2012年07月15日

意外と密やかなゴーヤの花。

意外と密やかなゴーヤの花。 ゴーヤの花がさきました。

 薄い黄色の、ひっそりとした花。kao_21

 糸瓜や、瓢箪、胡瓜の花に、

 似ているだろうと思ったのに、

 あんなに、猛々しくない。kao_16

 icon11ちょっと、悲しげな花。icon11

    iconN08 iconN08 iconN08

 kao_7今の所、雄花ばっかり。

 雌花らしいのは一つ、まだ小さい。

 写真では、何だか分からなくなる。

 だから、もう少し大きくなったら、載せます。


    The Song of Wind (236)

 唐突に、振動が止んだ。

 地鳴りも軋みも、完全に止まった。

 あの激しい魔力の波動も、嘘のように消えていた。

 暫しの無音があった。

 六神官さえ、動きを止めていた。

 真っ先に我に帰ったのは、ケルビンだった。

 回廊から、閉じてしまった床の、ヘキサグラムの所に、

飛び降り、継ぎ目を確認する。

 だが、髪の毛一筋ほどの痕跡を残して、花のレリーフは、

ぴったりと床に嵌り込み、高さの段差すら、全く無かった。

 セヴィリスは、気を取り直すと同時に、ラダンに駆け寄り、

石化の状態を確かめた。石化は解けつつあった。

 六神官は、螺旋階段の降り口に集まり、唖然として、

崩れた瓦礫を見下ろしていた。

 他に、不安定な調度類は、幾らでもあったのに、

狙い済ましたように、そこだけが崩れている。

 まるで、階段を塞ぐのが、目的だったかのようだ。

 「・・・マヤリス様・・・」

 神官の一人が呟いた。地下のドームはマヤリス妃と

ネレイド王を飲み込んで、完全に閉じてしまっている。

 はっ、と、思い出して、ケルビンは、ユリシアを呼んだ。

 だが、風の精は現れない。

 「ユリシア!!出て来られないのか!!」

 強く呼んでも、反応は無い。ケルビンは臍を噛んだ。

 シシィを、遠ざけてしまっていた。ユリシアを強制的に

呼び戻す事は、ケルビンには出来ない。

 後は、ケルビンの命じた事を、ユリシアがどう理解して、

遂行するか、ただ、それだけである。

 ・・・頼む、ユリシア・・・王妃に、王を殺させるな・・・

 ケルビンは、見えぬ地下に念じた。

 
 青紫色の小炎に取り巻かれ、マヤリス妃は、宙を、

ゆっくりと降りてくる、ネレイド王を迎えた。

 「マヤリス、どう言う事だ!ここは、何だ!!」

 「ここは、九峯聖堂、最大の謎の空間。

  でも今は、我等二人の棺。

  後世には、墓所として、伝えられる事になりましょう。」

 「何と!!私を殺すと?」

 微かな地響きを立てて、白い円形の石盤と化した

ヘキサグラムの床が、黒い逆ドームの中央に、着地した。

 同時に、六花弁の花のレリーフが、抜けた地上の

床の代わりに、嵌り込んだ。

 さらに、轟音を立てて螺旋階段が崩れ落ちた。

 逆ドームの底から、地上へ繋がる物は、何一つ無い。

黒い石を磨き上げた、周囲の壁を登ったとしても、

天井から鍾乳石の様に下がった、数多い逆さ柱の為に、

天井に取り付く事は、出来ないであろう。

 ネレイドは、愕然とした。

 マヤリス妃が、どれほど強く、この戴冠式を諌め、

思い留まるよう、手を尽くしてきたか、今にして、

ようやく思い知ったのだ。

 戦を仕掛け、隣国を切り取らずとも、否、皇帝などにならずとも、

クァランドール随一の大国の王であり、その名を持ってすれば、

全世界から、充分に畏敬の念をもって、崇められるのだと、

幾度となく行われた進言を、ネレイドは、無視し続けた。

 ファーゴは、クァランドール大帝国建国こそ、世界征服への、

第一歩であり、法術を修める事で、さらに、全宇宙にさえ、

打って出る事が出来るのだと、説き付けたのである。

 ・・・全宇宙の、帝王になる・・・

 それは、成就すれば、九峯聖堂に祭られる、聖九神に、

己が加わる事であった。

 ・・・ルテシア王が、神に等しくなる・・・

 ファーゴの僭言は、ネレイドの思考の根底に、染み付いた。

 あたかも、己は、その為に生まれてきたかのように、

錯覚したのだ。マヤリス妃の進言は、暴走する錯覚を、

押し留めるものであった。ネレイドは、マヤリスを遠ざけた。

 ファーゴは、すでに失墜していたが、ネレイドの行動は、

ファーゴの敷いた軌道の上を、留まる事なく進んだ。

 皇帝指名者の出迎えの為、ヘリアンタを留守にした隙に、

マヤリス妃が、アルナス后とミリカを連れて、出奔したと、

知らせを受けたが、すぐに、九峯聖堂に現れたと聞き、

特に大事とは思わなかった。

 しかし、今、地底に閉じ込められ、共にここで果てると言われ、

初めて、マヤリスの本意に、気付いたのだった。

 「お覚悟は、なりませぬか。ならずとも、最早、

  地上に戻るすべは、ございませんが。」

 マヤリス妃は、ゆっくりと王のもとに歩み寄る。

 その背後にネレイドは、亡霊のような、白い人影を認めた。

 と、思うが早いか、ネレイドのは、マヤリス妃に飛び掛り、

その体を引っ掴むと、十二節の長杖をかざし、早口に呪文を唱えた。

 そして、意外すぎる夫の行動に、驚くマヤリス妃に、素早く抜いた

短剣を突きつけ、白い人影に呼びかけた。

 「出てくるがよい!風の精霊よ。

  王妃の身が、どうなっても良いのか?」

               続く


 実は、物凄い勢いで、5回分を書き上げまして、頭が、ぐるぐる回ってます。kao_4tenki_1

 お陰で、家事は滞り、縫い物も溜め込んで、大変な事になりました。

 でも、予定通りって、できない。「〇〇時まで書いて、それから、XXして・・・」

 なんて、思っても、嵐の嵐が脳味噌を振り回すiconN04iconN04

 どうにか、嵐が収まったので、片付けに掛ります。kao_10ではまた次回。

 きょうも、お越し下さって、ありがとうございました。icon03icon05tenki_1icon05icon03



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Posted by さあちゃん at 00:00│Comments(0)ファンタジー
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