2012年12月08日

捨てたら、あかんやろ!?

 捨てたら、あかんやろ!? 
 娘の部屋のゴミ箱から・・・

 なんで、これを捨てるかな?

 多分、オリジナルではない。

 point_9でも、距離感、速度感。

 惜しくて捨てられなかった。

 写したり、真似したりでは、

 こんなもの、描けないから。


 見聞した事象を、消化吸収して、血肉として後、叩きつけるようにして、描く。

 それが、娘の描き方。

 でも、まだ、何もかも足りてない。見聞の栄養が途切れ、パワーダウンで、寝る。

 栄養源の為に、もっと見聞を広げたらいいのに、神経過敏だから、

 ちょっと出掛けると、それで疲れてしまう。情報過多の時代。しんどかろう。

 何とか、学生の間に、イラストレーターとして、仮でも自称でも名乗れるように

 なっておけば・・・と思うから、もうちょっと、頑張って欲しい。



    The Song of Wind (290)

 窓の立て付けが、風で揺れる音がする。

 ・・・風が強い。鎧戸を、閉め忘れたかも・・・

 急速に、意識が、眠りの淵から、浮かび上がる。

 「お気が、付かれましたか?」

 優しげな声をかけられ、ドリスは、がばっ、と跳ね起きた。

 その勢いに驚いて、一人の少女が、表情を硬直させている。

 「ここは・・・?」

 ドリスは、周りを見回し、不思議そうに尋ねた。

 古く、薄暗い室内。使い込まれた家具類。

 だが、それらは清潔に設えられ、少女の喪服の身嗜みも、

市井の者とは、明らかに、一線を画している。何より、その胸に、

喪服には不釣合いな、大粒の翠緑石の、ブローチを着けている。

 「ここは・・・ルテシアの東の端、ディールヴァ城です。」

 少女は、多少の怯えを滲ませながらも、はっきりと答えた。

 ドリスの驚きは、一様ではなかった。

 ルテシア、パストリアに、三王女が変じた三つ首犬、更に、

地底の泉の主だと言う、巨大化した虫の化け物が加わり、

近隣の町まで巻き込む、大いくさになった城である。

 オリザ姫とシシィの活躍で、三つ首犬の魔法は解け、

パストリアも手を引き、虫の化け物も、住処へ戻ったと言う。

 それらは、全て、話には聞いている。

 ドリス自身は、その頃、はるか南の、グロリオーサ城で、

ミランと共に、コーブリオンの赤い魔女、アネッサ・リーに、

捕らわれていたのだ。

 だがそこに、今、なぜ自分がいるのか・・・

 少女・・・ディールヴァ城の新女城主、イーヴェル・ペトロスは、

ドリスの、身元と疑問に、気付いていた。

 たった、二旬ばかり前の事である。

 地元の町、ディーレンまで巻き込み、襲い掛かった怪異は、

イーヴェルの兄、イヴェルトを死なせ、城の三分の一を破壊した。

ドリスは、破壊された城の一角に、倒れている所を、人夫等に

偶然のように発見された。

 勿論、偶然などではない。ニグの狡猾な、策謀であろう。

 でなければ、二旬も放置されていた、石組みの隙間に、

ただ、気絶しただけの状態の人間が、生存している訳がない。

 ・・・これは、あの事件に関わりのある方に、違いない・・・

 イーヴェルは、お喋りなシシィから、用事の合間に聞いた、

様々な話を、思い起こした。そして、分かれて行動している、

女騎士の事に、思い至ったのだ。

 ・・・ドリス・ドルフュスと言う方に、間違いない・・・

 イーヴェルは、ドリスを親身に世話した。

 二日の後、ドリスは眼ざめた。日付を確認したところ、

ポルトル村で、黒い霧に飲まれた、その日の内に、

ディールヴァ城に現れ、発見されている。

 ・・・ニグめ!!・・・

 ドリスは歯噛みした。しかしイーヴェルは、ニグの名を知らない。

 ファーゴの名も、直接は知らなかった。

 恐らく、パストリアの指揮官を連れて来た、小男の魔術師が、

そうだったのだろうと、考えている。

 ドリスは、更に二日ばかり、イーヴェルに引き止められた。

 すぐにでも、ポルトル村に飛んで帰りたい思いは、強かったが、

飲まず食わずで、眠っていた間の、栄養をつけよと、年下なのに、

母親の様に言い聞かせる、イーヴェルに従ったのである。

 ルテシア東部とパストリアの、その後の情報も、欲しかった。

 戦局は、思わしくなかった。

 ルテシアは、大規模な奇襲作戦に失敗していた。

 異国人のドリスにとって、ルテシア国内は、危険だった。

 イーヴェルは、ディーレンの大商人に、アルテミシアへ

商売に行くついでに、ドリスの同行を頼み込んだ。

 さして、手のかかる人物ではない。商人は快諾した。

 ルナンシアまで船、後は、幾度か通った、北上する街道行。

 ガラノデルムまで、約十日である。

 早朝の出立を、イーヴェルは森の城門まで、見送ってくれた。

 相変わらず、喪服に、翠緑石のブローチを着けている。

 森の道を曲がる時、ドリスは振り返って見た。

 小柄な体を精一杯延ばし、千切れんばかりに手を振る、

イーヴェルの姿が、次第に、小さくなって行った。

                続く


 では、また次回。ばらクラブばら今日も、お越し下さって、ありがとうございました。
  



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Posted by さあちゃん at 00:00│Comments(0)ファンタジー
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