ぶるんねん文庫

　ホワイトムスカリとフリージア。

　ホワイトムスカリは、植えたんですが、年毎に球根が小さくなり、こんな有様に・・・

　一方、植えた覚えのないフリージアは、見事に元気。

　これ、ホントに、どっから来たんだろ

　植えっ放しなのに、毎年咲いて、甘い香りで楽しませてくれます。


　　　Ｔｈｅ　Ｓｏｎｇｏｆ　Ｗｉｎｄ　（２０８）

　九峯聖堂を、ほぼ同心円状に、取り囲んだ最外周に、

ネルンブ・タンベルディ隊の野営地は、設けられている。

　トニーが、そこへ走らせた先触れの、知らせを聞くなり、

シドは、テントを飛び出し、皆の前で、土下座して、

部下の非礼を詫びた。だが、シドにもトニーにも、非はない。

　タイミングが、悪かったのである。

　罪人から一転、客人になり、一行は、ほっと一息をついた。

　しかしそれは、本当に、一息の間だけだった。

　「九峯聖堂に、マヤリス妃が？」

　一行は、シドに、すぐに皆が、九峯聖堂に入れるよう、

計らって欲しいと、頼み込んだのである。

　ジュノス伯爵の野営地に、奇妙な客人達が、

訪れている事は、すぐに、他の隊に知れ渡るだろうし、

それを迎えたジュノス伯に、危険が及ぶのは、好ましくない。

　噂が広まる前に、早急に、ここを出る必要があるのだ。

　しかし、シドは、渋面を崩せない。

　「難しい事です。九峯聖堂は、確かに目と鼻の先だが、

　　その距離を、文字通り、蟻一匹通れぬほどに、

　　ルテシア兵が、取り巻いているわけです。

　　マヤリス妃が、いつ、どうやって九峯聖堂に、

　　お入りになったか、何の情報も入っていません。

　　この包囲の中を、本当に御越しなのでしょうか。」

　シドは、マヤリス妃が、魔術師である事を、知らないのだ。

　「ユリシア」

　セヴィリスの呼び掛けに、白い髪の少女が、現れた。

　シドはユリシアを、手紙でしか知らなかったので、

腰を抜かさんばかりに驚いた。しかし、現れた後は、

ユリシアは、普通の人間と変わりない。

　「マヤリス妃は、太陽宮から、魔術を用いて、アルナス后と、

　　ミリカを脱出させ、バルツァードのアクイラに降ろすと、

　　そのまま引き返し、九峯聖堂へお入りになりました。

　　魔術師と言うより、いにしえの魔石であるマヤリス妃は、

　　我等、風の力を用いねば、空行くことは、叶わなかった為、

　　風の精霊たる私に、その事実が、伝わったのです。

　　マヤリス妃は、間違いなく、聖堂においでです。」

　シドが、納得しかねる様子で、腕組みをした。

　その時、伝令が、テントの前幕を押し退けて、入って来た。

　「明後日、ネレイド・ヘリアンテス王陛下が、
　
　　コーブリオン皇帝位戴冠のため、御到着なされる。

　　お出迎えに当たっては、くれぐれも、遺漏なき様、

　　細心の注意を払って、準備万端怠らぬこと、しかと、

　　申し伝える。以上！」

　時間がなかった。明日、一日である。

　　　　　＊　　＊　　＊　　＊　　＊

　バルツァード、最南端に位置する、ガラノデルム。

　国境の山の峰に位置し、要害の地であり、同時に、

神々の降り来たる、大神殿を擁する土地である。

　約半年前の、大厄災の際には、大地震こそあったものの、

山も崩れず、地割れもせず、取り返しのつかぬほどの、

被害は、殆どなかった。建物は応急に修理され、僧院には、

緊迫する、対ルテシア政策の為の、仮本営が置かれている。

　首都サフィールを、水没させるに至った、激しい土砂崩れは、

デルム川を挟む対岸に、起こっていた。大きく崩れた山の土砂は、

デルム川を堰き止め、サフィール湖とは、別の湖を形成した。

　ガラノデルムは、だから、今は、デルム湖とも言うべき、

堰止湖の湖畔にある。

　
　暦は、秋の実りたけなわの頃に、遡る。

　バルツァード討議会の要人である、タンベルド伯爵が、

一人の武人を連れて帰国した。

　ミラン・アクティオン。

　「紅蓮の魔戦士」の、異名を持つ剣士であり、オヴィディオ王が

見込んで、国境守備の司令に推挙したと言う、書付を、

ユーディスが、預かって来ていた。

　ガラノデルムの、仮本営は、騒然となった。

　いかに王の計らいとて、一介の風来坊を、長に戴く訳には、

幾ら非常時とて、簡単にはいかないからだった。

　　　　　　　　　　　　続く

　やっと、出てきました。北の山国。ミラン、出番だよ～～

　また暫く、あちこち時間差つけながら、同時進行だな。けっこうしんどい。

　「アニメになったら・・・」って、風さんが、コメント下さったけど、本当になれば、うれしいです。

　キャラクターデザインは、嵐のイメージ踏まえて、お願いします。声は、専門の声優さんがいいな。

　あ、でも、シシィの声は、misonoさん本人が、いいな。関西弁だし、関西人でないと無理でしょ

　歌もあるし。シシィ、いい役なんだけどな。最後は、バルツァード王妃様なんだよ。

　　　では、また次回。今日も、お越し下さって、ありがとうございました。