ぶるんねん文庫

　佐川美術館で、買った絵葉書。

　オヤジの妨害にて、

　これ一枚のみ。いいもん

　まるねこ娘引っ張って行って

　その時、買うもん

　これは、サフィール城のつもり。

　北の古都の白亜城の

　イメージモデルです。　


　　　Ｔｈｅ　Ｓｏｎｇ　ｏｆ　Ｗｉｎｄ　（１８８）

　箱馬車と荷馬車には、替え馬が付けられ、

セヴィリスと森番は、武器を取り上げられ、後ろ手に、

縛り上げられた。

　ただ、賊と化した賦役兵達は、魔法に詳しくないらしく、

セヴィリスが、自分は医師で、長杖は、師匠の形見だと

言うと、手首を縛った縄に、ぐさり、と、杖を差し込んだ。

　徒歩の二十数名程と、二台の馬車と、数頭の馬は、

そのまま、ディールヴァ城を目指して、出発した。

　到着は、恐らく、昼を過ぎると思われた。

　セヴィリスは自分の事より、一人敵陣に乗り込んでいる、

ジャドゥビスの心情を思うと、神経が、引きちぎられる

思いだった。

　　　　　＊　　＊　　＊　　＊　　＊

　地底と言えども、昼間には外光が差し込む。

昼近くなると、かなり明るくなった。

　その貴重な外光を遮って、黒い翳りが広がった。

　「来たな。」

　ケルビンは、端座していた砂岸から、立ち上がった。

　薄い翳りは、撚り集まり、じわりじわりと、城へ通じる、

石組みの、崩れた隙間を目指して、這いずって行く。

　イーヴェルが、やっとの姿勢で、すり抜けてきた所だ。

　もやもやとした、翳りは、その辺りで、はっきりと、

黒く濃い霧となり、薄灰色の石を、煤で汚したように、

見えていたが、しばらくすると、隙間に滲み込んで行き、

消えてしまった。

　それを、どうなる事かと、固唾を呑んで、見守っていた

イヴェルトは、引き続いて起こった異変に、大仰な

悲鳴を上げて、立ち騒いだ。

　突如、数え切れぬ、無数の小さな鼠色の虫が、

石という石の間から一斉に現れ、ざわざわと、

黒い霧の後を、追い始めたのだ。

　指先ほどの、節のある、丸い背の虫は、数匹なら、

さして脅威とは、思われぬが、広からぬとは言え、

地底の泉の、砂岸一面を、覆い尽くすほどとなると、

「気味が悪い」の、一語に尽きる。

　「な、何だこれは！！

　　わぁっ！！登ってきやがる！！」

　イヴェルトは、己の足を、行く手の障害物として、這い登る

虫共を払いながら、ぎゃあぎゃあと、見苦しく騒ぐ。

　それを、何故か止めようとせず、ケルビンは、

自分の足元だけ、虫除けの青い小炎で囲み、じっと

周囲の気配を探っている。

　暫くすると、虫は、悉く石組みの隙間へ、黒い霧の

後を追って消え去り、新たな襲来も止んだ。その時だった。

　「イヴェルト！！今だ！！」

　ケルビンが、突然、イヴェルトの襟髪を掴んで、

宙に投げ上げた。

　「何をする！！」

　放物線の頂点から、落下する、と、イヴェルトは咄嗟に

身構えたが、その身体は、ふわりと宙に浮き上がった。

　そして、そのまま、地表に開いた穴から、外に出たのだ。

　驚いて目をしばたたかせていると、その足元に、

先程の虫が、二、三匹、足元にまつわり付く。

　それを、また払って、騒いでいると、ヘリアンタから、

随行してきた、ルテシア軍の隊長が、近付いて来た。

　「伯爵！！ご無事でしたか！！

　　随分お探しいたしましたぞ！

　　伯爵がご無事と分かっておれば、

　　我等、全滅してでも、城を死守しましたものを・・・

　　いや、申し訳ない。パストリアの奇襲に、

　　全く、対処出来ませず、城を奪われました。

　　伯爵がお戻りならば、かくなる上は、一勢攻撃をかけ、

　　城を奪還いたしましょう。」

　　　　　　　　　　　　　　続く

　３～４箇所で、人物が、同時進行的行動してます。頭が混乱する・・・

　ところで、虫の話ですが、指先ほどの、節のある丸い背の虫。つまり、ダンゴムシです。

　なんで、ダンゴムシって、書かないいや、書けなかった。

　こんな所で、「ダンゴムシ」って言う単語自体、ありえない。可愛すぎる

　ダンゴムシに設定した時点で、ダンゴムシが正式名称だって、知らなかった。

　大体が、もっとカッコイイ名前が、あると思ってた。でも、他の虫に置き換えられなかった。

　ムカデもゴキブリも、なんかイマイチ。毒々しかったり、古典的に化け物だったり。

　で、こうなった訳。虫の嫌いな方。お許しください。実は、さあも大っ嫌いです。

　では、また次回。今日も、お越し下さって、ありがとうございました。