ぶるんねん文庫

　庭のローズマリーです。

　洋風鶏肉料理の時に使うと、いい香りですが、

　入れすぎ注意結構、鼻につきます。

　過ぎたるは、及ばざるがごとし。

　ミント、ラヴェンダー、レモンバーム。

　荒れ放題の、我が家の庭で、物凄く元気

　バジルとセージとタイムは、だめだった。

　あとは裏庭に、ねぎ、しそ、みつば。

　鉢植えのイチゴ・・・そんな所かな。

　サラダ水菜の種、もうすぐ蒔こうかな


　　　Ｔｈｅ　Ｓｏｎｇ　ｏｆ　Ｗｉｎｄ　（１３３）

　薔薇色の朝焼け雲を、足下に踏み、黄金色の光射す、

花藍色の蒼穹を戴き、マヤリス妃は、太陽宮の北東上空に、

大気を床にして、立っている。と、見えた次の瞬間、

一歩を踏み出したマヤリス妃の姿は、術師四人の

包囲を越えて、ネレイド王の膝下に、跪いて現れた。

　突然目前に、瞬間移動術を見せられ、ファーゴは、

黒い霧の尾を引き、大声を上げて、飛び上がった。

　ファーゴとネレイド王の二人共を、術で捕縛しようと、

忍び寄っていたセヴィリスも、驚いて飛び退った。

　と、同時にセヴィリスは、マヤリス妃が、姉ではない事を確信した。

　何より、その強大な魔力の波動は、闇の魔人ケルビンすら、

遥かに凌いでいる。

　ネレイド王は、驚愕に怒りを滲ませ、問い詰めた。

　「マヤリス・・・生きておったのか・・・

　　余を・・・余を謀ったのか・・・」

　「申し訳ございませんでした。

　　でも、他に、方法が無かったのでございます。

　　ファーゴの企みが、余りに入り組みすぎて、

　　私には、どうにも解くことが、出来なかったのです。」

　「ファーゴの企み？」

　マヤリス妃は、立ち上がりながら、右手で、何かを

杓い揚げるような、仕草をした。

　すると、下に見下ろす太陽宮の、中庭の辺りから、

ジャドゥビスとアルナス后、それに、突然宙吊りにされ

怯えて、アルナス后にしがみ付いている、ミリカの三人が、

ゆっくりと浮上してきた。

　「伯母上！どういう事です？

　　一体いつ、ヘリアンタに入られました？」

　アルナス后は、一度飛び上がって、また、人の輪の近くに、

降りて来ていたファーゴを、嫌そうに一瞥すると、

　「いつ、どうやってかは、自分でも分からぬのです。

　　神隠しの如く、街道から、攫われて来たゆえ。」

　と、これまでの経緯を、全て話してしまった。

　マヤリス妃の魔力を、己が法王となる為の、

道具にせんと企んだファーゴは、医師ボニウスを名乗り、

幾度と無く、仮死の秘薬を以って、マヤリス妃を離宮から

脱出させようとしたが、果たせなかった。

　そこへ偶々、騒動に巻き込まれ、行き合わせた、

自分を誘拐し、マヤリス妃に引き合わせ、事態の展開を

計ったらしかったが、それも、思う効果が得られぬと、

今度は、幼子までもを、貴族の屋敷に預けていたのを、

拉致し去ったのだ。

　アルナス后は、ミリカと会えたのも束の間。

　ミリカが、マヤリス妃の手紙を、身動きならぬ、

アルナス后の枕の下に、押し込むや否や、女官と侍女等が

押し掛け、湯浴みや着替えをさせると言って、

ミリカを連れ出してしまった。

　その直後、オヴィディオ王の友人を名乗る、ジャドゥビスが

忍び込んで来た。アルナス后には、初対面だったが、

ミリカ共々、何とか脱出させようと言う話を信じ、

枕の下の手紙を、託す事にしたのだ。

　その後、又しても、侍女等の群れが、入室して来て、

今度は、あからさまに、マヤリス妃の手紙を探し始めた。

　が、ファーゴは結局、手紙を手に入れる事が、出来なかった。

　ジャドゥビスは、衝立の陰に隠れて、それをやり過ごし、

なぜか急に、体の自由が戻ったアルナス后と、ミリカを連れて、

中庭まで三人で、脱出した所だったと言う。
　
　ファーゴが、マヤリス妃を、己が傀儡と為す夢は、

潰え去ったのである。
　
　ネレイド王は、激しい後悔の念に、駆られながら、

事の顛末を聞いていた。己の重用していた人物が、陰で、

どれ程の悪行を為していたか、初めて知ったのだ。

　十年来、築き上げて来た、ファーゴへの信頼は、

王族誘拐と言う、謀反と同罪の所業に、一瞬で崩れ去った。

　「余を、皇帝にさせると、ファーゴは言った。

　　その道のりに、これほどの悪行を、重ねる必要が、

　　あったのだろうか・・・」

　マヤリス妃の、今度は左手が動いた。離宮の方から、

オリザ姫とシシィが、上がって来る。

　ユリシアは、自分で浮かんで、驚く二人を守っている。

　「オリザ姫、無事でしたか。」

　ジャドゥビスが、宙を掻く様に、オリザ姫の方へ、

近寄りかけた。その時、ファーゴが動いた。

　がしっと、小さなミリカの肩を掴み上げると、

更に上空高くへと、連れ昇る。

　そして、日頃の慇懃な口調を、かなぐり捨て、

悪意丸出しに、皆を脅迫しに掛かったのだ。

　「動くなよ。術師共も何もするなよ。何かしたら、

　　即座に子供を、地上に叩き落す。わかったな？」

　　　　　　　　　　続く

　無茶苦茶長くなったので、切りました。

　それにしても、悪い奴ですねえ。実は、彼にも、実体モデルがいたりして。

　最近、「コピー貼り付け」って言うのを、覚えました。なかなか便利ですね。

　では、また次回。今日も、お越し下さって、ありがとうございました。