ぶるんねん文庫

　玩具付き菓子って、

　お子様向けばかりじゃなく、

　こんな物が、ありました。

　和菓子のミニチュア。

　すんごくちっさいの。

　5ミリくらいしかない。

　失くさないように、

　大事に保管してます。


　　　　Ｔｈｅ　Ｓｏｎｇ　ｏｆ　Ｗｉｎｄ　（２１３）

　「あれ、アルフィーニ、一人だけ？」

　昨日の戦が嘘のような、静けさの中で、ガラノデルム大神殿は、

朝を迎えていた。上級将校たちの、居間に当てられた、広間は、

外の小鳥の声と、微かな、紙の擦れる音ばかりだった。

　アルフィーニは、一人、大振りな安楽椅子に、胡坐座りして、

書庫から借り出した、魔法書を紐解いている。

　ミランは、錦張りの椅子を構うことなく、埃だらけのズボンで、

腰を下ろすと、ブーツを脱ぎ、中に入った小石を、大理石の

モザイクの床に、撒き散らかした。

　「誰もいないの？」

　「今日は、何かの祭日だとか。聖堂で、祈祷があって、

　　・・・異教徒は入れないそうだ。神官に止められた。

　　御遠慮願いたいと。・・・今まで、余り意識しなかったが、

　　この国では、私の様な者は、居場所を、定め難いらしい。」

　アルフィーニは、ふと気付いて、ミランを、じっと見た。

　「それはそうと、お前は祈祷に出ずに、どこへ行ってたのだ？」

　「昨日、別働隊が後ろに回りこんでるって、知らせてくれた鳥達に、

　　お礼を言いに・・・パンと、肉の脂の所と・・・台所でもらって、さ。」

　そうか、と、軽く受け流して、アルフィーニは、書物を広げたまま、

意識を集中させて、戦のあった、南の斜面から麓にかけて、

ルテシア軍の動きを探った。今は、遠くの山々までが、静かだ。

　昨日、夜が明けて間もなく、戦線に加わったドラゴンに、

ルテシア軍は、余程に驚いたと見えて、アルフィーニが、

魔術師の掟に触れるのを、覚悟の上で、一暴れする間なく

海の引き潮より、速やかに退いてしまった。

　のみならず、　山間部を引き返し、自由国境地帯まで、

撤退してしまったのだ。

　そして、そのまま再び、出張ってくる様子がない。

　どういう理由で、そこまで撤退したのか、皆目わからない。

　・・・ルテシア王を導く、別の魔法使いが、いるとすれば・・・

　西域の仙術師であるアルフィーニには、読み解けない、

クァランドール魔術師界の、道理のようなものが、

あるような気がする。だが、それが何なのかが、まだ読めない。

　神殿の方から、祈祷の終わりを告げる、銅鑼の音が響いて来た。

　大扉が開き、ざわつきながら人々が出て来る。

　アルフィーニは、書物を掻き集めながら、立ち上がった。

　また、ミランにとっては、辛くて退屈な軍議が、長々と始まるのだ。

　ドリスは、テオの尋問に立ち会うと言って、早々に逃げ出した。

　ユーディスに、がっちり捕まえられ、ミランはため息をついている。

　アルフィーニは、横目に可笑し味を湛えて、書物の山と共に、

退出した。神官達が、安楽椅子や、ティーテーブルを片付け、

居間は、見る見る、会議室に変化して行くのだった。

　　　　＊　　＊　　＊　　＊　　＊

　「王妃様。お待ちの者から、知らせが参りました。」

　九峯聖堂の地下深く、純白の地上部から、想像つかぬ、

漆黒の闇に包まれた、擂り鉢状の基底部に、マヤリス妃は、

籠った切り、祈りの日々を送っていた。

　「風の・・・？」

　ゆっくりと、目を開けたマヤリス妃は、まだ、心の在り処が、

定まらぬ様子であった。

　その様子を、知らせをもたらした、六神官の一人は、

気遣わしげに見た。

　「前にお見えになった方々が、・・・全員ではありませんが、　

　　あなた様にお会いしたいと・・・」

　「そう・・・では、皆をここへ。」

　「ここへ？」

　神官は、困惑に眉をしかめた。

　この、黒い逆ドームとも言うべき空間の存在は、外部の者に、

あからさまにしてよいものでは、ないのだった。

　　　　　　　　　　　　　　　　続く　



　我が家の、日食観測装置。ピンホールで、パックの底に、映そうと言う訳。

　ところが、うまくいかない。光った芋虫

　前の、部分日食の時は、結構大きく綺麗に写ったんだけど・・・

　こんなに晴れるなら、メガネ買えばよかった・・・

　では、また次回。今日も、お越し下さって。ありがとうございました。