2013年06月16日

風の歌 357

風の歌 357 去年、ウチのオヤジが、

 「花とは、こう言うもの!」と、

 ほれ込んで、買って来ました。

 商品名「サンパラソル」

 本名(iconN05ディプラデニア

 冬の間も、じわじわ伸びてたのに

 「家で育てると、咲かへんのか」と、

 危うく捨てられそうに。

 「つぼみ、出てるやんiconN04

 「これがiconN05」で、捨てるのは延期。

 やれやれ、ここまで来れば、捨てられまい。


    The Song of Wind (357)

 アルダイスは、セヴィリスの指摘を受けても、無表情を崩さなかった。

 「人間が、黒い霧を殲滅しようと、返り討ちに遭い、絶滅しようと、

  『創造者』にとっては、どちらでも構わない。

  重要な事は、この宇宙そのものが、消滅する事だ。

  『サフィールの涙』は、それを早める、重要因子だった・・・」

 「・・・サフィール・・・」

 ジルコニアスが呟いた。

 「哀れな娘・・・我が同胞・・・何一つ、真実を知らぬまま、

  運命に翻弄され、屍すら残らなかった・・・

  高温の水蒸気を浴びて、体細胞がバラバラになり、

  残骸は、サフィール湖に沈んだ。だが、その波動は蘇った。

  私は、その波動の源を手に入れた。もう二度と離さぬ。

  サフィールは、蘇ったのだ!」

 ケルビンは、真っ青になった。

 サフィールの波動を発しているのは、シシィなのだ。

 だが、既に五感を有しない、ジルコニアスにとっては、

 サフィール固有の波動を発する者は、サフィール自身だ。

 「シシィは・・・サフィールは・・・今、どこにいるのだ?」

 「微小第十次元を拠り合わせて、作り出した空間にいる。

  『創造者』ですら手出しできぬ、時空円錐の境界上の狭間・・・

  粒子状生命体の持つ、高次元空間生成能力によって

  作り出した・・・この力を、『創造者』は恐れた・・・」

 言葉の最後は、聞き取れぬ、大気の揺らぎのようであった。

 ジルコニアスの体の輪郭が、ぼやけ、黒く滲んだ。

 はっとして、皆が身構えた。その時だった。

 「北の王よ!黒い霧を切れ!そなたの剣でしか切れぬ!」

 アルダイスが叫んだ。

 ソルダムは、反射的に大剣を抜き、纏わり付こうとする黒い霧を

振り払った。黄晶石を外され、輝きを失っていても、かなりの力を

有すると見え、黒い霧の一部が、閃光を放って燃えた。

 だが、ジルコニアスの不敵な笑みを浮かべた姿は、擂り鉢状の、

元は天井だった底面の向こうに、再び現れている。

 そちらに向かいかけると、今度は背後で、鋭い悲鳴が上がった。

 ドリスが黒い霧に包まれ、もがいている!

 が、オリザ姫が駆け寄ると、霧は離れた。

 ソルダムの右手が、躊躇いがちに、上着の隠しから、

金色の玉石を取り出した。剣の光は、星空を覆った黒い霧を焼く、

光条と同等の物らしい。だが、その力の源は・・・

 「セヴィリス!光の剣を使うと、この世が終わるのか!?」

 「・・・今すぐ、と言うのではない。終わりが早まる・・・

  だろうと言う、推測だ。・・・確信に近いが・・・」

 「ジルコニアスを焼き滅ぼす間なら、使えるか!?」

 ふふふ、と、含み笑いが耳を打つ。

 輪郭のないジルコニアスの顔面だけが、闇の中から、

浮かび上がるように、二人の間に割り込んできた。

 セヴィリスが飛び退いた。ソルダムの振るった剣に触れ、

また、ボッ、と、閃光を放ち、霧の一部が燃えた。

 しかし、暗闇に黒い霧。

 ジルコニアスの正確な所在を掴む事は、難しかった。

 しかも、ケルビンの電撃も、セヴィリスの火球も、黒い霧には

効かないのだ。唯一、黒い霧を焼くのは、ソルダムの剣のみ。

 「北の王よ!剣の光を蘇らせよ!

  天空はそなたにのみ、味方する!

  ジルは、もはや人に非ず!元は我が同胞なれど、

  焼き滅ぼして苦しからず!今ぞ!正義を行う時は!!」
 
 ソルダムは黄晶石を、柄の端の座に嵌めた。

 大剣は、まばゆく光り始めた。

 が、入れ替わるように、アルフィーニが、苦しげに胸元を押さえる。 
  
 ドリスが、その表情を、気がかりげに覗き込んだ。

 「大丈夫だ。大したことはない。」

 ケルビンも、首の根を抑えて、微かに呻いた。

 「常人も力を奪われる筈だが、術師ほど影響しないのだろう。

  大きい力を持つ者ほど、影響もまた大きいらしい。」

 黒い霧は、ソルダムの追撃をかわしながら、ふわりふわりと、

皆の間を漂い、やにわに三つ四つに分裂した。

 ソルダムが迷う。霧の固まりは、それぞれが別方向に、

各々の独自の意思で、動き始める。

 闇雲に切りかかっても、閃光を放って燃えるのは、

剣に触れた部分のみ。動き続ける霧に、剣の力も効果が生きぬ。

 セヴィリスは、持てる力を駆使して、霧の状態を読み解いた。

 「向こうの霧が、本体だ!後は囮だぞ!」

 ソルダムが、花のレリーフを踏みしだいて、駆け寄った。

 が、霧は、すっと闇に融けた。代わりに、分裂した霧が急に凝って、

形を成した。三つ首犬と小水妖が現れた。別の霧は、ニグになった。

 しかも、コリンを従えている。もう一つは、くしゃくしゃと皺ばんだ

老女の姿となった。ミランが悲鳴を上げた。

 「アーリーばあさん!!」

 その背後から、とがった顎を噛み鳴らして、蜘蛛男が現れた。

 中央のヘキサグラムの象嵌部分以外、平らな部分の少ない底面で、

皆は、ぐるりと周囲を、敵に囲まれてしまったのだ。

                  続く


風の歌 357 
 去年の写真

 緑の葉っぱに赤い五弁花。

 子供のお絵かき的な花。

 さあは、野の花的な物や、

 白青紫の花が好きだから、

 オヤジは、気に入らなかったらしい。

 赤い花も好きだよ。

 要は、大事に咲かせるかどうか。

 花を見るためだけなら、切花でいい。

 育てるから楽しい、と思うのだが・・・

 ではまた次回クラブpoint_4クラブ今日もお越し下さって、ありがとうございました。
  



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Posted by さあちゃん at 00:00│Comments(0)ファンタジー
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