ぶるんねん文庫

　「晩秋」「晩春」は、一般に使われます。「晩夏」も、一般的になったと思います。

　でも、「晩冬」って、使いますか？「名残雪」とか「氷割れ」とか、言葉はありますが、

　「晩冬」より「早春」なんですよね。でも、雪は降る。雪降る限りは、「冬」でいたい。

　３月になったら、早春って言います。でも、まだ２月・・・後１０日。（２月２２日也）

　雪と花。赤み掛かった新芽。晩冬の一瞬。


　　　　Ｔｈｅ　Ｓｏｎｇ　ｏｆ　Ｗｉｎｄ　（３１４）

　マチアスは、馬の足元に取り落とした、サフィール市旗を顧みた。

イークが駆け寄って拾い上げ、再びそれを掲げた。

　「ハズリックとトゥモーロスはどうした！？」

　「出兵反対派は、神殿に押し込めた！

　　案じずとも、死なぬようにだけはしてある！」

　ソルダムの正面に立ったイークも、王を覚えていないらしい。

　鋭い敵対心を剥き出して、横柄に喚き返す。

　「お前達は、エリオルムへ行け！王は、オレが一人で倒す！！」

　マチアスの周りに残った数十人が、ソルダムの傍らを駆け抜けた。　

　ソルダムはその中に、ダグやマイスの姿を認めたが、

止めなかった。その数、三千余り。

　・・・テッセリムと周辺の男達を、根こそぎ掻き集めたな・・・　

　雪深い村々に、女子供と老人達が、取り残され、心細く

男達の帰りを、待っている様子が、ソルダムの脳裏に浮かんだ。

　・・・一人も、死なせる訳には行かない・・・

　市街地への道は、既に、魔術師達に封鎖させている。

　一人で一万の軍勢を倒すと、豪語する強者達である。

　三千余りの兵の足止めなど、容易い筈であった。

　・・・死なせるなよ・・・セヴィリス、ミラン、頼むぞ・・・

　最後尾が通り過ぎるや否や、ソルダムはマチアスに躍り掛かった。

　がしっ、と、大剣同士がぶつかり合う。

　火花散るが如き、鍔迫り合いが起こった。

　「上達しておらぬな、マチアス！

　　無理だ、お前は勝てぬ！剣を引け！

　　ニグに・・・ファーゴに組しても、お前は何も得られぬ。

　　失うものが、多くなるばかりだ！

　　いい加減に眼を覚ませ！！」

　「黙れ！！」

　必死に言い聞かせる、ソルダムに対する、それが、

マチアスの答えだった。

　「得るものが、手の届く所に、見えているからこそ、

　　今更、手を引けぬ！

　　エリオルムを占領し、ここの財宝の力を持って、ジュノス伯を

　　タンベルディから追い払い、民衆による支配を確立する！

　　金の力があれば、都も、それを認めざるを得なくなる。

　　そのために、ここまで来た！

　　テッセリムの連中も、同じだ！

　　金さえあれば、一国の名乗りを、挙げられるのだ。

　　貴様に吹っ掛けられた、無理難題をこなさずともな！！」　

　無理難題とは、リューデン～ガラノデルム・ルートの開発の事に、

違いなかった。トゥモーロスは、マチアスの出現に当たって、

村民の説得に、失敗したらしかった。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　続く

　水曜日（２月２０日）に、大津まで行って来ました。進級制作展。３年生の作品ばっかり。

　驚いたね。兵庫県の「加古川」から「おごと温泉」まで通ってる人がいる

　「加古川」から神戸「元町」まで通ってた友達が、「遠いんだよ」って、言ってた。

　それなのに、更に、大阪越えて、京都越えて、大津越えて・・・お疲れ様・・・

　その通学風景を、パンフレット風の作品にしている。

　すごいのは、４人用座席で眠っている高校生。

　真ん中（足を置く地べた）に大かばんを置き、向こうに上半身、こっちに足を乗せて、

　大爆睡さすがに、これは見た事無い。

　都会でやったら、次の駅で、つまみ出されるに違いない。

　　　ではまた次回今日もお越し下さって、ありがとうございました。