2013年05月15日

きれいな花と、残念な花

きれいな花と、残念な花 真っ赤なチューリップ

 一面、どわーっiconN04と。

 ある種類が、一面を覆う光景。

 人類は、こう言うのが好き。

 桜、芝桜、ラベンダー・・・

 雪、海、砂漠も、そうかな。

 でも、花は咲いていて、

 人が見て、なんぼの価値。

きれいな花と、残念な花point_9これは、すごく残念な光景。

 高速、礪波出口。

 フラワーポットにチューリップ

 ガードレールの高さと、

 花の高さが、一致iconN04face08iconN04

 車からは葉っぱしか見えない。

 「ようこそ砺波へiconN04」って言う、

 歓迎のはずだったのにiconN05 


    The Song of Wind (342)

 厳冬ではあったが、サフィール湖以北の、豪雪地帯に比べ、

ガラノデルム付近は、降雪に切れ間がある。

 それを見極めて、ソルダムは出立した。

 ハズリックが着いて来る。

 ミランは、もう、ガラノデルムに戻っていた。

 将軍が、留守にしていて、良い訳がないからだ。

 ガラノデルムから、堰止湖の、土砂崩れ現場へは、

国王の視察とあって、丁寧に雪掻きされ、工事人達も調査員も、

こざっぱりと、服装を整えて整列している。

 「この向こうの、谷を一部切り崩し、仮の排水路を作ります。

  水位が下がったら、この土砂を取り除け、ダナオイの谷に

  運んで投棄します。あそこは、銀と黒虹石の採掘場跡で、

  今は荒地となっています。」

 風は、相変わらず強い。天幕は船の帆のようになって、

危険で張れない。誰もが、風と雪を避ける毛皮の帽子を、

しっかり顎紐で結び付けている。それが、バルツァード風だった。

 「ただ、陛下の仰る期間内での、工事は無理です。

  御覧の巨大な岩盤・・・岩とは、最早、言えません。

  この岩盤を切り崩す目途が、立たないのです。」

 工事の責任者は、堰止湖畔から、巨大な岩を指し示した。

 今、ソルダム達のいる所とは、反対側の山肌から、

転がり落ちたのだろう。峰の形が、変わってしまっている。

 その様子は、大地震直後、遠く、サフィール湖の

向こうからでも見分けられた。

 ソルダムは、この変化にいち早く気付き、デルム川周辺に、

すぐに避難命令を出した。命拾いした住民は、数知れぬ。 

 その功績を、誰もが、忘れてはいなかった。

 だからこそ、何とか土砂を取り除けて、デルム川を修復し、

都サフィールを、国王の手に取り戻させたいと、皆は、

一様に願っていた。が、岩は、あまりに大きすぎた。

 「細かく砕いて、取り除ける事は、できないのか?」

 ソルダムの考えは、誰もが思いつくものだった。

 「この岩は、硬く、石材として、礎石などに使われるものです。

  建材としては有効なのですが、砕いたり、切り崩したりは、

  手間が掛かります。次の夏までに、とは、恐らく無理かと・・・」

 「それは困る!一刻も早く、元のデルム川に戻して欲しい!」

 ハズリックが、突然、口を出した。

 「リューデン架橋も、もう少し低い位置なら、距離を短くできる。

  それなら、橋の総重量に、河岸の地盤が耐えられるんだ。

  橋は、あったほうがよい。それは分かる!でも、今のままで

  必要な箇所に、長い橋を架ける事は、できない!!」

 ソルダムは、ゆっくり振り返り、頷いて見せた。

 「お聞きの通りだ。ここが直らねば、この国は立ち行かぬ。

  夏までは無理として、いつまでなら出来る?

  秋か、一年後の冬か?」

 工事責任者は、渋面で首を振った。

 「最低、五年・・・」

 「無理だ!そんなに待てない!!」

 いきり立ったハズリックを、ソルダムは、ユーディスに言いつけて、

下がらせた。これ以上同席させると、何をするか分からなかった。

 ユーディスの去った席に、ミランが代わって座った。

 戦の話の時は、否応なく上座に座らされるが、難しい話は苦手で、

どこか下座に、紛れ込んでいたらしい。

 それを、ユーディスに見つかって、引っ張り出されたのだ。

 後ろにドリスとアルフィーニがついている。

 男装の麗人と、異国の美人魔術師を従えた将軍は、人目を引き、

近隣国でも、評判になりつつあった。

 勿論、二人の女従者の為だけでなく、長剣を振るいつつ、

三丁の飛び鎌を自在に操る、神出鬼没の希代の戦士、

「紅蓮の魔戦士」として、である。

 だが、本人は、上がり症の人見知りで、カッコつけの

お調子者と、自覚している。

 そのミランの姿に、ソルダムは違和感を覚えた。

 「ミラン、長剣は?」

 ソルダムは、やっと気付いた。ミランのベルトは、空だった。

 「あ、折れたんだ。予備の剣、ちょっと短くて、違和感が・・・」

 「何、してたんだ?」

 「あの、変な石畳の広っぱで、水軍兵の光る剣に当たって・・・

  ジャドゥビスも、やられたよ。」

 「光る剣?」

 ソルダムは、自分の大剣を、抜いてみた。

 薄っすらと斑があるが、ぼんやりと光を帯びている。

 トルトバイト兵の剣は、もっとギラつき、鋼鉄の長剣を、紙の様に、

叩き切ったと言う。

 ソルダムは、何気なく、切っ先を足元の石に当ててみた。

 さくっ・・・と、軽い音を立てて、石は真っ二つに割れた。

 慌ててもう一度、硬い地面に、直に試す。

 が、大剣の刃は、切っ先以上、大地にめり込みはしなかった。

                続く


 マヤリス妃は、喋りすぎて、お疲れが出て、またお休みになりまして、

 その間に、ガラノデルムの視察。王様は忙しいね。

 では、また次回。iconN13かたつむりiconN13今日もお越し下さって、ありがとうございました。



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Posted by さあちゃん at 00:00│Comments(0)ファンタジー
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