2012年10月13日

風の歌 272

風の歌 272 娘の巾着袋。6面全て、押し絵風アップリケ。

 手、掛かってます。来年成人式に、持たせます。

 だって、バッグ買うお金が・・・ない・・・

 それとも、さあの時の、佐賀錦のバッグにするiconN05

 草履は買った。娘の足が、でかいから。

 でも、長襦袢も、帯締め帯揚げも、お下がり。

 ショールは・・・どうしよう・・・要るよね。

 シルバーフォックスが欲しいって言うんだけど、

 君ね、学費のほかに、画材費が掛かってるの。

 iconN06わかるiconN06


    The Song of Wind (272)

 クァランドール北限の地、エリオルム。

 峻厳な山並みに、南から近付くと、次第に、稜線がなだらかになり、

やがて、ぽっかりと、ほぼ円形の盆地が現れる。

 ケルビンとアルフィーニは、町の上空を避け、盆地の外周を回り、

盆地の北に聳え立つ、エリオルム神殿に近付いた。

 エリオルム神殿は、どの国の、どの地方の神殿とも、違っている。

 白く瀟洒に造られた、南方の物とも、東方によく見られる、

灰色っぽい石造りの、重厚な造りとも違う。

 まして、トルトバイトの、屋根の端を反らせた、

西域の影響を受けた形とは、似ても似つかぬ。

 既に、深い雪に閉ざされた、北の雪国の町を、それ以上の

雪の魔の手から、守ろうと立ち塞がるかのごとく、ただ黒く、

天に向かって、ひたすらに高い塔を、無数に立ち上らせている。

 町の中心は、ごく普通の繁華街。

 その周囲から、山々に向かって、家並みが連なり、道には、

引っ切り無しに、人々が、雪を掻き分けつつ行き交う。

 鉱山で金銀を掘る、鉱夫達だ。夜昼無く、季節すら構わず、

掘り進む重労働だが、そこには、暗さは感じられぬ。

 貴金属のもたらす富は、十二分に、人々に行き渡っているらしい。

 だが、神殿の周囲は、黒々と色彩無く、風景の中に沈んでいる。

 この地に潜む魔物は、氷雪の民だけでなく、バルツァードの民にも、

ひどく怖れられている様子が、ありありと見て取れる。

 二人は、神殿の敷地の、北の端に降り立った。

 ここより北は、クァランドールの版図ではないのだ。

 何より、二人の神経を逆撫でる、不気味な波動が、地の底から、

びりびりと、湧き上がり、冷気を震わせている。

 「神殿の中には、神官達がいる筈だが・・・

  よくも平気で、いられるものだ。

  常人でも、これほど、禍々しい波動を受ければ、

  気が滅入ってしまうに違いない。

  魔力ある神官には、居ても立っても、いられぬ状態だろう。」

 アルフィーニは、頭からすっぽりと、フードを被り、ぶつぶつと、

魔除けの呪文を、唱え続けている。

 瘴気めいた激しい波動に、結界が張れないのだ。

 ケルビンは、とっくに諦め、その波動を、直に全身に受けている。

 余程の自信が無ければ、出来ぬ真似だ。

 アルフィーニは、マントの下で、印を結んだ手を解けない。

 二人は、敷地の外周から、林立する建物の間に、歩み寄った。

 国王の愛する女性を、捜索する為なのだから、正面切って、

堂々と名乗り、立ち入り調査を申し入れる事も、できるはずだが、

ケルビンは、それを良しと思っていない。

 できれば、事が表立たぬうちに、シシィを連れ戻し、こっそり故郷に

送り返してから、ソルダムに、事後報告する心算らしかった。

 それでは、ソルダムが納得するまい、と、アルフィーニは思うが、

今は先ず、シシィを探す事が先決だから、黙っている。

 建物の下部は、巨大な列柱の間に、アーチ型の窓が並んでいるが、

冬場の事で、どの窓も、固く板戸を閉ざし、内部を窺う事はできない。

 「夕刻だからな。明り取り窓も、閉めてしまってるだろう。」

 しかし、矢張り夕刻だった。夕餉の為に、人々の動く気配がある。

 中二階の回廊を、雪国らしい、厚手マントのお仕着せ姿の、

神官の群れが、規則正しく隊列を組んで、進んで行く。

 回廊は、屋根があるだけの吹き曝しだが、冷気の侵入を防ぐため、

建物への出入りは、分厚い扉が仕切っている。

 それらの扉は、先頭の神官が、魔力で開け閉めを、

行っているらしいが、それが、余りに規則正しすぎる。

 一群れの神官が、回廊に出て来た。最後尾の神官の後ろで、

扉が閉まる。その直前の隙を突いて、ケルビンとアルフィーニは、

建物の一つに滑り込む事に、成功した。

 ケルビンは、なびくマントの端を押さえて、廊下の壁際に屈んだ。

 アルフィーニも、扉の脇に身を寄せた。が、次の瞬間、二人は、

はっとして、顔を見合わせた。

 地下からの、禍々しい波動がない。

 暗い廊下の角ごとに、小さく灯火が、設けられている。

 が、あの、重苦しくのし掛かってくる、息苦しい圧力は、

嘘の様に消えうせており、静寂だけが、空間を支配していた。

                     続く
 

 ストーリーが組み上がりつつあるのに、時間が無い。

 パソコンの前に、いられない。なぜか。節約のため、さあが自分で振袖を縫うから。

 着物の構造は、頭に入ってるけど、柄合わせとか、裏地の釣り合いとか、

 いろいろ厄介な事がある。それに、縫う所が長い。う~~ん・・・できるだろうか・・・

  がんばります・・・けど、自信が無い。ケルビンの、あの自信が欲しいiconN04iconN04

 では、また次回icon16kao_3icon16今日も、お越し下さって、ありがとうございました。



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Posted by さあちゃん at 01:48│Comments(0)ファンタジー
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