ぶるんねん文庫

　寺子屋さん、キッチンハウス先生からの生地提供を受けて、

　花嫁さんの、ヘッドドレスを作りました。

　この写真、勝手にお借りしちゃって、いけなかったかなあ・・・

　作ったのは、さあだけど・・・ちょっと悩んでます。

　まあ、このブログ自体は、そんなにアクセス数、ないんだけどね・・・

　作り方は、いつもより手を掛けてます。（左の方）

　こんなに大きい物、作った事なかったし・・・部品のサイズ決めも大変。

　平方根と、ピタゴラスの世界ですよ。√２は？１．４１４１３５６でしょ　


　　　　Ｔｈｅ　Ｓｏｎｇ　ｏｆ　Ｗｉｎｄ　（３１３）

　「よもや、弟分に手を噛まれるとは、思いませんでしたね。

　　不覚を取りました。

　　が、こうして再び、お目見え叶うところを見ると、

　　えにしは、浅からぬかと存じますが、如何？」

　ソルダムは、オリザ姫の怯え方に、異常さを感じ、

背の後ろに庇いながら、アルフィーニの方へ押し戻した。

　アルフィーニは女性であるから、何も訊かず、爪ある前足の間に、

オリザ姫を抱き取り、コリンの視線から、姫の姿を隠した。

　「貧しい鉱夫の子は、女王陛下の婿君には、不足ですか？

　　男振りは悪くないと、自負してますがね・・・」

　無駄話を仕掛けるのは、どうやら、時間稼ぎであったようだ。

　コリンの後ろから、ふわりふわりと、黒い霧がたなびき、

付き従うテッセリム義勇兵を、押し包むように見えた。

　と、見る見るうちに、兵士達から、ドラゴンの姿に怯えた

目の色が消え失せ、、猛々しく凶暴な光が、取って代わった。

　それは、先頭に立つマチアスも同様だった。

　マチアスが、ぎらりと、大剣を抜き放った。

　義勇兵達が、街道幅いっぱいに展開する。

　コリンの唇が、不敵に歪んだ。

　「ほう、兄貴分に楯突いた不届き者は、亡くなりましたか。

　　意外な所で、バチが当たりましたな。」

　それを聞くや否や、オリザ姫は、ドラゴンの足の間をすり抜けて、

駆け出し、コリンを、渾身の力で突き飛ばした。

　「この・・・この、卑怯者！

　　ファーゴなどに組して、戦を起こし、人々を苦しめて、

　　何の益があるというの！？

　　挙句に、私の国を乗っ取ろうとして、私を手篭めにしようとしたわ！

　　そんな事で、一国が、手に入ると思ったの！？浅ましい！！

　　たとえ、王家が已む無しと認めても、国民は従わないわ！

　　私・・・人を憎んだ事が無かった。でも、今、はっきり分かった！

　　私は、あなたを憎んでいる！！

　　穢れなき、善意と愛情・・・それを失うかも知れないとしても、

　　この憎しみを、止められない！！」

　叫び終わると、オリザ姫は、凍てつく街道にうずくまり、

子供のように泣き伏した。

　ドラゴンが静かににじり寄り、姫を再び、その前足に抱き取った。

　コリンは呆気にとられて、尻餅をついたまま、動きを失っていたが、

やおら起き直り、黒い霧を発して、その中へ身を沈めようとした。

　が、もやもやと現れた黒い霧は、コリンからやや離れて、繭型に

凝り固まると、コリンを置き去り、ドラゴンの背のオリザ姫の上で、

暫く、その様子を伺うように漂うと、すっと、吊り上げられる様に

宙に飛び上がった。そして、上空で法術対魔術の、壮絶な戦いを

繰り広げている、ファーゴの操る黒い霧に、合体してしまった。

　コリンは慌てて、マチアスの背後に下がると、喚き散らした。

　「切れっ！王と姫とドラゴンを倒し、エリオルムを占領しろ！！」

　マチアスの剣が上がり、義勇軍が動き出した。

　が、義勇兵の誰もが、コリンの姿を、見てはいなかった。

　動き出した軍隊は、瞬間、虚を突かれた金髪長身の男を、

なぎ倒し、起き上がる間を与えず、数に物言わせて、

足下に踏みにじり、その息の根を止めてしまった。
　
　アルフィーニは、軍が動き出すと見るや、オリザ姫を背に上げ、

とっくに上空に逃れている。

　そこは、黒い霧と虹色の光、電撃と火球の飛び交う、

常人の想像を超えた、空中戦の真っ只中であった。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　続く

　コリン・デュオニス・・・こんなに早く死んじゃうなんて・・・

　ＳＭＡＰファン、香取慎吾ファンの皆様、御免なさい。すっごい悪役だったね。

　書いてるこっちが吃驚した。グレイアムの死に方も、吃驚したけど。

　でも、憎悪を知らなかった姫御前は、これで、憎悪を知るわけです。

　命の恩人の死を、嘲ったんですからね。

　幾ら優しい姫でも、怒りに捕らわれる時が、あるんですよ。

　現代人にとって空中戦は、戦闘機を知ってますから、想像に難くは無いんですが、

　この世界では、空を飛ぶのは、鳥と虫と、ごく一部の魔法使いだけですから、

魔法と無縁の民衆は、想像つかない筈なんです。そう言うものでしょ

　　　ではまた次回今日もお越し下さって、ありがとうございました。