2012年06月20日

風の歌 ミラン将軍誕生!!

風の歌 ミラン将軍誕生!!
 黒馬のときの、アルフィーニ。・・・のモデル。目の光が、怖いでしょ。kao_16

 ホントは、人なんだよ、って、言ってるみたいに、kao_12見えるの。


    The Song of Wind (225)

 ミランの部下が、ルテシア指揮官の首を掲げて、

勝ち名乗りを上げると、見る見る内に、バルツァード側が、

勢いづいて、山側から押し出て行く。

 更に、ユーディスに率いられた援軍が、山を馳せ下るのが、

遠目に見えた。前回の失敗に学び、付近の村から、

家畜の牛馬を借り出し、背に松明をつけ、偽軍に仕立て、

数を見せかけている。その中に、黒馬のアルフィーニがいて、

群れをコントロールしているのだ。

 これは効をなした。ルテシア兵の士気は、著しく削がれた。

 ルテシア軍は、三倍以上の兵力を生かし切れず、

押し戻され始めていた。

 その上、火の移った大木を、ルテシア側に向けて、

切り倒すと言う、ミランの戦法を見習った、バルツァード軍は、

急ぎ手斧を掻き集め、力と人数に任せて、次々と木を伐採した。

 その内に、ルテシア軍にも、同じ戦法を取る者が現れ、

ふた抱えもある大木を、無理に、切り倒しに掛っている。

 だが、時を失した作戦は、意味を成さず、徒卒兵の

損失を招くだけだった。

 ファウヌス将軍は、兜を取り、その様子に高笑いをした。

 「あれを見よ!あの馬鹿者共めを、ボウガンで射るがいい!

  周りは、とうに退いたと言うに、愚図愚図と小斧など

  振るっておる。ほんに、間抜けた奴ばらじゃ!!」

 次々、ボウガンが射られ、居残った、数人のルテシア兵達は、

折り重なって倒れた。

 その内の一人が、急所を外れたのか、半ば斧が入った木に、

手を付き、最期の力を振り絞り、押し倒そうとした。

 もし倒れても、既に付近の兵士は、逃げ去っている。

 ファウヌスは、その様を嘲り、更に笑った。

 めりめりと幹が裂け、木が傾いた。

 押していた兵は、血を吐き、倒れ込んだ。

 炎を吹き上げ、大木が倒れた。

 その直前、火と落下物に驚いた、一頭のオオシロトカゲが

物凄い勢いで、ファウヌス将軍に、飛び掛った。

 狙って掛ったのではない。驚愕し、血迷ったのだろう。

 だが、逃げた先の障害物が、己の敵であると気付いた時、

凶暴な野生の頭脳は、ぱっくりと口を開き、その毒ある牙を

相手に突き立てる事を選択した。

 歴戦の将軍は、驚きにも苦痛にも声を上げなかった。

 ただ、無言で剣を抜き、オオシロトカゲの胴を、

一刀の下に、両断した。

 しかし、続いて起こった、毒による苦悶は、止めようが無かった。

 最重量級の甲冑を着けた、がっしりした壮年の男の身体は、

どうっ、と倒れ、二度と立ち上がる事は、できなかった。

 
 敵軍の総指揮官の、首級を掲げたミランが、知らせを聞いて、

後方の救護所に、駆け付けた時、ファウヌス将軍は、まだ、

息があった。が、負傷者が多すぎ、解毒剤が足りず、

死のあぎとを、留める事は、できなかったのだ。

 将軍は、ミランを枕頭に呼びつけた。

 「敵将の、首を、上げたとな?」

 「はい。・・・これに・・・」

 ミランは、白布でくるんだばかりの包みを、解こうとした。

 が、ファウヌスは、微かに手を振って、それを止めた。

 「いまわの際に、かような物を見せるな。

  それより、言い置きたい議がある。

  ・・・ミラン・アクティオン。生まれは、ルナンシア近く・・・

  自由国境地帯とか。しかと左様か?」

 「は、・・・はい。」

 「それならば、よい。

  ミラン、そなたを、バルツァード南方軍、次代将軍に任ずる。

  我が世継ぎじゃ。心して勤めよ。」

 その場の者、全てが、驚きに凍りついた。

 ミランの目は、真ん丸に見開かれ、瞬きも忘れている。

 「やってみよ。そなたのような、風来坊に、

  人が付いて来るか、試すがいい。

  戦場の外れで行った、そなたの戦法が、

  野火の様に広がるのを、わしは見た。

  また兵士達が、あの奇妙な刃を模した木片を、

  投げたり避けたり、自主的に、鍛錬するのも見た。

  そなたは、人を動かす星の下にいる。

  やってみよ。我が世継ぎは、厄災に死した。

  わしが死ねば、将軍位は空位じゃ。

  今、これを、空位には出来ぬ。ゆえに、そなたに譲る。

  受け取れ、紅蓮の魔戦士。

  オヴィディオ王を、無事に、バルツァードに迎える為に。」

 後半は、下顎呼吸の為、殆ど聞き取れなかったが、

真意は伝わった。ミランは、痙攣に震えながら差し出された、

ファウヌスの手を押し頂いた。と、その手の力が、不意に抜けた。

 「将軍!ルテシア軍は、再び撤退いたしました。

  我が軍の勝ちにございます!!」

 何も知らぬ伝令が、飛び込んで来て、叫んだ。

 外は、既に、勝利の雄叫びが、渦巻いていた。

 救護所の内も、勝利と、新将軍を祝って、万歳が叫ばれた。

 だが、ミランの表情に、喜びは無かった。

 戦場は血と汗と、焼け焦げばかり。

 深緑の木々は倒れ、紅葉の落ち葉は、もう見えぬ。

 さらに無残なのは、見知らぬ土地に運ばれて死んだ、

数多のオオシロトカゲの、屍骸だった。

 「こんな勝利って・・・こんな戦で、こんな手柄で・・・

  こんな風に、将軍になるなんて・・・」

 ユーディスが近寄り、祝いの言葉を述べた。

 だが、その目は少しも笑わず、目出度そうではなかった。

            続く


 kao_16書いてて気付いた。「三毛猫ホームズ」と、被ってるiconN04iconN04iconN04

 大手柄で、褒められてもうれしくない、・・・って言うシーン。kao_12そのままじゃんiconN04iconN04iconN04

 相葉君って、こういうシーン、似合ってるんだろうね。kao_15しょうがないです、もう・・・kao_9

 ともあれ、icon22ミラン・アクティオン将軍、誕生です。で、王様は?・・・もうすぐ出します。icon12王冠icon12

  では、また次回。kao12炎どくろ炎kao12今日も、お越し下さって、ありがとうございました。



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Posted by さあちゃん at 00:00│Comments(0)ファンタジー
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