ぶるんねん文庫

　オヤジは、ディプラデニアが駄目だと

　思い込んで、またしても、ゴーヤを

　植えました。どうせなら、きゅうりが

　いいなと思ったり、苦味抜きが、

　面倒だなと思ったり・・・

　でも雌花が付くと、つい期待する・・・

　オヤジは、去年どこを見てたのか、

　花の下に実が付いてると、騒いだ。

　小学校の理科の時間、何してたの

　ヘチマとアサガオの違いとか、

　テストに出なかった


　　　　Ｔｈｅ　Ｓｏｎｇ　ｏｆ　Ｗｉｎｄ　（３６０）

　ソルダムの左肩に、がくんと、全体重が掛かった。

　「セヴィリス！！」

　ソルダムの左腕を掴んで、天井近くへ飛翔しながら、

セヴィリスは、引っ切り無しに、火球を連発している。

　下方から、毒蜘蛛が、次々に飛び掛ってくるのを、振り払う為だ。

　床に這いつくばった蜘蛛男が、手下の毒蜘蛛を、取っては投げ、

取っては投げつけてくる。暗さと、黒い床で、見分けられないが、

黒い霧の澱みから、毒蜘蛛は、幾らでも湧き出てくる。

　アルフィーニは、アネッサ・リーが行く手行く手に仕掛ける、

鏡面の壁に、閉口していた。アルフィーニは、人の姿で飛行できない。

　飛行と攻撃を同時に行えるのは、ドラゴンの時だけだ。

　だが、アルフィーニ自身が、実はこの姿を嫌悪している事を、

アネッサは知っていた。その知識は、亡霊として蘇らされても、

持ち続けているらしい。鏡を出現させて、アルフィーニを苛立たせ、

さらに、挑発的な言葉を、耳元に近付いては、囁き続ける。

　しかし、炎を吐きかけても、アネッサどころか、蜘蛛一匹、

落とす事ができない。

　黒い霧に同化したジルコニアスを倒さねば、亡者の群れは、

去る事はないのだ。そして、黒い霧に対峙できるのは、

ソルダムの光の剣のみ。

　それも、「使い続けると、宇宙の滅亡を招く」と言う。

　再び天井に取り付くと、ソルダムは、暫く立ち上がれなくなった。

　視界と重力感が一致せず、立つと、体が宙に漂いだす気がする。

　床近くに視線を這わすと、奇妙な物が現れていた。

　金属質の箱状の物体。アルダイスは、その周辺を、何か操作し、

上部を外しに掛かっていた。同時に、周囲の金属部は、自然に、

折り畳まれて、床に吸収されて消え、内部が現れた。

　・・・白い石の台・・・

　灰色の迷路の果てで辿り着いた、白い部屋の白い台。

　「サフィールの涙」を入れる為の。黒い霧を焼く光条を生む為の。

　アルダイスは、更に操作を繰りかえし、やおら体を起すと、

ソルダムに飛び掛って、大剣を奪おうとした。

　「結晶を返せ！粒子生命体を、焼き滅ぼすのだ！！

　　本来船外へ放つ、砲のエネルギーを、直接結晶から

　　放出させるよう、に急遽作り変えたのだ。

　　ここへ、ベインダリファ結晶を入れれば、ジルを殺せる！！」

　それはソルダムに、先祖殺しをさせる事である。

　「だめだ！絶対だめだ！！」

　床に這いつくばった姿勢から、立ち上がれないまま、

ソルダムは、アルダイスに剣を渡すまいとした。

　アルダイスは、腹立たしげに、長杖で床を突いた。

　そこは、逆さドーム中央の、ヘキサグラムの真上だった。

　ヘキサグラムが立ち上がった。

　ヘキサグラムの象嵌部分が、円柱状にせり上がったのだ。

その側面は、浅い線刻が、びっしりと彫り込まれている。

　・・・黒い石の台座・・・

　宙を漂っていたアネッサが、鋭い悲鳴を上げて、姿を消した。

　台座の真上に差し掛かった途端、アネッサは黒い霧と化し、

台座の表面に吸い寄せられて行った。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　続く

　実は、３６３回まで、書き上がってる。気付いたら、このまま最終シーンに、雪崩れ込みそう。

　いいのか・・・いいんだろう・・・

　さっき、５５歳のミステリー新人作家さんが、ＴＶに出てた。４つ、否３つ上か。

　大まかな筋道と、綿密な社会背景を作っておくと、人物は勝手に動く。

　作家は、それを追っかけまわして、その動きを文字に直してるだけ。

　さあのやり方と同じだなって思った。

　さあの中には、クァランドール世界が、きっちり存在している。

　嵐の５人が、王様、法術師、戦士、魔術師、貴公子に扮して、活躍してくれる世界。

　こんな楽しい思いをしてる人って、他にいるわけない。I am Only One

　では、また次回　　★★★★★　今日も、お越し下さって、ありがとうございました。