ぶるんねん文庫

　このあたりが、携帯写真の限界。

　実際は、もっと、ほの暗い中に、

　幽玄の境地に誘い込むような、

　真っ青なアジサイが、

　じーーーっと、咲いているんだけど。

　どっちから撮っても、ぼけーーーっと、

　白っぽく写ってしまう。

　で、なければ、実際より紫掛かるか・・・

　まるねこが、一眼レフ欲しがる気持ちも、

　分かるな・・・


　　　　Ｔｈｅ　Ｓｏｎｇ　ｏｆ　Ｗｉｎｄ　（３６２）
　
　ジルコニアスの激昂に、ドーム内が軋んだ。

　アルダイスが、一瞬、この光景に目を奪われた。

　その隙を突いて、ソルダムは大剣を振りかざして、白い台・・・

「ベインダリファ砲」に突進した。柄頭に黄晶石を嵌める。

　剣は、激しい光を放った。そしてそれは、狙い過たず、

白い台を、真っ二つに叩き割った！！

　アルダイスが慌てて駆け寄った。

　が、最早、修復不能である事は、何の知識もない者達にも、

明らかであった。

　「ソルダム・・・何て事を・・・」

　ジャドゥビスが呟いた。アルダイスは、怒り狂っていた。

　「その剣をよこせ！粒子生命体を、やっつけるんだ！！」

　だが、ソルダムは、剣にはめ込まれた、九つの宝石を、全て外すと、

頭上高く放り投げた。作られた重力の場を脱した宝石は、

ドーム内を落ち、花のレリーフの隙間に入って、見えなくなった。

　剣の光は、失われた。

　アルダイスは、怒りに任せ、長杖を振り回し、

ソルダムを滅多打ちにした。ソルダムは、抗わなかった。

　その怒りは、王として理解できるものだった。

　それに、下手に抵抗すれば、また墜落の憂き目を見るだろう。

　ケルビンが見かねて駆けつけ、金の長杖を取り上げた。
　
　オリザ姫は、言葉を続けた。

　「あなたを狙う、凶が事の光は、永遠に失われました。

　　後は、あなた自身の決断です。

　　あなたが、黒い霧に与えた憎悪の念を、全て引き取り、

　　ヘキサグラムの台座の上に来れば、

　　黒い霧は、元の、何も知らぬ無垢な存在となり、

　　あのヘキサグラムに、吸い寄せられて行きます。

　　あなたの憎悪は、私の魂の纏う、善良と愛情の精霊が癒します。

　　サフィールも、他の方々の分も・・・」

　「サフィールを・・・共に？」

　「共に。そして、永久に。」

　ジルが揺らいだ。黒い炎が静まった。

　黒い丸い霧の塊が、じわりと、オリザ姫に近寄った。

　「だめだ！シシィを・・・シシィを返してくれ！！」

　ソルダムの悲痛な叫びが、静寂を破った。

　「シシィは、サフィールではない！！

　　シシィを連れて行かないでくれ！！

　　私の元に返してくれ！！」

　黒い霧が、次第に剥がれ落ちて行った。

　ヘキサグラムの台座は、ジルから、ひとひら、またひとひらと、

　霧を引き剥がして行く。

　ジルの姿は、七、八歳の子供の様になり、その表情は、

その場の誰もが知らぬ、穏やかさに満ちていた。

　銀の衣が、光を放ち始めた。

　黒い霧は全て剥がれ落ち、ヘキサグラムの台座に

吸い寄せられた。だが、シシィは戻らない。

　ケルビンが、懇願した。

　「シシィを返してくれ！彼女は生きている！

　　生者を、死者の道に導いてはならぬ！

　　我が愛しの末娘・・・頼むから、返してくれ！！」

　「安心するがいい。シシィを連れては行かぬ。

　　私の欲したのは、サフィールの波動だけだ。

　　その記憶だけを、連れて逝く。

　　シシィは、黒い霧に返させよう。」

　　子供姿のジルが、オリザ姫の足元に辿り着いた。

　　その姿が、二つに分かれた。すきとおった、影のような、

　　ジルに良く似た、だが、明らかに女の子の姿が、ジルに並んだ。

　・・・あれが、サフィール・・・

　二人は、母を慕う子供の様に、オリザ姫の双腕に飛び込み、

　その抱擁の中で、ふた筋の光となった。

　光は、互いにはしゃぐように、二重の螺旋を描き、宙を昇り

天井のヘキサグラムに吸い込まれて、消えていった。

　床の台座の上には、ジルから剥がれ落ちた黒い霧が、

黒い泥状の物体と化して、不気味にどくどくと脈打ち、

何かを吐き出そうと、蠕動しているかのようであった。

　そして、ついに、盛り上がった泥が裂け、人の姿を現した。

　それは、紛れもなく、シシィの姿だった。

　　　　　　　　　　　　　　　　続く
　
　・・・あれ？こんな流れで、よかったんだっけ・・・

　下書きに出てきた、吸血蔦はどこへ行ったんだろう？

　あと２種類、化け物も用意してたんだが、・・・どこに使おう・・・

　困ったな。シシィが、意外と早く戻ってきてしまった。

　異次元へ入るのも、予定より早かったし。ええぇっと・・・どうしよう。

　とにかく、続けます。また次回。今日も、お越し下さって、ありがとうございました。