ぶるんねん文庫

　失敗かと思われた、

　家庭内菜園。

　「内」では無理でしたね。

　枯れちゃったので、

　外に出したら、

　あらら・・・

　ちゃんと、レタスが生えてきた。

　・・・おいしかったでーす。


　　　　Ｔｈｅ　Ｓｏｎｇ　ｏｆ　Ｗｉｎｄ　（３３４）

　十の星・・・十の宝石・・・

　その配置に、何かの力がある。

　今、一つを欠いている。これで、あの狂った兵士達の持つ、

無数の剣に、立ち向かえるだろうか。

　・・・やってみるしかない・・・

　トルトバイト兵達は、じわじわと、間合いを詰めて来ている。

　セヴィリスは、ちら、と、ケルビンを振り返った。

　・・・トルトバイトの水軍兵を、無事にコパロスへ戻せ。

　　バルツァードとの間に、禍根を残させるな・・・

　それは、ダルトンからケルビンへの遺言であった。

　その場に居合わせなかったケルビンに、セヴィリスは、

その言葉を、一応は伝えた。それを、どう受け止めているのか。

　この事態では、成り行きに任せるしかないと、傍観する気か、

トルトバイト兵に敵対しては、遺言に反すると考えているのか、

それとも、他に何らかの方策を、持っているのか。

　魔術師達の輪の内に入って、その姿は、僅かにしか見えぬ。

　冷たい横顔には、読み取れる表情は無い。

　輪の外にいるのは、クレメンティとジーグ、ヨシュア、メイサーラ。

　いずれも、念動力に優った魔術師達だ。単独ででも、この広場

全体を、火の海に変えられるだけの、力を有している。

　それをやらぬのは、この戦と、魔術師達を、あくまで切り離して

置きたいからに、他ならぬ。

　長剣を失ったジャドゥビスの、焦った息の音が、速くなって来る。

　ミランの右手が、三つ目の飛び鎌を取り出す。カチャリ、と、

金属の触れ合う音が、皆の神経を打つ。

　ドリスは、果敢にも一番前に出ている。一度は短くなった髪が、

ようやく耳元まで伸びて来ていた。

　アルフィーニは目覚めない。オリザ姫は、ドリスに短剣を

渡されてはいたが、胸の前で握りしめているだけで、

未だに、それを抜けずにいる。

　一触即発。

　一人の目立つ動きが、雪崩を打つかのような、惨たらしい

斬り合いの初端になる。誰もが、それを恐れて動かぬ。

　緊張の度合いばかりが、高まって行く。

　その時・・・

　風が吹いた。微かな、頬を撫でる、そよとした風。

　同時に、歌声が響いた。

　「シシィ！！」

　誰もが、声の主を探した。

　が、歌声は、風と共に、あまねく響き渡るのみ。

　持ち主の姿は無い。ただ、風ばかりが吹き渡る。

　「シシィ！どこにいるんだ！！」

　ケルビンが、人の輪を掻き分けて、飛び出し、叫んだ。

　突然、床が歪んだ。

　波を打ち、のたうった。石造りかと思われた平面は、表から蒸発し、

その蒸気は黒い霧となって、人々を包み込む。

　時折、シシィの歌を押し退けるように、悲鳴のような、苦悶が混じる。

　その度に、霧は激しく立ち昇り、ソルダム達に迫って来る。

　魔術師達は、独自に結界を張り、自衛している。

　ソルダム達には、黒い霧から身を守るすべは無い。

　もし、霧の意志が彼らを拒めば、次の瞬間に、命は絶たれる。

　その時、別の黒い霧が、彼らを覆った。

　「マヤリス様！」

　オリザ姫が呼びかけたが、霧は応えなかった。

　答える声も、余裕も無かったのだ。

　薄く広く、数千人のトルトバイト兵までも、余さず包もうと広がり、

見境を失った、黒い霧から、彼らを守ろうとしている。

　黒い霧は、今や、暗黒の天体の如き、巨大な球状に塊り、

　星々の海の真っ只中に、如何なる軌道にも拠らず、

　墨の染みの様に、留まっているのだった。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　続く

　　これが、before。

　手前はラディッシュ。向こうのが、レタスです。

　ラディッシュは、生えて来ませんでしたね。

　まあ、そう、都合よくは行かない。

　種は半分残ってるので、そろそろ蒔くか。

　あ、キンギョソウとヤグルマソウも蒔こう。

　ではまた次回。

　今日もお越し下さって、ありがとうございました。