2013年05月08日

ショッキングな写真!!

ショッキングな写真!! さあの母親は、子供の勉強に

 口出しするのが、生き甲斐だった。

 小学校1年の頃の事。図工で、

 「色紙と割り箸で花を作る」と連絡帳で

 読んだ母は、艶々の千代紙の方が、

 見栄えすると言って、ばら売りの高い

 千代紙を買い、このような花を作れと、

 さあに、細かく言い含めた。

 翌日、授業で、皆が10円一束の色紙を

 使う中で、艶々の千代紙は人目を引き、

 いじめっ子に取られ、ちぎられ、

 言いつけられた花を作ることはできなかった。

 10円の色紙も持っていたから、皆と同程度の花なら作れたが、さあは泣いて、作らなかった。

 千代紙を取られた悔しさと、違う物を作った時の、母の恐ろしさが、ごちゃ混ぜに浮かんだ。

 いじめっ子は叱られたが、色紙の所に、千代紙を持ってきたのも、いけないと言われた。

 顛末を聞いた母は、家で、色紙の花を作らせた。さあは、赤いチューリップを作った。

 出来上がりを見て、母はまた怒った。「がくがない!」さあは、言い返した。

 「チューリップに、がくはない!!」

 もう、父が帰っていた。古い、大人向けの理科事典を出して、調べてくれた。

 「チューリップ。ユリ科。花弁6枚。がくはない。」さあが正しかった。母は不服そうだった。

 その事典は、絵がなかった。数日して、子供向きの教科別百科事典が、家に来た。

 美しい絵や写真でいっぱいだった。チューリップの図解を見た。

 がくはなかった。百科事典は、さあの愛読書になった。表紙が取れるほど読んだ。

 でも、今、チューリップにがくが出来た。すっごくショックだった。


    The Song of Wind (339)

 「ソルダム!マヤリス妃が、話したい事があると、言ってる。」

 重要な話の最中だと言うのに、セヴィリスが呼びに来た。

 普段、このような不躾な行動を、取る者ではない。

 「急ぐのか?」

 セヴィリスの表情の奥には、困惑の色がある。

 マヤリス妃に、ひどく急っ突かれたのだろう。

 「テッセリムから、トゥモーロスが来たと聞いて、急に・・・」

 マヤリス妃は、ユリシアが力尽きて、人々をサフィール湖に

墜落させた時、唯一人、泳ぐ事ができず、溺れてしまったのだ。

 勿論、すぐに助けられ、ポルトル村のマルヴィッツ家別邸で、

療養を続け、ルテシアからの帰国の迎えも、断り続けている。

 一方、ソルダムは、多忙を極めていた。

 ミランを、ガラノデルムに送り出し、ケルビンが、テッセリムの調査を、

再開したいと言えば、ハズリック達に手紙を書き、エリオルムも、

後始末をせねばならず、サフィール湖の漁師達にも、救助の手柄に、

褒賞をせねばならなかった。

 ハズリック達は、その手紙を見て、返事よりは、と、

直談判の為に訪れたのだ。

 トルトバイトとの連絡も、距離を考えると、無理ないとは言え、

まだるっこしい事、この上ない。

 そこへの、デルム川の堰止湖、修復調査の結果である。

 天候がよければ、もしかするとソルダムは、マヤリス妃の話を、

後回しにして、ガラノデルムへ発っていたかも知れぬ。

 しかし天候は、またしても雪となった。

 出奔中のように、身軽に動けぬ。今は、一人の体ではない。

 従者達の安全も、考えねばならない。

 ソルダムは、話を中断して、マヤリス妃を訪ねた。

 トゥモーロスとハズリックも、伴った。

 部屋の前に着くと、ノックより先に、ケルビンがドアを開けた。

 セヴィリスが戻って、看護の女中達を指図している。

 室内には、同じく呼ばれたのか、ジャドゥビスとオリザ姫。

 アルフィーニは、雪の晴れ間を見て、ドリスを連れ、

ガラノデルムのミランの所へ行って、不在だった。

 「起きられて、よろしいのですか?」

 ソルダムは、あくまで、隣国の王妃に対する敬意を、怠らない。

 マヤリス妃は、重ねた枕に上体を預け、起こしていたが、

胸まで布団を掛けていたし、頭も上げてなかった。

 衰弱が、ひどい様に見える。

 それでも、マヤリス妃は、微かに笑みを浮かべた。

 「お忙しい所を、申し訳ありませぬ。

  この身が、いつ何時、本来の姿に戻るのか、確証がないゆえ、

  急ぎ、無理を申しました。

  もう、お分かりなのでしょう?

  私の正体・・・私自身すら、知り得なかった、本当の正体・・・
 
  恐らく、父は存じていたのでしょうが・・・

  それは、・・・黒い霧と、同等の物であると言う事・・・」

 「それを、ご存知なかったと・・・?」

 「そう・・・忘れてしまっていた・・・いえ、矢張り、

  知らなかったのです。遥か彼方の昔の事ゆえ・・・

  遠い星々の瞬く所から、燃える光条に追われ、

  この地上に、飛来した時の事など・・・

  あまりの熱と、衝撃に、私は身を守るために、粒子間を

  強く結合させ、石となって、耐えるしかなかった。

  表面は、大気の摩擦で炎上し、なぜゆえ追われ、焼かれるのか、

  記憶の殆どを失い、本来、自分が何者で、どんな力を有するか、

  それすらも、忘れてしまっていたのです。

  あの歌を聞くまでは・・・」

 ジャドゥビスが、呟いた。

 「あの、詠唱・・・」

 「あの歌が、私の記憶を、呼び覚ました訳ではありません。

  あの歌は、ジルを目覚めさせたのです。

  そして、ジルに捕らわれている、シシィのいる空間を、

  揺り動かしたのです。」

               続く

  
 この時代の生活レベルで、大気圏突入時の、摩擦熱炎の話を、理解できる人が、
 
 いる訳ないんだけど、書いてるこっちは、知ってるわけです。

 ユリシアが、宇宙空間から、風の橋を架けて、人々を地上に下ろす時も、

 大気圏に入ると、逆にtenki_1竜巻となって、ソフトランディングを試みるわけですが、

 力及ばず、湖に着水・・・水泳だから、水軍兵を転送させたの。船

 溺死がワンサカなんて、面倒だから。でも、石だった御方は、当然、浮けません。kao_9

 と言うわけで、では、また次回。kao12kao_01kao12今日も、お越し下さって、ありがとうございました。
   



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Posted by さあちゃん at 00:00│Comments(0)ファンタジー
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