ぶるんねん文庫

　
　蕗の薹を見つけました。

　大きくて天ぷらにはできない。

　なにより、他所の庭だし。

　さあの、大事な隠れ庭。

　頭の上は、梅満開。

　スイセンの葉も伸びてきました。

　春の盛りは、もうすぐです。　


　　　　Ｔｈｅ　Ｓｏｎｇ　ｏｆ　Ｗｉｎｄ　（１９４）

　輝く翼が、緩やかに羽ばたき、オリザ姫の姿は、

空中に留まり続けた。

　オリザ姫は、最後まで自分を庇い続けた、中央の首、

ラミア姫の頭を、その腕に抱いていた。

　左右の二つの首も、中央の首に寄り添った。

　オリザ姫は、後の二つの頭も、代わる代わる、

撫でながら、小さな声で、

　「元に戻って、そして、帰りましょう。

　　私達のふるさと、懐かしい、南の島国に。

　　緑なす、暖かな国。母なる海に、抱かれた国へ・・・」

　切れ上がって、ギラギラ光っていた、六つの目は、

今や、完全に閉じられ、滂沱の涙を流していた。

　ケルビンが、巨大な虫の傍らに、降り立った。

　「地底の泉の主よ。お前も、住処に戻るがいい。

　　黒い霧は、泉より退散した。

　　樹海の木々と、虫共の為に、地下の水源を、

　　守り続けるのが、そなたの役目のはず。

　　姫達に取り憑いた黒い霧は、我等が退治る。

　　心安んじて、去れ。」

　巨大虫は、丸い背を一層丸くして、静かに回れ右をし、

樹海の闇に消えて行った。

　一方、三つ首犬は、その姿を変えることは無かった。

　それどころか、その息遣いは、徐々に荒く、苦しげになり、

持ち上げられていた三つの首は、力を失い、次第に

地面に落ちて行く。身体は、激しい胸の鼓動に、

大きく揺らいでいた。

　ついに三つの首は、地に投げ出された。

　オリザ姫は、膝をついて、苦悶する三つの頭を

撫でながら、自分も涙を流していた。

　セヴィリスは呟いた。

　「もう、駄目なのか・・・元に戻る事は、出来ないのか？」

　ケルビンもジャドゥビスも、絶望感が、湧き上がるのを、

どうする事も出来ずにいた。

　その時、シシィが、オリザ姫の唇の、微かな動きに気付いた。

　　　　　　ねむれ　ねむれ　

　　　　　　　よい子でねむれ

　　　　　　　お空を流れる　ほうきの星が

　　　　　　　・・・・・

　それは、ラゥオールフィアの子守唄だった。

　シシィは、オリザ姫に合わせて歌い出した。

　二人の声は、高く低く、夜更けの樹海に、

響き渡って行く。

　　　　　　　　　　　　続く

　次回、少々長くなります。・・・っていうか、毎度毎度の、切り損ない。

　何処で切って、次に回すか、いつも悩みます。「お初」の人もいる訳で、

　・・・面白そう。始めから読みたいな・・・って思って貰えるように、

　それなりに、起承転結を、小さく作らなきゃならないし、

　変わった展開にすると、軌道修正できなくなるし。

　なにより、実在のアイドルをモデルにしているのが、ネックになってる。

　さっさと進まないと、ドリスの実体モデルみたいに、

　思いがけない人と、御結婚なんて事に、次々、なりかねない。

　（Ａｉｂａじゃなくて、Ａｋａｎｉｓｈｉだった。Ｊ・・・ではあったけど）

　　　　　　では、また次回今日も、お越し下さって、ありがとうございました。