ぶるんねん文庫

　ギャラリー力石が、オープンしました。中々、いい雰囲気。大暖簾も見ものです。

　でも、作品だから、ＵＰしてもいいのかどうか・・・お花は、さあの持って行った物。

　この時期に紫陽花。品種名は「こんぺいとう」かわいいでしょ　


　　　Ｔｈｅ　Ｓｏｎｇ　ｏｆ　Ｗｉｎｄ（１９２）

　地に足をつけて、立っている、偽ケルビンの顔色が、

突然、不気味な鼠色に、変化した。

　顔色だけではない。小柄で細身のその体が、

むくむくと、膨れ上がったかと思うと、腹部から衣を破って、

矢鱈と数ある、肢の束が現れた。

　姿は、既に人ではない。そこ等中に湧き出た、小虫を、

ただ巨大化させた、化け物虫だ。

　切れ長の目だけが、釣りあがったまま、光を増し、大きく

頭部を占めた。後方の肢で立ち上がると、その大きさは、

城の三階のテラスに、裕に届く。

　三つ首犬も、巨大だったが、虫の方が更に大きい。

　がしゃがしゃと、数多い肢を鳴らして、伸び上がり

三つ首犬に、圧し掛かろうとする。

　三つ首犬は、牙に裂けた口で、硬い表皮に覆われた、

虫の身体に、代わる代わる噛み付くが、巨大な虫は、

痛痒を、感じる様子がない。

　パストリア軍は、怪物同士の戦いは、怪物に任せ、

まず、曲者達を捕らえようとした。

　剣を手に、抵抗するシシィやジャドゥビス、空中を飛翔し、

火球や電撃を操る、魔法使い達は、手出ししづらい。

　この際、全く武器も無く、捕え手の動きに、無頓着なのが、

オリザ姫であった。最も身分高く、人質としても、

保護対象としても、価値が高い。

　指揮官は、化け物に変じた、三王女を諦め、オリザ姫を、

何としても捕え、保護監視下に置こうと、躍起になった。

　と、同時に、間者を務めたイーヴェルを、何が何でも、

亡き者にしようとした。

　が、こちらは、森番と乳母が、命を賭して守っている。

　オリザ姫の身も、セヴィリスとジャドゥビスが、左右を

しっかりと固めていて、簡単に手出しはできない。

　「何をしておる！たかだか、三人や四人に、

　　何を手こずっているのだ！！さっさと姫を捕えよ。

　　後は全員、皆殺しでよい！手加減はいらぬ！！」

　ばたばたと、虫にたかられぬよう、手足をはたきながら、

指揮官は、声を嗄らして、指図を喚き続ける。

　その時、ワアーッと、鬨の声が上がった。

　イヴェルトを擁したルテシア軍が、ディールヴァ城を、

奪還する為、反撃に出たのだ。

　ディールヴァ城は、この世ならぬ巨大な化け物と、

魔法使いまでもが加わった、ルテシア対パストリアの

凄まじい乱戦状態となっていった。

　　　　　　　　　　　　　　　続く
　出ましたねぇ巨大ダンゴムシ

　これのモデルは、ダイオウグソクムシです。深海生物。お化けダンゴムシ。

　だから、ダンゴムシの正式名称は、グソクムシだと、思ってたんですってば

　　では、また次回。今日も、お越し下さって、ありがとうございました。