2012年11月21日

パン屋のとっても危険な作業

 パン屋の仕事に、「食パンのスライス 」がある。はっきり言って、こわいiconN04iconN04

 「指、切断注意!」なんてシールが、ばーん、と、貼ってある。

 丸いカッターナイフの刃が、tenki_1凄い速さで、回転している機械。、

 掠っただけで、大事故iconN04kao_12iconN04だから、緊張する事この上ない。

 iconN24それなのに、iconN06ボージョレー・ヌーボー・フェアiconN06ワインに合わせて、iconN24

 パンを食べようとてか、フランスパンが、やたらと売れた。

 いや、売れるのは結構だが、kao_16それをスライスするという、とんでもない作業を課せられた。

 そもそも、四角の食パン用の機械だ。あんな丸い物を、kao_15切るように出来てない。

 ぎりぎり、刃の近くまで、手で直接押さえてないと、まっすぐ切れないしkao_3

 備え付けの押さえ機では、回転の勢いで、パンがどこかへ飛んで行ってしまう。icon16

 余程、全身に、力が入ったのか、気が付くと、歯が痛い。kao12

 肩凝りが、歯周病を引き起こしたらしい。kao_18夜も眠れず、ご飯も食べられず、

 朝を待って日の出、近所の歯科医へ。歯茎を洗ってもらう間も、涙が出るほど痛い。icon11icon11icon11

 ブームも結構だけど、機械に、用途以外の使用法を無理強いするのは、

 止めて貰わないと。道具は使いようによるが、機械は危ないiconN04iconN04

 そうでなくても、足りない人数で、無理なやりくりして、皆、疲れが溜まっている。

 その内、どくろ大事故どくろが起こったら、どうするんだろう。


 

    The Song of Wind (284)

 急を聞いて、ミランとユーディスが駆け付けたが、テオは、

かなり、馴染んだと思われる、この二人が来た事にさえ、

気付いた様子もない。唯々、目を剥き、胸を掻き毟り、

人声とは思えぬ唸り声を発して、床をのた打ち回るばかりだ。

 「医師と、薬使いだけではだめだ。神官も呼べ!

  病か、魔法に因るものか、分からぬのだから!!」

 しかし、ユーディスのその言葉が終わらぬうちに、

テオの口、いや、鼻や耳、目からまでも涙の代わりに、黒い霧が、

じわじわと、滲み出始めたのだった。

 驚きの余り、人々はテオを床に置いて、後ずさった。

 テオは、酷く苦しく嘔吐するかのように、身を二つに折って、

体内のものを、吐き出そうとしたが、それは、そうせずとも、

体中から幾筋もが、黒い線状の刺青のように、纏いつきつつ、

床に流れ落ちる。

 床の上には、一旦、黒々とした物が、水溜りのように溜まり、

それが、見るうちに、もやもやと床の上に立ち上がり、

不気味に脈打って、球状に、徐々に膨れ上がって行く。

 「・・・なんだ、これは!!」

 ユーディスは叫んだ。それは、まだ冷静な証拠だった。

誰もが、驚き慌て、声を発する事すら忘れていた。

 果敢にもミランは、黒い塊から、テオを遠ざけようと、その体を、

引き摺ったが、その動きも、硬直した。

 テオは、体内の黒い霧を、全て吐きつくし、精根尽き果て、

虚ろな目を宙に据えて、ぜいぜいと肩で息をついでいる。

 恐らく、意識も朦朧としているだろう。

 むしろ、その方が彼の為であった。己の体から出た物を、

知らずに済んだのだ。幸いと言う他ない。

 テオの体から、湧き出した黒い霧は、さながら生き物の様に、

床を這いにじり、次いで伸び上がり、突然、床を転がるかと思えば、

子供の手毬の様に、壁や天井を跳ね回る。

 ミランは、その動きを、唖然と追っていたが、その耳に、

微かな旋律が、聞こえて来た。

 それは、その歌を知らなければ、そうとは聞き取れぬほど、

微かなものだったが、ミランは、その歌を知っていた。

 のみならず、歌う事ができた。ミランは、旋律を拾い、声を発した。

 黒い霧の塊の動きが、ぴたりと、止まった。

 訳も分からず見守る人々の中で、突然静止した霧の塊の中から、

ぬぅっと、一本の腕が突き出された。

 誰もが、恐怖に凍りついた。

        *  *  *  *  *

 それまで、二人の人間以外の、動くものの気配のなかった、

真っ暗闇に、一陣の風が吹き込んだ。

 トゥモーロスは、辺りを見回した。周囲の闇が、拍動していた。

 それが、風となって感じられる・・・かと思った、その時だった。

 高らかなシシィの歌声が、突然ばっさりと、暗闇を切り裂いたのだ。

 光が差し込んだ。トゥモーロスは、顔を覆った。眩しかった。

 シシィは、知ってか知らずか、全身全霊で歌い続ける。

 トゥモーロスは、目を閉じても、まぶたの裏に感じる光に向かい、

這いずって、手を伸ばした。

 風は、光の方から、確かに吹き込んでいた。

 目が慣れて、薄目を開けたトゥモーロスは、光の中に、

剥き出しの石造りの部屋と、そこに集う、人々を見た。
 
 ・・・外だ!!出口が出来た!!・・・

 トゥモーロスは叫んだ。

 「出られる!シシィ!早く、こちらへ!!」

 シシィも、気付いた。歌声が途切れた。

 と、突然、光が消え、風も止んだ。出口は急速に閉じて行く。

 シシィは、慌てて再び歌い出した。

 出口が、再び現れた。シシィの歌声に、反応しているのだ。

 トゥモーロスは、シシィの腕を捕らえて、出口へ導こうとした。

 しかし、シシィの気持ちが、少しでも歌から削がれると、

 出口が急速に閉じてゆく。気付いたシシィは、声を

振り絞りつつ、トゥモーロスの手を、振り払った。

 トゥモーロスの体は、闇の裂け目へ、一気に落ち込んだ。

 その目が、最後に見たものは、

 ・・・あらん限りの声で歌いながら、にこやかに微笑み、

  別れの手を振る、シシィの、その目に溢れ、

  こぼれ落ちる涙の、煌きだった。

                続く


パン屋のとっても危険な作業 
秋です。さあは、秋生まれ。

 バリバリの乙女座。ハート

 女らしいと言う意味ではない。女を捨てた女。

 お金好きだから、仕事の我慢ができる乙女座。

 でも、我慢も限界。歯痛には勝てない。どくろ

 化膿止めは、お腹が悪くなる。

 お腹の弱い乙女座。う~~んkao_18

 仕事を始めて、医者に行く事が増えた。

 kao12・・・本末転倒・・・kao12

 リボンiconN11ではまた次回。iconN11リボン

  今日も、お越し下さって、ありがとうございました。
 



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Posted by さあちゃん at 00:00│Comments(0)ファンタジー
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