吸い込まれそうになり、

慌てて後退った。そこにあるのは、卵形の物ではなかった。

 卵のような形に、ぽっかりと開いた、黒い穴。

 「あれだ!オオシロトカゲが出て来た所と、同じだ!

  ガラノデルムにオオシロトカゲが出た時

  あんな所から、出てくるのを見たんだ!!」

 ミランが、興奮気味に叫んだ。

 だが今は、他に、何かが出てくる様子はない。

 むしろ、一定の距離より近付くと、穴の吸引力に捕まり、

吸い込まれてしまうようだ。

 そして、吸い込まれた先にあるものは・・・

 ソルダムは、用心しながら、近寄り、中を覗き込んだ。

 ・・・宇宙が、そこにあった。

 だが、幾度か見た宇宙と違い、星は奇妙に歪んで、形を成さず、

あるものは、まるで捩れた虹色の虫、またあるものは、

行方の定まらぬ、頼りない人魂のように、軌道も定まらず、

てんでに飛び交っている。

 そして、そんな中を、何かに引きずられながらも、必死に抗い、

穴から脱出しようともがく、シシィの姿・・・
 
 「シシィ!」

 だが、うかつに手を伸べたソルダムは、またしても、穴に

吸い込まれかけ、慌てて手を引っ込めねば、ならなかった。

 「シシィ!これは、どういう事だ!?」

 声は届いているらしい。シシィは答えた。

 「何か、分からへん・・・真っ暗闇の中に、星みたいな光の点々が

  急に、いっぱい現れて、ぎゅうぎゅうと、ウチの体を押して、

  どっかに行かそうと、してるみたいやったんやけど・・・

  あんまり押さえつけられて、気が付いたら、ウチの体だけが、

  ウチと別々に、どろどろの黒いモンに、飲まれて行ってしもてん。

  その時、どろどろとウチの体の隙間に、ソルダムが見えてん。

  そこにおるん?おるんやったら、助けて・・・

  ウチを、ウチの体に、帰らせて欲しい!!」

 その間にも、もう一つのシシィの姿は、黒い穴の空間を、

何処かへ向かって、ひたすらに落ちて行く。

 ソルダムは、セヴィリスを振り返った。

 この異常事態を、唯一、学識で理解しているのではないかと、

思ったが、セヴィリスは、ケルビンの介抱に夢中だった。

 セヴィリスだけではない。他の誰もが、全身に火傷を負った、

ケルビンを助けようと、必死になっている。だが、この間にも、

シシィは、異様な闇を落ちて行く。

 ソルダムは、一人、黒い穴に立ち向かった。

 「黒い霧よ!なぜ、憎悪を望む?

  憎悪とは、物ではない!人の心だ!

  手に取ることも、目に見ることも出来ぬ。

  その様な物を、なぜ欲する?」

 黒い霧は、穴の縁を震わせた。

 やがて、風の唸るような声が応えた。

 「・・・ココロ・・・ナンダ・・・テ・・・メ・・・ナンダ・・・

  ・・・ワカラナイ・・・」

 ソルダムは、オリザ姫の言葉を思い出した。

 ・・・黒い霧に、五感はない。分かるのは波動だけ・・・

 「ならば、お前にとって、憎悪とは何だ?

  見ることも、触れる事もできぬなら、なぜ、憎悪を求める?

  形ない心の働きを、どう、捉えている?」

 「・・・カタチ・・・ソレハ、ナニ・・・カタチ・・・ワカラナイ・・・」

 まるで、赤子との会話であった。

 ソルダムは苛立った。投げ捨てた九個の宝石を探し出し、

光の剣を復活させて、闇の穴を、切り裂きたい衝動に駆られた。

 途端に、霧が吹き上がった。と、思うと、黒い地下ドームの、

隅、陰、寄る辺ある所と言う所から、人知を超えた化け物が、

無数に湧き出して来た。

                    続く


 もったいないから、化けモン、出します。kao12kao_12kao12

 人知を超えてるかどうか・・・分かりません。さあの脳味噌は、人知の範囲内だもん。

 次回どくろひゅ~~・・・どろどろどろ・・・どくろお楽しみに。

 今日も、お越し下さって、ありがとうございました。



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Posted by さあちゃん at 00:00│Comments(0)ファンタジー
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