2012年06月23日

白い紫陽花

白い紫陽花 
   kao11 kao10 kao08 kao10 kao11 

 色づく前の、白い紫陽花。

 グリーンのバックに、涼しそうな色合い。

 でも、すぐに、薄紫が掛ってくる。kao11

 今年は、どんな色になるんだろう。

 去年は、一房に、ピンク、薄紫、薄青と、

 三色入って、おどろいた。

 今年はiconN05

 それは、次回のお楽しみicon06

   kao05 kao06 kao07 kao06 kao05


    The Song of Wind (226)

 ミランは、うなされていた。

 足元も見えぬ闇の中で、殷々と響く声が、

 「人殺し!!人殺し!!」と、

引っ切り無しに喚いている。

 声は、追って来るのか、向かって来るのかも分からぬ。

 どちらへ逃げれば、遠ざかれるのかすら、分からぬ。

 耳を塞いでも、抗って叫んでも、脳味噌を叩きつける勢いで、

声は迫って来るのだ。

 「殺したくて、殺したんじゃない!!

  あれは、戦だ。戦争だ。攻めて来たのは、

  ルテシアじゃないか!!トカゲ達を連れて来たのも、

  全部全部、ルテシアの仕業じゃないか!!」

 「だが、手柄を、立てたかったのだろう?
  
  出世を、したかったのだろう?

  殺して、殺して、殺しまくって、将軍の座を得たのだろう?

  うれしかろう。楽しかろう。」

 「うれしくなんか無い!!」

 ミランは、頑強に叫び返した。

 闇は濃く、濁り、澱み、ねっとりと、饐えた沼の水の様に、

重くミランの手足に、纏わり付いて来る。

 「辛いよ!悲しいよ!大勢死んだし、怪我人も一杯だ。

  治らないほどの、深手を負ったり、

  まだ、毒が消えずに、苦しんでる者もいる。

  将軍なんかになったって、誰も救えやしないんだ。

  いっそ、薬使いになったら、人助けも出来るのに・・・」

 「だが、お前を、武人にし、戦で人を殺せと

  命じた者がいる。覚えておろう。

  南の城で、お前の頭上に、剣を振るった、かの者の事を。」

 「ソルダムの事・・・?」

 「憎かろう。腹立たしかろう。・・・どうじゃ?」

 「腹が・・・?立たないよ。ソルダムは、あの時、

  行かなきゃならない所が、あったんだ。

  オレが、手伝いたいって言ったから、取り立ててくれて・・・

  あの時は、こんな、オオシロトカゲを使った戦なんか、

  誰も考えてなかったし。・・・ソルダムは、いい人だよ!

  オレが怪我した時、すっごく、親切にしてくれたよ。

  シシィにも、優しかったよ。憎んだりは、出来ないよ!!」

 ふと、闇がたじろいだ。さらりと、微かに、風が流れた気がした。

 しかし、声は、執拗だった。

 「だが、お前を、人殺しにした。

  ルテシアの総指揮官を、殺させた。

  憎むべき相手であろう。その胸に憎悪が滾らぬか?」

 「憎悪?・・・胸に・・・何だって?」

 「憎しみが湧かぬか?挽き毟ってやりたくは、ならぬか?」

 「ならない!」

 ミランの答えは、単純明快だった。

 「ソルダムにも、誰にも、憎さなんか、感じない。

  ただ悲しくて、やり切れないだけだよ。

  大声で、泣き喚きたいだけだよ。」

 突然、闇が澄んだ。暗いままに、厭わしい纏わりが消えた。

 星も月も見えなかったが、透き通った大気の彼方に、

その存在が、感じられた。

 心地良い夜風が、髪の一筋ずつまでもを清め、

吹き払って行く。ミランは、己を溺れさせそうなほどの、

涙を滂沱と流しながら、呟いていた。

 ・・・夜って、こんなに・・・こんなに静かで・・・

  こんなに、暗くて・・・清らかだったんだ・・・

 その静けさを、涼やかな歌声が破った。

 目を開けると、朝だった。ミランは、夢を見ていたのだ。

 広間に入ると、騎士達が皆、目礼して、一歩下がる。

 それにまだ馴れられず、どぎまぎしながら、礼を返してはいたが、

ミランの顔は、余程、げんなりしていたのだろう。

 ドリスが、気遣わしげに近付いてきた。

 「変な夢、見ちゃってさぁ・・・かえって疲れた・・・」

 「戦の後に、いい夢見る人なんか、いないわ。」

 ドリスは、つっけんどんに言い放った。

 「でもさぁ、『ぞうおを、たぎらせ』とか、って、何だか、

  よくわかんない事を、誰かが、しつこく言うんだよ。

  気味悪い夢だったなあ・・・」

 そこへ丁度、ユーディスが来て、ミランは、連れ出されて行った。

 ドリスの背後で、アルフィーニが、「ふぅむ」と、一人ごちた。

 「何?」

 ドリスが振り返ると、アルフィーニは、いつもの通り、

大振りな安楽椅子に、胡坐座りのポーズで、考え事を

しているようだった。ドリスは、手近な台に、腰を下ろした。

 アルフィーニが、話し始めた。

 「私も、夢を見た。黒い霧に纏わり付かれて、

  『その胸に、憎悪を滾らせよ』と、囁く者が現れた。

  あれは、誰だっただろう。あの波動・・・

  覚えがあるような、無いような、奇妙な感じだ。」

 ドリスは、薄気味悪そうに、視線を彷徨わせた。

 「私も、見たかもしれない。

  『憎悪を、憎悪を・・・』と、呟く声を、聞いた気がする。」

 その時、一人の若い神官が、近寄って来て、

 「神殿長よりの、伝言でございます。

  『明日の、ファウヌス将軍の御葬儀には、御遠慮願わしく。』

  との事にございます。よろしくご了承の程を・・・」

 「わかった。」

 アルフィーニは、髪一筋動かさず、答えた。

 ドリスは、気分を害していた。

 「また?堅苦しすぎない?ここまでいくと、差別的だわ!」

 だが、アルフィーニは、気に留めた風を見せなかった。

 「異国人、異教徒と言う以上に、仙術師というのが、

  引っ掛っているのだろう。仕方が無いさ。

  神官達の魔力と、衝突は、したくない。」

 ドリスは、承諾しかねる様子で、プゥッと、頬を膨らまして見せた。

             続く


 ミラン将軍。板につくまで、暇が掛りそうですな。kao_10

 旅の一座で、エセ剣舞やったり、シシィの歌の、おひねり集め、してた頃からすると、

 よっぽど、出世ですよね。でも、出世して、幸せを感じるかどうか。

 相葉君は、自分の息子は、ジャニーズに入れたくないんだそうで、

 「結構大変だからicon16、同じ苦労は、させたくない。」そうです。

 絶大なる人気者にして、こういう事、言う人だもん。kao_16ニノとは、感覚的に対極だね。

 「入りたいなら、入れさせて、挫折させて、『オヤジって凄い』って思わせたい。」

 kao_12ナルシストの極みじゃないですか。

 ケルビン・ナルキサスの名に、恥じてない所が、kao12・・・コワイ・・・kao12

 彼ら、この物語は、知らないはずだしkao_01、さあは、2010年4月当時の、TVの印象で、

 キャラ設定と、ストーリー組み立てやったから、いかに、icon12彼らのオーラicon12が強いか、なのか、

 さあの眼力が強いか、なのか・・・(って書く、さあも、余程のナルだね。)

    では、また次回icon12スペードicon12きょうも、お越し下さって、ありがとうございました。
  



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Posted by さあちゃん at 00:00│Comments(0)ファンタジー
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