ぶるんねん文庫

　ギャラリー寺子屋にて、灯展開催。まるねこ娘、ようやく２点、描き上げました。
　
　・・・う～～ん・・・

　やっぱり、子供っぽいな。

　さあには、言えた義理でもないけど、

　未消化の幻想、なんだな。

　言いたい事は、わかる。

　でも、それは、見る側が、分かろうとして、

　やっと、分かる程度。

　絵の持つオーラが、足りない。

　技術も足りない。発展途上。

　その証拠がこれ。

　　
　明らかに、上達している。

　たった、数日の間に。

　スピード感、奥行き感。

　１枚本気で描いた途端、

　ちゃんと階段を上った。

　こりゃ、３枚目に期待だな。

　会期中には、できるかな？　


　　　　Ｔｈｅ　Ｓｏｎｇ　ｏｆ　Ｗｉｎｄ　（２８７）

　マチアスは、聖堂中央の床に、がんじがらめに縛られて

薄布一枚、敷いただけの上に、じかに座らされている。

　何が起こるか、分からないのだ。椅子なども無い方が

マチアスの、身の保全の為であった。

　しかし、洗脳された自覚が無いマチアスには、理由が分からない。

　「何しやがる！？こんな所で、さらしモンにしやがって、

　　歌なんか聞かされても、うれしくねぇよ！！」

　マチアスの正面は、オリザ姫だ。

　六神官から、その身に既に宿る、精霊の力が強い為、

詠唱を歌うのを、止められた経緯がある。

　だが今は、六重唱を歌う事が、重要なのだ。

　ダルトンの言う、「奇跡を呼ぶ十の星」のうち、六人が

六重唱を歌うと、それが、何らかの力となるらしい。

　オリザ姫は、思いっきり渋面を作り、毒舌で凄んで来る

マチアスから、目を逸らし、必死に、歌に集中しようとした。

　六つの声が、共鳴した。

　マチアスの周りの、大気の揺らぎが、明瞭になってくる。

　マチアスも、気付いたようだった。

　「何だ？！かげろうが、立ってやがる！

　　こんな所に？火も焚いてねぇのに？」

　だが、いつまでたっても、マチアスの体から、黒い霧は現れない。

　代わりに、「気味悪りぃ！その歌ヤメロ！うるせぇ！手ぇ解けや！」

などという悪態が、マチアスの口から、矢継ぎ早に吐き出された。

　六人は、それに耳を傾けまいとした。歌う事に、徹しようとした。

　それが、「それ」に、気付くのを、遅らせた。

　聖堂の天井近く。

　マチアスの頭上、真上に、「それ」は、既に出現していた。

　黒い、しみの様な濁りであった。

　が、それは次第に大きくなり、緩やかに、渦を巻き始めていた。

　それでも、誰一人、気付かない。

　喚き散らすマチアスの声と、六人の歌声とに、兵士も神官たちも、

気を取られすぎていた。

　ふと、人々の耳に、嘲るような、含み笑う声が届いた。

　突然、黒い渦が、巨大化した。

　ようやく、人々が気付き、あっ、と、声を上げた時、渦は、

真下のマチアスではなく、マチアスの真ん前にいる、

オリザ姫めがけて、その中心を、さながら蛇のごとく、

ぬうっと、延ばして来ていたのだ。

　隣のソルダムが、咄嗟に、庇おうと駆け寄った。

　が、渦は、二人共を、その中心に飲み込んでしまった。

　他の四人も、一様に慌てふためいたが、時すでに遅し。

　黒い霧の渦は、残る四人をも、瞬く間に飲み込み、最後に中央で

喚き回っているマチアスを、飲み込むと、出現した時と同様、

速やかに跡形もなく、消滅してしまった。

　　　　　　＊　　＊　　＊　　＊　　＊

　「全く、確固たる意思を持たぬ奴は、使い難い。」

　テッセリム小神殿近くの、留守のはずの小さな家に、

ぽっ、と、明かりが灯った。ソルダムの家であった。

　留守が長引きそうだと見て、ハズリックの指図で、

外から、戸口や窓に、風雪除けが、頑丈に打ち付けられている。

　容赦なく降り積もった雪は、家の半ばを埋め、外から、

人が入った様子はない。それなのに、僅かの隙間から、

炎の色が、見え隠れする。

　明かりは、暖炉の火であった。そして、その前に置かれた、

木の長椅子に、横たえられた長身の男は、マチアス・メイガン。

　意識のないその顔を、じっと見下ろす小男の姿が、傍らにある。

　「忌々しい事に、手駒が少なくなってしまった。

　　まだ死なす訳にはいかん。もう一働きして貰わねば。」

　小男は、紛れもなく、ニグ・エウビュコスであった。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　続く

　やっぱり出て来ましたね、ニグ・ヤッシー。転んでも只では起きない、しぶとい奴。

　・・・子が子なら、親も親か・・・まるねこを、子供っぽいと貶しておいて、

　親の書いてる物が、これだもの。やっと、第四章、本筋に入ります。

　では、また次回。今日も、お越し下さって、ありがとうございました。