ぶるんねん文庫

　
　本当の成人の日は、えらいことでした。各地、大雪で。彦根も結構な雨降りで・・・

　彦根の成人式は、前の日の日曜日。まあまあ良いお天気で、風もそこそこ。

　一日違いで天国と地獄・・・までは、行かないか・・・でも、そんな感じですよね。

　左は娘の使った髪飾り。白と朱色のぼかし生地を使ったので、いい感じにできてます。

　この下に、ビーズのびらびらをぶら下げまして、日本髪に乗っけております。

　分かるかな　　


　　　　Ｔｈｅ　Ｓｏｎｇ　ｏｆ　Ｗｉｎｄ　（３０１）

　ダルトンは、起き直るのに、意外なほど時間を要したが、

どうにか立ち上がった。そして、邪気に満ちた波動を

ものともせず、遥か高処より降り注ぐ、澄んだ光を仰ぎ見た。

　「血を分けた子は得なんだが、我が息子は、あそこにいる。

　　どうやら、飛行に於いては、そなたを越えたようじゃの。」

　グレイアムも、クレメンティの傍らで、上空の光景に驚いていた。

　自分以外の人間や、重量物を浮遊させる力は、魔法では、

かなり特殊能力とされていたからだ。

　ダルトンのそれは、一種の乗り物を、法術によって宙に作り出す

方法だった。従って、スピード等に様々な制限がある。

　しかし、セヴィリスは明らかに、グレイアムに近い方法で、

浮遊力の無いオリザ姫を支えて、飛行していた。

　その場の全員が、上空の光景に目を奪われていた時、

微かな異変を感じ、振り返ったルカスが叫んだ。

　「黒い霧が！！」

　全員が、一斉に振り向いた。のみならず、ケルビンは反射的に、

台座に駆け寄っていた。

　グレイアムは、ケルビンに駆け寄ろうとしたかに見えた。

　黒い霧は、粘性のある溜まり水が、砂に染み込むように、

黒光りする石の台座の上で、明らかにその体積を減らし、

最早、手桶一杯ほどの濁り水の様にしか、見当たらなくなっている。

　必死に駆け寄るケルビンと、それに釣られたグレイアムが、

台座に取り付いた、次の瞬間、台座に残っていた濁り水が、

ふわりと霧状に化し、ふたりを包み込んだ。

　台座に近かった菫色の目のジュネスや、赤毛のエルンスト、

巨漢のジーグ達が、続いて取り付いたが、その時には、

ケルビン一人の姿が、消え失せてしまっていた。

　が、同時に取り付いたグレイアムは、変わり果てた

むくろとなって、台座に取り残されていた。

　誰が呼びかけようとも、息絶えた体は答えぬ。

　ようやく、波動のダメージから立ち直ったラダンが、近寄った。

　同門で、年も近かったラダンは、ショックの余り声も出せず、

遺体に取りすがって、突っ伏した。

　「ダルトン！それに竜の貴婦人よ！これは、どういう事だ！！

　　訳も分からず、呼び集められた挙句、一人の魔術師が、

　　目の前で落命したぞ。

　　あの黒い怪異は何だ！！天変地異と、ケルビンの娘と、

　　地下の波動と、あの怪異の関わりを、細大洩らさず説明せよ。

　　事と次第に因っては、魔術対法術の、全面闘争になるぞ！！」

　ゴードンが、愛嬌のある丸顔を、怒りで震わせて詰め寄った。

　ヨシュアとタム・ハンが、白髪を束ね直したクレメンティと共に

ゴードンの後ろに付いた。ジュネスとメイサーラを、年の功で従えた

ポーリャが、アルフィーニに対峙した。

　一触即発の事態だった。

　そこへ、オリザ姫を抱えたセヴィリスが、下りて来て叫んだ。

　「師匠！！地下からの激しい波動が、消えました！

　　黒い霧の気配もありません。

　　地下の本体と、ここにいた霧の、両方が同時に、

　　何処か遠くへ、移動した模様です。

　　物凄く遠くではなく、どこか、まだ、感知可能な範囲の・・・」

　その時オリザ姫が、夜闇を切り裂くような、悲痛な声を上げた。

　「グレイアム！グレイアム！目を開けて！！

　　・・・なんていう事！？どうして、こんな事に！？」

　セヴィリスは、事態の緊張に気付き、言葉を途切らせた。

　そして、魔術師たちも、辺りを押し包んでいた、邪悪な波動が、

消滅している事に、ようやく気付いたのだった。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　続く

　年々、世間が狭くなって、いけません。娘の為にも、顔を広くしておかねばならないのに、

　全然駄目。パート先には、絵の好きな人も、音楽の好きな人もいないし。

　どのみち、無駄話する余裕もないし、うっかり自分の事を喋ると、そこらじゅうに広まっちゃう。

　「わたしは、貝になりたい」・・・いや、もう、なってる。「わたしは、貝です」が、正しい。

　ブログだけが、世間の窓。それも、時間に限りがあるし。暗い生活してます。

　　では、また次回。今日も、お越し下さって、ありがとうございました。