ぶるんねん文庫

　カテゴリー、間違ったかな

　「親ばか」にするべきだったか・・・

　娘の書いてくれた絵葉書。

　従姉が、「彦根に行くから、会いたい」って、

　実家経由で打診があったけど、　

　パン屋のパートの初日だったんだな、これが・・・

　実家に、断って貰ったら、彦根城の絵葉書で、

　「会えなくて残念でした。近況、これこれで・・・」

　賢い人なんだが、絵葉書のチョイスが

　で、返事の絵葉書が、これ。

　娘には、「まるねこ」みたいなので・・・って頼んだんだけど、（７月１６日８７回）

　下地から、ばっちり塗りこんで、描き込んだから、手に持ったら、何か重い・・・

　念のため、郵便局へ行ったら、「８０円です」・・・葉書なのにっ


　　　Ｔｈｅ　Ｓｏｎｇ　ｏｆ　Ｗｉｎｄ　（１３１）

　ファーゴは、力を欲していた。

　知力、体力、権力、魅力・・・どれも、ファーゴには、

充分に、備わらなかった物ばかりだ。

　知力は、ダルトンに遠く及ばず、体力は、そもそも小男ゆえ

どうすることも出来ぬ。権力を、生まれつき持つような、

家の生まれでもない。人を魅了する力も、さして無い。

　ファーゴに備わったものは、底なしの「欲」だけだった。

　ダルトンを越えたい。アナトス・リグストラムを越えたい。

　マヤリス妃を利用し、ネレイド王を踏みつけて、のし上がり、

世界の頂点を、極めたい。

　九峯聖堂の白亜ドームに、白い石の玉座を設けさせ、

捧げ物を持つ者達を、思い切り上から、ねめつけてやりたい。

　だが、ダルトンには、協力を拒絶され、マヤリス妃は、

アナトスのかけた呪いで、離宮に封印されている。

　どう誘っても、離宮から出たがらぬ女に、医師に扮して、

近付いたが、効は無く、挙句に、餌に使ったアルナス后に、

手を噛まれる結果となってしまった。

　しかも、五歳の子供までが、諾わぬ。

　マヤリス妃が、離宮の呪いの解き方を、アルナス后に

託した事までは、突き止めたが、その手紙が見つからぬ。

　脅しても賺しても、子供は手紙を出さぬのだ。

　その時、太陽宮の上空に、怪かしが出たと、騒ぎが起こった。

　近侍が泡を食って、駆けつけて来る。

　「ファーゴ様、上空高い所に、金色のドラゴンが

　　浮かんでおります！！ぐるぐると、回りながら、

　　時々、城の方に向かって、吼えております！！

　　いかが致しましょうか。」

　ファーゴは、ちっ、と、鋭く舌打ちした。

　ダルトンの手下の、ドラゴンに違いない。

　ダルトンが、例の毒で、体の自由を失ったので、

報復に現れたのだろう。

　ファーゴは念を凝らし、都中の気配を探り、

フフッと、笑みを洩らした。

　・・・これは、勝てる・・・

　「城内、及びヘリアンタ市内に、触れを出せ。

　　『怪かしものに惑わされるな。

　　ファーゴが、すぐに退治てくれる』とな。

　　騒ぎの大きい箇所には、兵を出して静めよ。

　　扇動するものは、すべて投獄。

　　分かったら、行けっ！！」

　駆け込んで来た近侍は、また駆けて、飛び出して行った。

　それを見送って、ファーゴは、テラスに出た。

　巨大なドラゴンが、ゆったりと、空中を泳いでいる。

　ファーゴの足が、テラスの床を蹴った。

　と、次の瞬間には、空恐ろしい加速で、宙を切り裂き、

　ドラゴンの高さに、到達している。

　アルフィーニは、その速さに驚いた。

　もしかすると、天馬の時の自分より、速いかも知れぬ。

　そう思うと、恐怖が湧き上がって来た。

　思わず叫び、セヴィリスを呼ぶ。

　「セヴィリス、来て！！ファーゴが現れた！」

　セヴィリスは、すぐに駆けつけた。

　今までの彼では、考えられない速度の、飛行だった。

　ドラゴンの傍らからは、ケルビンが現れる。

　ファーゴを中心に、三方向に展開し、取り囲む。

　「もう逃さぬ。ラゥオールフィアの三王女の行方を、

　　素直に白状するがいい。

　　それに、バルツァード王太后と、養い子を放せ。

　　・・・まだあるな。ルテシア自体からも、

　　手を引いて貰おうか。この僭上者め！！」

　「人の事が言えるのか。闇の魔人殿。」

　クツクツと、耳障りな声で、含み笑いを洩らしながら、

ファーゴは、ケルビンに向かって言った。

　「闇の字が、恥ずかしがろうぞ。子煩悩の魔術師殿よ。」

　「何とでも言え。自分の状況が、分かっているのか。

　　西国最強の仙術師、竜の貴婦人と、大隠者の一番弟子、

　　闇の魔人に、三方、囲まれているのだぞ。

　　逃れる術が、あると思うか。」

　「さあ、な。」

　いきなり、ファーゴの眉間から、電撃が走った。

　だが、狙われたアルフィーニは、平然とそれを受け流し、

代わりに、ガアッと、火の玉を吐き付けて返した。

　それが、皮切りだった。

　太陽宮の上空は、電撃と火球と熱球の、

修羅場と化して行ったのだった。

　　　　　　　　　　　続く

　構成のテクニック上、時間的に前後した箇所が、ありますが、ミスではありません。

　ソルダムは、このまま第二部の出番、終わるんで、説明のため、チョイ出し。

　少し戻って、ヘリアンタの魔道対決・・・という訳です。

　では、また次回今日も、お越し下さって、ありがとうございました