ぶるんねん文庫

　　　　　　　　　　　　　

　森純子先生の個展。　　　　　　　

　ギャラリー寺子屋にて。

　5点だけだけど、見ごたえあり。

　アブストラクトの新作ばかり。

　森先生、本領発揮

　絵に、ブレがない。見ていて飽きない。

　基礎の出来ている人は、違うね。

　　　　　　　　　　　　


　　　　　　　　

　「橙」って、タイトルだけど、

　個人的に「水の底」の様な、

　気がするので、ここで今だけ、

　「水底の絵」

　勝手につけて、ごめんなさい。

　　　　　　　　　


　　　　Ｔｈｅ　Ｓｏｎｇ　ｏｆ　Ｗｉｎｄ　（２６２）

　「国難を見捨てて、逃げた王が、兵を求めて戻ったのだ。

　　どのような約束を、突きつけられても、拒否は出来ぬ。

　　まして、彼等は、ファーゴの間諜にそそのかされて、

　　内乱を起こそう、としていたのだから。」

　立ち尽くし、重い口調で、語り始めたソルダムの傍らで、

セヴィリスは、代わって雪を掻いた。

　「ファーゴが、いかに油断ならぬ奸物であるかを、

　　知らせるため、また、内乱を起こさせぬため、

　　私は、聖域へ彼らを遠征させた。

　　・・・だが、それは、表向きだ。

　　私は、民を欲したのだ。

　　人は、一人では何も出来ぬ。明日を生きることすらも、

　　この、厳しい北国では、ままならぬ。

　　この村での暮らしも、民の支え、あっての物だ。

　　一時も、忘れるわけにはいかぬ。

　　分かっていながら、私は、外の戦に干渉するため、

　　彼らを駆り出した。ニグを、追い詰めるためだけなら、

　　一人でも、よかったのだ。

　　それでも、これ以上、荒れ果てた国土を

　　内乱で荒らすわけには行かない。

　　テッセリム首都移転を、考慮すると、条件を呑み、

　　若者の力を、外へ逸らし、戦をした。

　　死者も負傷者も出した。この罪は、逃れられない。」

　雪が激しくなった。

　セヴィリスは、ソルダムの背を押して、屋敷へ戻った。

　居間では、大剣の鞘に、宝石が戻されていた。

　いつしか、ユリシアまでが出て来て、共に触っていたようだ。

　「ユリシアは、さすがね。絶対、間違わないのよ。」

　ドリスが、ソルダムの前に、鞘を運んだ。

　文字を形作っていた、小さい宝石は、皆同じ形だったが、

他の物は、形も大きさも、まちまちだった。

　「ここ、って言ったら、ぴたりと嵌るの。すごいわ。」

　ユリシアは、かすかに微笑んだ。そうしていると、普通の、

少女と変わりない。その細く白い指先が、主の無いくぼみを

いとおしげに、なぞった。

　ソルダムは、鞘を組み合わせ、金の輪で留め、こじりを嵌め、

大剣を、元通りに収めた。

　剣の刃は、ぎりぎりの所で、宝石に触れないように、作られている。

　「後は、『サフィールの涙』を元に戻すだけだ。」と、ソルダムが、

一人ごちた時だった。

　ユリシアの、青空色の目が、はた、と、剣に据えられた。

　「そこにも、くぼみがあります。」

　「どこ？」

　ミランが、何の事か分からず、きょろきょろと、辺りを見回した。

　ソルダムは、今、収めたばかりの剣を、再び抜いた。

　ユリシアの視線は、剣を指していたのだ。

　鍔の部分に、細かい彫刻がある。渦を巻いたような形や、

花のつぼみの様な形が、そこかしこにある。

　それらは確かに、くぼみでもあった。

　ソルダムは、ユリシアに、剣を預けた。

　「ここ・・・ここも・・・」

　鞘も、再び開かれた。ユリシアは、丸い紫の玉石を、

鞘のくぼみから取り出すと、巻き上がった蔓草に

見える箇所に、ぴたりと嵌め込んだのだった。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　続く

　別に、大阪都構想に、乗ってるんじゃないんだけど、

　バルツァードの、テッセリム対ガラノデルム＆ポルトルの抗争って、

　橋下維新と、自民、民主の、抗争にかぶりそうで、なんとも、やりにくい。

　こっちはこっちで、魔法と、黒い霧と、平民若者党と、貴族党とで、やりますが、

　ううん・・・むつかしいな。

　ではまた次回。今日も、お越し下さって、ありがとうございました。